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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

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74.飛翔、即撃墜

「……」

「どうだい? 直りそうかい?」

「……この程度なら一日もあれば直せるよ」

「そうかそうか。さすがインディクス、予想通りで助かるよ」

「私は予想外だったがね。まさかこんな雑な理由で街を出されるとは……」


 魔王城の飛行機能を直すために、ゲーデまでひとっ走りしてインディクスを連れてきた。

 俺たちが知る限り、彼以上に魔道具に詳しい者はいないだろう。

 

「雑なものか。魔王城の機能だよ? 君だって興味あるんじゃない?」

「馬鹿を言え。こんなもの旧世代の遺物にすぎん。私にとっては取るに足らない」

「何じゃとお前! 妾たちの城を馬鹿にしておるのか!」

「馬鹿にはしていない。興味がないだけだ」

「何じゃと~」


 グルグルと犬のように唸るルリアナと、それを無視して修理を続けるインディクス。

 この二人は相性が悪そうだな。


「まぁまぁ落ち着いて」

「何なのじゃエイト、こんな奴に任せて大丈夫なのか?」

「大丈夫だと思うよ?」

「むぅ~」

「というより、ルリアナはインディクスのこと知らなかったの?」

「こんな失礼な奴など知らんわ!」


 城のことを悪く言われたルリアナは、プンプン怒ってそっぽを向いてしまう。

 二人の仲を取り持つのは難しそうだ。

 悪魔同士のほうが仲良くできないなんて皮肉だと思った。

 すると、インディクスがぼそりと言う。


「私も先代の娘など知らなかったな。そっちのご老人は……まぁ知らない仲ではないか」

「セルスさんと?」

「ええ。以前、彼を我々の城へ招待したことがありました。その際に一度だけ、お話をさせていただく機会がありました」

「じゃあインディクスも、元はこの城にいたってこと?」

「いいえ」


 セルスさんが先に否定した。

 続けてインディクスが作業の片手間に言う。


「私は断ったからな」

「え、断ったの? どうして?」

「待遇はともかく、理由が相容れなかった」

「理由?」

「そうだ。ここに生きる悪魔たちのために、その力を貸してほしい。確かそう言われたと思うが?」

「はい」


 俺は良い理由だと思った。

 ただ、インディクスには伝わらないだろうとも思った。

 彼は魔道具のことしか興味がないし、自分が作りたいものを優先するからな。


「他者のためになどくだらない。私は私のためにしか動かない。だから断ったのだ。環境と資金は用意するから好きにやってくれ、とでも言われたら断らなかっただろうな」

「……つまり、リブラルカにそう言われたのですね」

「ああ。だから協力していた。もっとも、それも数日前までの話だ」

「……信用してもよろしいのですね?」

「勝手にすればいい。私は私の利益を追うだけだ」


 二人の間に険悪な雰囲気が漂う。

 ルリアナよりも、こっちの二人のほうが仲良く出来ない気がした。

 ピリピリした空気を保ちながらインディクスは作業を続ける。

 セルスさんは監視のためと言い、作業している彼をずっと近くで見張っていた。

 俺たちはその空気に耐えられなくて、しばらくそっとしておくことに。


 翌日――


「終わったぞ。これで正常に作動する」

「本当か? 本当じゃろうな?」

「試してみればいい」

「良いじゃろう。もし駄目じゃったらお前を城の下敷きにしてやるのじゃ」

「そうか。ならば無事に飛んだ場合は、何をしてくれるんだ?」

「うっ……それは……」


 何も考えていなかったのだろう。

 ルリアナは目をそらした。


「ふん、冗談だ。君のような子供に何も期待していない」

「うぅ……馬鹿にしおって……」

「そんなつもりはないが、そう思うのなら自覚があるということだな」

「むぅう……エイト! こいつを黙らせろ!」

「えぇ」

「何じゃ何じゃ! お前までこんな奴の味方をするのか!」


 あーもう、収拾がつかなくなる。

 

 ルリアナはムキになってプンプン怒っている。

 口ではインディクスに勝てないから、俺の言霊を頼ろうと?

 もう少し落ち着いてくれないだろうか。


「インディクス、あまりルリアナをからかわないでほしいな」

「ふんっ、そちらが突っかかって来なければな」

「もしかして子供って苦手?」

「得意なように見えているのであれば、両目の交換を勧めるぞ」


 ですよね。


「もう良いから始めなさいよ」

 

 痺れを切らしたレナがそう言い、インディクスが小さくため息をこぼす。

 魔道具の制御盤に触れ、魔力を循環させる。

 初めて見た時とは明らかに起動の音が違う。

 ガタガタとうるさかったのに、今はとても静かだ。


「浮上の際に少々揺れる。何かに掴まっていることをすすめるよ」

「じゃあボクは」

「私も」


 アレクシアとレナが俺の腕に抱き着いてきた。


「何で俺に掴まるの?」

「安心するから?」

「安全だから?」

「俺は柱じゃないんだけど……」


 城が浮上を開始する。

 揺れはほんの少しだけで、掴まらなくても耐えられる程度だった。

 壁に貼り付けられた大きな板に、外の映像が映し出される。

 それを見てアレクシアが興奮気味に言う。


「浮いてるよ!」

「ああ」

「成功だな」

「むぅ……」


 ルリアナは悔しそうだ。

 と、そんなことを思った瞬間――


 城に衝撃が走り、地面に墜落した。


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