表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第三章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

64/107

61.よく似合ってる

新章突入!

 インディクスの情報は大きく分けて三つ。

 一つは、魔王城の構造について。

 魔王城は言わずもがな魔王の領域だ。

 そこで戦うことを考えると、構造を知っているということは武器になる。

 少なくとも不利を和らげるくらいにはなるだろう。


 二つ目は、魔王と残り二人の幹部の能力。

 魔王に関しては特に情報がなかったから、これで対策も立てられる。

 さらに幹部二人のうち、側近である一人は魔王城から離れない。

 つまり、道中で戦うことになる幹部は、あと一人ということだ。


 そして三つ目、これがおそらくもっとも重要な情報。

 噂にあった凶悪な兵器の存在。

 それが事実だったと知る。


「その兵器はすでに完成している。何せこの私が設計して造り上げたのだからな。しかし運用に必要な魔力が膨大過ぎて、完成してすぐには起動できなかった。今も魔力を貯め続けているだろう。私の予測では、あと一か月あるかどうか」

「もし魔力が貯まったら、どうなるんだ?」

「無論、人間界は更地になるだろうね。あれは範囲と威力を極限まで高めた破壊兵器だ。一度使えば壊れてしまう分、威力を抑えていない」


 俺はごくりと息を飲む。

 彼が言う人間界とは、未開拓地域を除いた大陸の六割。

 その六割が、一瞬で更地になるという。

 信じられない話だけど、ここで戦った数々の魔道兵器や、ユーレアスさんの隣にいるエリザを見て、嘘ではないのだろうと思ってしまう。

 彼の技術力ならば、それくらいは出来てしまいそうだと。


「急いだほうが良さそうだな」

「ああ。私としても早急に出発することを勧めるよ。あーそれともう一つあった。その資料の最後にも書いたが、気になる情報があってね。確かめてくるといい」


 インディクスの資料に目を向ける。

 最後に書かれていたのは、魔王軍とは直接関係のない情報だった。

 ただ、魔王とは関係がありそうな情報ではある。


「もう一人の魔王……本当にそんなのがいるのか?」

「さぁな。だが地図で示したその場所に、魔王を名乗る何者かがいることは確かだ。もし事実なら、君たちにとっても捨て置けないだろう?」


 確かに事実なら、放ってはおけないことだ。

 仮に魔王を倒しても、別の魔王が新たに生まれれば、また同じことを繰り返す。

 敵ならば倒すべきだし、あまり想像できないけど、協力できるなら……とも思う。


「とにかく魔王城へ急ぐことだ。必要な物があるなら、ここから適当に持っていくと良い」

「エイト君」

「ああ、急いで魔王城へ行こう」

「ええ。その兵器が使えるようになる前に」

「ちょっと待った!」


 他のみんなも出発を急ごうとする中にひと声。

 声の主はユーレアスさんだった。


「な、何ですかでかい声出して」

「その前に重要なことが残っているよ!」

「重要なこと?」

「一体何が?」

「極めて重要なことだよ。今後の旅に大きく影響する……」


 いつになく真剣な表情を見せるユーレアスさんに、一同がごくりと息を飲む。

 そして、溜めに溜めて言い放ったのは――


「エリザの服を準備しなくては!」


 間違ってはいないから、反応に困る内容だった。


「そ、そうだね。その服でずっとは恥ずかしいよね」

「ええ、まぁ……間違ってはないわね」

「ユーレアスがまともなこと言ってるな」

「言ってますね。意外です。てっきりそれもユーレアスさんの痛い趣味かと」


 フレミアさんの発言が一番心に刺さりそうだ。

 痛い趣味か。

 それって間接的にインディクスを煽っているけど、本人は気にしてなさそうだな。


「と・に・か・く! 服は大事だよ! エリザもその恰好のままは嫌だろう?」

「いえ特に問題ありません」

「え……」


 どうやら本人が一番乗り気じゃないようだ。

 しかし目のやり場に困るのも事実なので、ユーレアスさんが説得して、街で服を買ってから出発することになった。


「女の子の服選び……俺は何も出来そうにないな」

「オレも同感だな。できれば店の中に入るのも嫌なんだが……」

「さすがに外で待ってるのも不審者みたいですよ」

「ああ、諦めよう」

「エイト君! アスラン! 早く入りなよ!」


 アレクシアが手を振って呼んでいる。

 俺とアスランさんは同時にため息をついて店内へ。

 女性物の服が並ぶ道を歩くとき、どこを見ていればいいのかわからなくて、挙動不審になっていた。


「この服とか似合うと思うの!」

「そうかしら? この子にはこっちじゃない?」

「私はもっと清楚な方が」

「……」


 女性陣は楽しそうに選んでいる。

 本人は無表情で、何を考えているかイマイチだが。

 

「微笑ましい光景だね~」

「ユーレアス、あなたも選びなさいよ」

「え? 僕も?」

「当然でしょ。あなたが言い出したのよ」


 レナに指摘されたユーレアスさんが、女性陣の輪に加わる。


「そうだな~ じゃあこれと、これ」


 ユーレアスさんが選んだ服をエリザに手渡し、試着してみる。

 白色をメインにした軽装で、ショートパンツに脚の露出は多いけど動きやすそう。

 上着もシンプルで、彼女の水色の髪によく合っている。


「中々良いじゃない」

「ですね。もっと際どい服を選んでくるかと」

「フレミアさんは僕を変態だと思っているよね?」


 フレミアさんはニコリと笑った。

 口では言っていないけど、ほぼ肯定している。


「ひどい誤解だよ。それどう? エリザは」

「これにします」

「え、そんな簡単に決めていいの?」

「はい。これがいいです」


 エリザは迷わず即決した。

 たぶんだけど、ユーレアスさんが選んだものだから……なのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! URLをクリックすると見られます!

『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://ncode.syosetu.com/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

【㊗】大物YouTuber二名とコラボした新作ラブコメ12/1発売!

詳細は画像をクリック!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ