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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

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62.先代魔王の城

 ゲーデを出発し、魔王城へ向かう。

 インディクスから提供された情報に沿って、最短ルートで進む。

 今まではとりあえず西へ進むしか出来なかったけど、魔王城までのルートが明確になっただけで、旅の日数がいくらか短縮できそうだ。


「インディクスの情報が正しければな」

「おや? アスランはまだまだ疑い中だね」

「そりゃそうだろ。ちょっと前まで敵だった相手だぞ?」

「まぁね」

「そういう意味じゃ、彼女も信用できてるわけじゃないんだが……」


 アスランさんはエリザに目を向ける。

 トコトコとユーレアスさんの後ろにピッタリくっついて歩いている。


「本当に大丈夫なんだろうな? 魔力無効化できるんだろ?」

「うん。僕らにとっては天敵だね。逆に味方となれば心強いだろう?」

「そうだけど」

「心配しなくても大丈夫だよ。元々彼女は、僕らに恨みがあったわけでもない。ただ命じられたままに行動していた。今の主人は僕だから、僕らに危害を加えることはないよ」

「だと良いがな。何かあったら責任取れよ」

「その責任って言葉最近よく聞くな~」


 能天気に話しながら進んでいくと、情報にあったとある地点に入る。

 魔王城までは徒歩で二十日の距離。

 道草をくっている場合ではないが、確認しなくてはならない。


「もう一人の魔王がこの辺りにいるんだよね?」

「ああ。インディクスの情報通りならだけど」

「それに関しては嘘だとありがたいわね。敵が増えるのも面倒だわ」

「えぇーでもさ。魔王が二人って変だよね? 仲が良いとは思えないし、もしかしたら協力できるかもしれないよ?」

「勇者がそれを言って大丈夫なの?」


 レナが呆れている。

 俺も乾いた笑いが出た。


「全員止まって」


 突然、ユーレアスさんがそう言った。

 ピタリと立ち止まる。


「少し静かに。変な音が聞こえる」

「音?」


 耳を澄ます。

 風で草木が揺れる音が聞こえる。

 それに混ざって、地響きに近い振動音が聞こえてくる。

 どんどん大きく、近づいてくるように。


「ゆ、揺れてるよ!」

「自然の揺れじゃなさそうだね」

「敵の攻撃か?」

「まだわからない。とにかく警戒して。エリザはよく立っていられるね」

「この程度の揺れは想定済みですので。マスター、指示して頂ければワタシが確認に行きます」

「いいや、女性を一人で行かせるわけないないさ。それにほら? 揺れが収まってきたよ」


 振動が徐々に弱まり、俺たちも立っていられる程度になる。

 次第にゼロになって、音もしなくなった。

 揺れの発生源はおそらく前にあるだろうと考え、俺たちは警戒を強めて前進する。

 そうして進むと、開けた場所に出た。


「こ、これ……穴?」


 開けた場所、という表現は聊か間違っていたと思う。

 地面が大きくえぐれている。

 空になった湖のように。

 その中心に、城が建っていた。


「建っている……のかな? 沈んでいるようにも見えるけど」

「お城だね。古いお城」

「そうね。こんな場所に? インディクスの情報に城なんてあったの?」


 レナに言われてもらった情報に目を通す。

 もう何度も見ているから、確認するまでもないのだけど、一応見てみる。


「ないね」

「やっぱり騙されてるんじゃないでしょうね?」


 少し不安になってくる。

 ユーレアスさんがエリザに尋ねる。


「エリザ」

「何でしょう? マスター」

「君は確か、インディクスから色々な情報を教えられているんだよね? その中に、ここに関する情報はないのかな?」

「あります」

「本当かい?」

「はい」

「教えてくれるかい?」


 エリザがはいと答え説明を始める。


「ここにはかつて、先代魔王の城があったそうです」

「先代魔王?」

「はい。現魔王は約二年前に、先代魔王と戦い勝利しました。その際の戦場がここであり、魔王城は城下町ごと破壊され……とのことでした」


 先代魔王の城があった場所。

 そこについても驚きだが、みんな驚いているのは別のことだ。


 今の魔王の前に、別の魔王がいたのか?

 魔王は二年前に新しく誕生したわけじゃなくて、別の魔王からすり替わった?


「おいおい、その話が本当なら……ここで魔王を名乗っている奴って」


 アスランさんが途中まで言って言葉を詰まらせた。

 言うまでもなく、同じ予想が脳裏に過る。


 先代魔王が――この地にいる?

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― 新着の感想 ―
[良い点] 軽妙なタッチで、いつも楽しみにしています。 [気になる点] 30行目「それに関しては嘘だとありがたいわね。敵が触れるのも面倒だわ」 敵が触れる→敵が増える の間違いでしょうか?
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