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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

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84.告白

 姫様に脅さ……お願いされて、俺は恥ずかしさに耐えながら彼女たちの話をした。

 彼女たちを縛っていた苦悩や戸惑いの一部も含めて。

 全ては話さない。

 俺だけの話ではないし、彼女たちの心まで代弁はできないから。

 とりあえず事の顛末だけ。

 

 そう……だからこそ――


「つまりエイトは、彼女たち二人から告白され、どちらかを選ぶことなく肉体関係まで至っていると」

「そ、そうなりますね……」

「……話だけ聞いていると……女性の敵ですね」

「はい……すみません」


 返す言葉もない。

 自分でも感じていたことだし……

 ただ、姫様の口からハッキリ言われると、想像以上に心に来るな。


「エイトがそんな人だったとは思いませんでしたよ」

「うっ……はい」

「私も日々王女としての責務に勤しんでいたのに、その最中にイチャイチャしているとは」

「べ、別に遊んでいたわけじゃな……くもないですけど」


 駄目だ……辛い。

 いや、辛いなんて思うことも良くないな。

 これは自業自得だ。

 優柔不断で、彼女たちの思いに応えきれない自分が悪い。


「ふふっ、冗談ですよ」

「へ?」


 と思って反省していたら、姫様が不意に笑顔を見せた。


「冗談?」

「はい。エイトが理由もなく、そんなことをするとは思えませんから。もしそんな酷い男なら、私もとっくに襲われていますよ」

「そ、それは……」


 さすがにどんな男でも、一国の王女に手を出そうとはしないと思うけど。


「話してくださったのは一部ですよね? きっと話せなかったことに理由があるのでしょう。それはエイトではなく、彼女たちのことだから」

「はい」


 お見通しか。

 じゃあさっきまでからかって遊んでいたということ?

 姫様ってそういう遊び心のある人だったのか。

 どちらにせよ助かった。


「でも半分ですよ? エイトが女たらしの酷い人だったことはガッカリです」

「うっ……」


 助かってなかった。

 やっぱり怒っているみたいだ。


「ただ……彼女たちがエイトを好きになる気持ちもわかるんです」

「え、姫様?」

「私も助けられた一人ですから」


 それってどういう……

 まさか本当に?


「はぁ……本当は全てが終わった後にお伝えするつもりでしたが、仕方ありませんね」


 姫様はそう言って、俺の右手をギュッと両手で握る。


「姫様?」

「エイト。私も――あなたを愛しています」


 突然の告白に面を食らう。

 いいや、心のどこかで予感していた。

 彼女の瞳が、嘘ではないと告げている。

 握った手は温かくて、明かりに照らされた彼女の頬は、ほんのり赤く染まっていた。


「えっと……本気ですか?」

「嘘ではないことくらいわかりますよね?」

「……じゃあ、いつから?」

「助けられたあの日に惹かれて、それからずっとあなたを見ていました。一緒に過ごした時間は短かったかもしれません。その短い時間で、あなたをもっと好きになりました。きっと、きっかけはアレクシアたちと同じです。好きになった所も一緒だと思います」


 だからこそわかると。

 姫様も、アレクシアとレナも、出会い方こそ違うけど、助けられたことがきっかけだった。

 俺がそんなことを言うのも不自然かもしれない。

 ただ、彼女たちは同じ言葉を口にしていたから、間違いじゃないと思う。

 姫様もっていうのは、予感はあっても驚く。


 お陰で、またわからなくなってしまった。

 姫様からの告白は嬉しい。

 でも、俺は結局……誰も選べない。


「姫様、俺は……」

「良いんですよ。今は悩まないでください。なんて私が言えることではありませんが、お返事は必要ありません」

「でも、それは不誠実だ」

「そうですね。私もあなたじゃなければそう感じていたと思います。でも、私はエイトの優しさを知っています。きっと彼女たちも……だから待ちます。あなたの答えが出るその時を」


 姫様は優しく、諭すようにそう言った。

 その瞳は、俺の不安や悩みを見透かしているのだろう。


「すみません」

「謝らないでください。それから、このことは二人には内緒にしていただけませんか? 知れば余計な不安を与えてしまいますから」

「そう……ですね」


 あるいは俺の不安も増える。

 本当は姫様も、戦いの前に伝えるつもりはなかったそうだ。

 悩ませて、戦いに支障が出てしまうかもしれないから。

 二人のことを話さなければ、魔王を倒したその後で、彼女から告白されていたのだろうか。


「そろそろ戻ったほうが良いでしょう。彼女たちも寂しがっていると思います」

「はい。そうします」


 先に部屋を出ようとした俺の袖を、姫様がそっと引っ張る。


「エイト。これは私個人ではなく、王女としての助言です。あなたは誰か一人を選ぶことに固執していますね? それは間違いではありませんが、魔王を倒した後ならば、選択肢も広がるでしょう」

「それはどういう意味ですか?」

「英雄になるということは、一国の王になることに等しい意味を持ちますからね」


 そう言って笑う姫様を見て、俺は首を傾げた。

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― 新着の感想 ―
[一言] ハーレム容認している。(//∇//) でも正妻問題は残るがな( *´艸)
[一言] 言外に「自分を正妻に選べば『誰も選べないからみんな嫁にする』展開すら可能ですよ」と印象付けてる……
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