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21階層掃討と反省

本日2回目の更新です。

……………………


 ──21階層掃討と反省



「『このものに戦神の加護を。力を与えたまえ。戦士に力を』。頑張ってください」


「ああ」


 フルフルももうそこまで久隆に嫌悪を示さなくなった。


「レヴィア、叩き込めるか?」


「任せろなの」


「よし。3カウントだ」


 3──2──1──。


「今だ!」


 久隆たちが一斉に飛び出る。


「『吹き荒れろ、氷の嵐!』」


 レヴィアの魔法による嵐が吹き荒れている中、久隆が突撃する。


 やはり武器は進歩していても、近接武器は携行していない。いい獲物だ。


 だが、ゴブリン弓兵と違ってゴブリン長弓兵の攻撃は嵐の中でも一定距離飛翔する。弓の威力が上がってるのだ。当然と言えば当然だ。


 ゴブリン長弓兵2体の首を刎ね飛ばしたとき、久隆に向けて矢が飛翔してきた。久隆は間一髪でそれを避け、嵐の止んだ状況で斧を投擲する。斧はゴブリン長弓兵の頭を砕き、絶命させた。


 残りはゴブリン長弓兵2体とゴブリンシャーマン1体。


 ゴブリンシャーマンは何やら唱え始めると、久隆に向けて杖を向けた。


「『そのものに魔法使いの加護を、その身を悪意ある魔の力から守りたまえ!』」


 咄嗟にフルフルが詠唱し、それと同時にゴブリンシャーマンの杖から炎の嵐が周囲一帯に吹き荒れた。久隆は自分の負うダメージを想定したが、何も起きなかった。間違いなく。先ほどのフルフルの付呪のおかげだ。


「助かった、フルフル!」


 2体のゴブリン長弓兵はゴブリンシャーマンによる友軍誤射(ブルー・オン・ブルー)で絶命し、消滅していった。久隆は次の魔法が放たれる前にゴブリンシャーマンに襲い掛かる。


 斧が振り下ろされ、頭が割れ、ゴブリンシャーマンは消滅した。


「よし。ゴブリンはクリア。だが、今の騒ぎでお客さんが駆けつけてきているぞ」


 騒ぎを聞きつけて、魔物たちが押し寄せてくるのが分かる。


「陣形を維持しろ。フロアでは戦うな。敵の方が数が多い。なるべく敵の動きと数を制限できる場所で戦う」


「了解!」


 そして、鎧オーク、重装オーガ、鎧ジャイアントオーガが押し寄せてきた。


 最初に押し寄せてきたのは鎧オーク。


 これは今までと変わりない。頭部と首を狙った一撃。久隆は鎧オークの頭を叩き潰し、フォルネウスは首に短剣を突き立て、サクラは眼球を狙って矢を放った。


 レヴィアとマルコシアは攪乱。


 氷の嵐と爆風が吹き荒れ、重装オーガも瞬く間に仕留められる。


 デザートは鎧ジャイアントオーガ。これは相変わらず威圧感はあるものの、敵ではない。久隆たちは鎧ジャイアントオーガの無防備な首を刎ね飛ばし、頭を叩き割り、矢を突き立て、あっという間に平らげた。


「大物への対処はあまり変わらないな」


「とはいえ、疲れますね……」


「モンスターハウスに比べればマシだ」


 久隆はそう告げてこの階層に他に敵がいないことを確認する。この階層にはもう動くものはいない。敵も味方も皆無だ。


「しかし、ゴブリンが強化されたのは面倒だな。あれは楽な標的のようで、いざという時に乱入されると不味い相手だ。まして、魔法を使ってくるのでは」


 そう告げて久隆はフルフルの方を向いた。


「フルフル、助かった。危うく俺までローストされるところだった」


「気にしないでください。戦場では連携が大事ですからね」


「そうだな」


 しかし、と久隆は思う。


 フルフルへの負担がさらに増えてしまった。フルフルはこれから友軍の戦力上昇と敵の防御力減少、そして魔法に対する耐性まで付呪で行わなければならなくなる。


 久隆には魔法は分からない。ただ、マルコシアからしゃぶしゃぶパーティーの際に教えてもらった情報だと魔力は自然回復する分と魔力回復ポーションなどで回復するものがあるそうだ。


 自然回復でフルフルの魔力が何分でどれほど回復するのかは久隆は聞いていない。前に久隆とレヴィアの両方に付呪をかけていたときには10分間は次の魔法が使えないとは言っていた。では、10分で魔力は全回復するのか? それとも魔法を行使するギリギリのレベルまで回復するだけなのか。


 久隆は肝心のことを聞いておらず、自分がちゃんと自分の部隊を掌握できていなかったことを恥じた。あまりにも魔法というものが荒唐無稽過ぎて、頭にちゃんと入っていなかったのだ。


「今回のことで分かったことがある。ゴブリンシャーマンは重装オーガ以上の脅威だ。フルフルの付呪なしで戦えば死人が出る」


 重装オーガの行動パターンは変わっていないし、弱点も同じだ。


 だが、新しく現れたゴブリンシャーマンは明確な脅威である。これを倒すにはフルフルの付呪を使うか、別の遠距離攻撃手段で敵が仕掛ける前に無力化するしかない。


 幸い、ゴブリンシャーマンに防御力はまるでない。レヴィアの攻撃でも致命傷を負わせることが可能だろう。


 幸いにして今は魔法だけに遠距離を任せなくともいい環境になっている。サクラのコンパウンドボウによる一撃でもゴブリンシャーマンは仕留められるだろう。


「レヴィア。フルフル。マルコシア。フォルネウス。それぞれに魔力の自然回復量を教えておいてくれないか。どれほどで満タンになり、どれほどで魔力を1発程度ならば放てるのかを」


 久隆が尋ねる。


「魔力は確かに自然回復しますが、回復量は残存魔力量に左右されるのです。魔力量が多ければ回復量も多いし、少なければ回復量も少ない。なので、魔法使いには魔力量のコントロールを身に付けることが求められるのです。そして、今は魔力回復ポーションがあるので問題ありません」


「そうか。だが、目安として知っておきたい。フルフルが魔力を使い果たした状態で次の魔法を撃つにはどれほどの時間がかかり、どの程度で満タンになる?」


「私の場合は空っぽの状態からだと30分程度でしょうか。次の魔法を放つだけなら強力なものでなければ数分で行えます。ですが、無理をしすぎると以前のように急性魔力欠乏症に……」


 フルフルはそう告げて俯く。


「え。フルフル、急性魔力欠乏症にかかってたの? あのフルフルが?」


「え、ええ。道中でジャイアントオーガやマンティコアに追いかけまわされて……。レヴィア陛下から血液をいただき、何とか回復した次第です」


「そっかー。確かにひとりで最上層を目指せとか無茶な命令だったもんね」


「ですが、必要な命令でした。おかげで我々は重要な助っ人を手に入れました」


 フルフルがそう告げて久隆を見る。


「できる限りのことはしよう。そのためにも全員のコンディションと状況を把握しておきたい。マルコシアは完全に魔力を消耗してからの回復は?」


「あたしは満タンには45分。次の魔法までは数分ってところですね。こういうものは先天的なものもあるので。そういう意味ではフルフルは優秀ですよ。他の魔法使いよりも回復速度が速いですからね」


 マルコシアはにししと笑って、フルフルの肩を叩く。


「フォルネウスは?」


「自分は満タンまでは1時間。次の魔法までは10分です。ですが、ご安心を。魔法剣で消費する魔力は僅かです。滅多なことでは使い果たすことはありません」


 フォルネウスは魔法使いでないだけあって他の魔法使いよりも回復までが長かった。


 では、レヴィアは?


……………………

本日の更新はこれで終了です。


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