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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

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88.次に会う時は――

 窓から朝日が差し込む。

 穏やかな陽気に包まれた朝は久しぶりで、目覚めた時は戸惑うだろう。


「ん、うぅ~ん……ここ……」

「ぅ、もう朝なのね」


 二人とも目が覚めたらしい。

 良かった。


「あの……そろそろ退いてもらっていいかな?」

「「あ」」

「両腕が……痺れて動かないんだ」


 俺がそう言うと慌てて二人が離れてくれた。


「ご、ごめんエイト君!」

「あ、うん、気にしないで」

「私としたことが不覚だったわ。でもどうしてエイトが一緒に寝てるの? 確かエイトはいなかったような……」

「確かに」

 

 じーっと二人が俺を見つめる。


「もしかしてエイト君、寝てるボクたちにエッチなこと」

「してないから!」


 言葉で否定しながら、痺れて動かない両腕を必死に持ち上げようとする。


「安心して。私は何をされても良いわ」

「ぼ、ボクだってエイト君なら良いよ!」

「それは嬉しいけどそうじゃなくて! 別に変なことはしてないから!」


 誤解されているようだが冤罪だ。

 戻ってきたら二人が眠っていて、寝ぼけたアレクシアに引っ張られた。

 その後は二人を起こさないようにじっとして、自分も寝たんだ。

 と、そこまでは良かったんだけど……途中で痺れを感じて目が覚めたのが、今から二時間くらい前だった。


「――というわけだから、俺は一切手を出してない」

「むぅ……」

「一切なのね?」

「ああ」

「……何か」

「それはそれで負けた気分ね」


 何で二人とも不満そうな顔をするんだ。

 手を出したほうが正解だったのか?

 いや無理だろう。

 あんな話をした後で――


 トントントン。


「エイト、もう起きていますか?」

「姫様!」

「朝食の準備が出来たので呼びに……」


 ベッドの上に寝転がる男と、その両脇には女性二人。 

 誤解される光景。


「はぁ……あなたという人は……」

「す、すみません」

「使用人に向かわせなくて正解でしたね」


 予想していたのか。

 さすが姫様。


「ご、誤解しないでほしいですが、何もしてませんからね?」

「さてどうでしょう? エイトは女たらしですからねぇ」

「姫様……」

「ふふっ、早く来てくださいね。せっかくの食事が冷めてしまいますよ」

「はい。すぐ行きます」


 パタンと扉を閉めて、姫様は去っていった。

 何だか昨日の一件の所為なのか、姫様がちょっと意地悪だ。


「……ねぇエイト君、姫様と何かあった?」

「へ?」

「仲良くなってる気がしたけど?」

「そうかな? 元からあんな感じだったと思うけど」


 ジーっと二人から疑いの視線が向けられる。

 二人には話さないようにしよう。

 そう姫様とも約束したし、俺から話すわけにもいかない。


「それよりほら、朝食に行こう。ってその前に一度着替えないと」

「その腕で?」

「ああ……」


 まだ痺れて動かない。


「仕方ないから私たちが手伝ってあげるわ」

「え、ちょっ」

「よーし! じゃあ全部脱いでー!」

「い、いや待って! 自分でやるから勘弁してくれ!」


 結局素っ裸にされて、全部着替えさせられた。

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 朝食を済ませた後、俺たちは魔王城へ戻る準備をした。

 本当は夕方くらいまで滞在する予定だったけど、やっぱり向こうのことも心配で、予定より早く戻ることになったんだ。


「忘れ物はありませんか?」

「大丈夫です。二人は?」

「ボクも良いよ!」

「私もよ」

「大丈夫そうなので、そろそろ行きますね」


 俺の仕事部屋に姫様と二人が集まっている。

 ロランド騎士団長は早朝に遠征へ出かけてしまったそうだ。

 挨拶はそのときに済ませている。


「気を付けてくださいね」

「はい」

「次に戻ってくるときは、全てが終わったときですね」

「はい」

「必ず魔王を倒してくるよ!」

「みんなで戻ってくるわ」


 二人がそう言うと、姫様はニコリと微笑む。


「はい。お待ちしております」


 姫様が俺に目配せをして言う。


「その時には、ちゃんと答えを出しておいてくださいね?」

「ぅ……はい」


 やっぱり姫様は意地悪だ。

 二人はピンと来てない様子。

 今のうちに戻るとしよう。

 俺は水晶に手をかざし、転移を発動させる。


「いってきます」

「いってらっしゃいませ」


 俺たち三人の姿が消え、姫様だけが残された。


「……キスくらいしても良かったですね」


 少し寂しそうに、姫様は窓の外を見る。

 

「帰ってきたら……その時に」

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