第八話 記憶 ラファは想い出を……語る
おはようございます。そしてお疲れ様です。
まだまだ覚束ない自分に反省です。いつもおつき合いありがとうございます。もうそろそろ梅雨入りですか。お体に気をつけましょう。
ではまたお付き合いください。
※改稿 21/12月2日
この頃は冬です。寒いです。
柩の中から無理に開けようとした者の動きがほんの数ミリ開いたところで止まる。
柩を見て、ロイズとアロマがほっと胸をなで下ろしアロマが閉めようした。すると中のモノが怒鳴り散らす。
「馬鹿者、閉めるな! 開けよ、この蓋を。我も挨拶を」
「えっ? ですが主様、そのような姿では」
「はようせい! この面子だと姿を出しても大丈夫。それにまた眠うぅ………あっ! は、いかん! はよう。はようぅせぇぇ………いぃ」
「はっ」
何やら柩の所で小さな騒動が起きている。横で視ている真夜が困惑しているとラファが横に座り、同じ飲み物を口にしている。
「どうしました? 真夜の察知能力が疎くなられたような?前はあんなに敏感でしたのに」
「そう、やはりおかしいのですわ」
紅茶を飲み真夜が難しい顔で何かをかんがえている。
柩の所で一悶着していた者が真夜達に声を掛ける。二人の目の前で柩が開くと、そこには切り口が囓られたような痕の右腕が入っていた。掌の中央には口があった。真夜とラファが驚くが唐突のこと過ぎて声が出ない。
それを見たルイがまた愉快そうにしていた。
ルイの姿を静かな声が叱る。
「これ、ルイ静かに。脅かしてすまない。我が名はエルサレム・ドラクル・ドラキュエラ。宛名はエルザ。宜しくじゃ」
掌の口がゆっくりと開き話している。声は、落ち着きがありどっしりとした重みがある声だが耳に良い音を響かせている。
「ドラクル?その名は確か真祖を受け継ぐ者の名前っ! 伯爵様!!!」
ロイズは睨まれ、たじろぐしかなく、おチビな二人は、いきなりの無礼に詫びるしかなく。
そして腕は力つき柩へと戻っていく。
まさかの事態に思わず二人はロイズを睨む。
詫びとことの成り行きを説明しようとロイズは真夜を見た。
だが真夜がいきなり青ざめ床に倒れってしまった。それに続きラファまでも………
二人が、飲みかけていた紅茶が服にかかり落ち、シミはまるで血痕のように広がっていく。
床に落ちたカップは転がり回る。
床に倒れた二人を、手厚く看るロイズとアロマが溜息を突いていた。二人の服を脱がし床に寝かせブランケットを掛ける。二人が汗を出すとタオルで拭う。
何故二人は、倒れたのか。
考えるアロマには覚えがあるらしく、ロイズに話した。
「うぬ。それは私からは口にはできん………エルザはいつ目を、というかいつ復活するのか。はたまた、先のように起きられるのか」
「主様は近い内に回復の目途は経っておりますが………」
二人が真夜達を見つめ心配しているとラファがまず目を覚まし跳び起きた。その躰は汗でぐっしょりと濡れている。
そして見開いた両の瞳は紅く光る。
「これは真夜の瞳だ!!真夜は?」
焦り真夜の姿を探すラファは、まず二人と目が合い次に隣にいる真夜を見る。
姿を見るや抱き締め真夜に頰を重ねていた。真夜を隣に置くと、自分の胸を抑え苦しんだ。ラファに合わさるように真夜も唸る。
「おお、起きたか。気分は?あと欲しい物はあるか」
「欲しい………物。では、キッチンに黒い冷凍箱があるので取ってきていただいても」
「おお、わかった。黒だな」
ラファは頭を抑えながら頷いた。そして膝を立て上に腕を置き顔を隠している。
まるで何かを反省しているように。
「持ってきたぞ。ほれ」
「ありがとうございます」
箱を受け取ると、中には保冷パックがあり赤い液体が凍っている。取り出すと口に含み、バリバリとかみ砕き始めた。
「ワイルドだな」
「ああ、いつもは溶かすのですが。真夜が見たら嘆くでしょうね。品がないと」
「それは誰の血なのだ」
「私のです。非常用に凍らして有ります」
落ち着くとポツリと話し始めた。
「ロイズは知っているでしょう。私の心臓が真夜と共鳴しているのを」
「ああ、そして真夜が探す物も」
「そう、『破壊者』の手にある大事なモノ」
気がつくとラファの横にはパックのから袋が山となっていた。
「多分、真夜のこの魘されようはまた観ているのかもしれません。自分の記憶を………」
ラファは真夜の髪を撫で梳いている。その間も真夜は魘されていた。
「もう昔の話しです。真夜と私が吸血鬼になった原因は『破壊者』によるもの」
ラファの口から語られる。二人の話し………。
私と真夜もロイズほどではないが半世紀以上
は生きてますがそんなに古い人間ではない。
街には蒸気機関車が走り、今ほど発達はして
ませんがそれなりに発達はしていました。
真夜は何処まで覚えているか判りませんが、
あの男『破壊者』が襲ってきた日は真夜の親
族と私の親族の親睦会とあるお披露目の最中
でした。
「この首に下げているロザリオは真夜が贈ってくれたものです」
「ほう、まあ苦手とする者もいるが、ラファ君には効かなくて良かったな」
「フッ、ほんとです」
多分いつからかは分かりませんが真夜は狙わ
れていたのでしょう。それに後から知ったの
ですが、人の「恐怖」「怒り」「嘆き」は闇
の者の好物だと。あの男はわざと真夜の前で
私達の親族、愛する者達に手を掛け殺したの
です。
仲間を引き連れそして・・・・・。
「私はその時、殴れ、怪我を負い、気を失いました。そのお陰で殺されずに済みました。良いのか、悪いのか………気がつくと周りの人達はそれは惨たらしく………」
そして真夜が襲われているところを目の当た
りにしました。
助けに走った時、あの男は真夜の喉元に咬み
つきながら心臓をえぐり出しました。
その最中真夜に手が届き奪ったのです。
私の最愛の者 真夜 を。
「あの時の男の顔。あの笑顔、そしてあの手に握られた時の心臓は忘れません」
その場で吸血鬼と化した真夜は、私を咬み、
私の心臓を半分持つことで
命を繫いだのです。
「そう、真夜の大事なモノとは『破壊者』に奪われた“心臓”。真夜に今ある心臓は、私の心臓でも在るのです。──本当の心臓が戻ったらどうなるか分かりませんが………私の心臓を持つことに少し気が深けるのでしょう」
ロイズとアロマは黙ってラファの話しに耳を傾ける。
「たまにですが真夜は夢に観て魘されています。昔の、過去の出来事を」
「ラファ君、お披露目とはもしかして………君たちの………」
「フフ、昔です。過ぎた昔です。ですが今でも私は………伯爵、今はロイ呼びでしたね。あなたにもここまで詳しくは話してはいませんでしたが」
ラファが落ちついた瞳で真夜を眺めるが、その瞳の色はまだ紅いままである。そしてアロマを見ると以外なことを口にする。
「アロマ、もしかすると君の主、エルザは真夜の心臓を持ってませんか?全部ではなくても、一欠片…………とか」
「なぜそれを!!!」
「先程、感じたのです。真夜は気がついてませんが心臓の気配を。倒れた原因もそれだと思います。だからお話したのです。昔話を──。真夜にはまだ教えないで下さい。エルザの口から話すようにして下さい。お願いします」
アロマに頼むラファの瞳は哀しく、真夜を見つめる。その気持ちを汲み取るアロマがいた。
「わかりました。すみません、そしてありがとうございます」
「いや、礼を言うのはこちらの方です」
ラファは、真夜を被せてある布団でその身体を包むと立ち上がり柩に目を置いた。そしてロイズを見てお願いをする。
「真夜をベッドで休ませてきます。私も休みますが……すみません、図々しいお願いがあります。肉を、肉の固まりを焼いておいて欲しいのです。宜しいでしょうか?」
ラファが照れながらロイズに頼むとロイズは頷き承諾をした。ラファが真夜を抱え、階段を静かに上がっていく。
二人の姿をアロマとロイズが見送ると、その横でルイが一人床に転がり遊んでいた。
「キャキャキャ、みて。あろま、このゆかすごい」
姿を見てアロマがロイズにぼやく。
「早く主様にもどっていただかないと、私たちのずのうねんれいが幼いままです。あと体も」
「ううん。それも困るが、アロマ君。肉。焼いたことあるかね? 肉。実はどう焼いて良いものなのか、判らん」
「それぐらいならわたしが」
二人は溜息をついたあと二階を見上げた。真夜とラファのことを知り、落ち込み顔をつき合わせた。窓からは、明るい日差しが入り込み部屋を照らすが、それとは逆に二人の心は塞ぎ込んでいる。
二階の一室に入るラファがいる。
ベッドに、真夜を静かに置くと横で寝そべるラファがいる。真夜の頰を撫で、前髪をかき分け時に歪む表情を見ると強く抱き締めた。
「すみません。貴方の横にいながらまた気を失ってしまうとは────」
真夜に聞こえるように自分の反省を呟いてると、それに応えるかのように真夜が目を開きラファを見る。瞳は潤んでおり、少し寝ぼけているようにも見える。
「ラファ、私を起こすおつもり? まだ寝ますぅ」
「あっ、はい」
真夜は、一言ぼやくと小さく息を吸い込み寝静まった。寝顔は先ほどとは違い穏やかでなぜか微笑んでいる。起こすつもりはなく、あくまで反省として声に出したのだが、それに起きる真夜に驚くラファがいた。
「フッ。貴方が楽しければ私は……」
寝顔につられラファも静かに寝始めた。
お疲れ様。ありがとうございます。もしよければ下の☆に点数を点けて下さい。励みになります。まだまだな私ですがお願いします。あと自分ごとですがバナナが安くて買いすぎました。(・・;)ではまたお話ししましょう。
※改稿しました。上の話しは前の話しブクマの登録もお待ちしてます。