表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

63/107

60.責任をとってください

 アレクシア、レナとアスラン、フレミア。

 それぞれ道中で合流し、四人で最深部まで向かっていた。


「急ぐぞ! 二人はもう戦ってるかもしれない」

「うん!」


 アスランの言葉に頷くアレクシア。

 合流出来なかったエイトとユーレアスが、すでに戦っているだろうと予想し、急いでブロックを抜けていく。

 道中に魔道兵器の障害がなかったこともあって、二人が先にたどり着いているのは明らかだった。


 そして――


「エイト君!」

「エイト!」

「みんな遅かったね」

「「「「え?」」」」


 たどり着いた四人とも、その光景に一瞬戸惑った。

 答えたのはユーレアスさんだった。

 俺はその横で、ソファーに座って寛いでいる。

 さらにすぐ隣には、敵であるはずのインディクスがいるのだから、混乱して当然だろう。


 アレクシアが慌てて尋ねる。


「な、なな、何で? どういうこと? 何で敵と一緒に寛いでるの?」

「安心したまえ。彼は敵だけど、もう降伏している。害はないよ」

「そういうことだ。君たちも走り疲れただろう? ゆっくり休んでいくと良い」

「……馬鹿なの?」


 キツイ言葉はレナだ。


「えっと、ユーレアスさんの言ってることは本当だから。害がない……と思うよ」

「どうしちゃったのエイト君!」

「まさか洗脳されて?」

「違うよ。あー、どう説明すればいいのか」


 悩みながら彼女たちに説明する。

 インディクスとのやり取りと、ここに至るまでの経緯。

 あの後、インディクスの治療を受けて、俺の怪我も完治した。

 半信半疑だった彼の降伏も、傷を治してくれたことで多少の信憑性は出ている。

 現に今は、魔王たちの情報をまとめているところだ。


「ほ、本当に大丈夫なの? だって敵だよ? 悪魔だよ?」

「そうだけどさ。他にも納得できる理由はあるんだよ」

「理由?」

「ああ。街の様子を覚えてる? みんなインディクスを慕っていたでしょ? 恐怖による支配からじゃ、あんな風に慕ってもらえない」


 インディクス曰く、別に慕われたくてやっていたことではないという。

 自身の創作環境を整える一環として、この街の統治をしていた。

 街の者に魔道具を提供しているのも、実験の一環だった。

 その結果、街は繁栄を遂げ豊かになったのだという話だ。


「本当に魔道具作り以外興味がないんだよ」

「で、でも裏切って魔王が許すの?」

「許さないだろうね。だが私がこういう悪魔だと彼も知っている。知った上で部下にしていたのだから、予想の範疇ではあるだろう。だから個人的にも、君たちが早々に彼を倒してくれることを期待するよ」


 話ながら作業を終え、インディクスは数枚の紙をユーレアスに手渡す。


「出来たぞ。これが私の持っている情報の全てだ」

「感謝するよ」

「おい、オレはまだ信用してないぞ」


 と、アスランさんが言った。

 さらに続けて質問する。


「オレたちを油断させるための罠ってこともあるだろ? そもそもお前は悪魔だろ? 悪魔なら、魔王が支配する世界に賛同すると思うんだが?」

「そうだね。確かに、魔王が統治する世界のほうが、私にとって有益だろう」

「……」

「だが、魔王時代は終わる。私は君たちの戦いを見てそう確信した。いずれ終わるなら、早々に移行してた方が賢い。私の望みは、魔道具作りを続けられる環境を守ることだ。信用できるかどうかは、その情報が正しかったかでハッキリするだろう。それに――」


 インディクスは徐に手を伸ばす。


「私がその気になれば、この施設ごと破壊して、君たちを殺すことも出来る」

「なっ」

「てめぇ!」

「そうしないのが証拠だよ。君たちなら理解できるはずだ。君たちを殺すだけなら、ここへ引き入れた時点で方法は山ほどあったのだからね」

「……」


 アスランさんは黙り込む。

 インディクスの言う通り、殺すだけなら転移先に罠を仕掛けておけばよかった。

 わざわざルート上に魔道兵器を配置したり、合流を促すことも。

 彼の言っていることは納得できる。

 ただ、相手は悪魔で、ましてや魔王軍の幹部だ。

 早々に、心から信用は出来ないだろう。


「……わかった。今はそれで納得してやる」

「感謝するよ」

「だが忘れるなよ? もし裏切ったら、魔王を倒した後にお前も倒す」

「そうならないから安心したまえ」


 これで一先ず、話は落ち着いた。


「さて、私から差し出せる情報は以上だ。何かほかにあるか?」

「一ついいかい?」

「何だい? ユーレアス」

「聞きたいことじゃなくてお願いなんだけど、今後は彼女にちゃんと服を着せてあげてほしい」

「エリザのことか。それは君の好きにすると良い」

「どういう意味だい?」

「言葉通りだ。君に敗れた時点で、私はもうそれに興味がない。勝ったのは君なのだから、君がしたいようにすればいいさ」


 インディクスは淡々と話す。

 興味がないから、もういらないのだと。

 冷たい言葉を口にする。


「酷い男だね。やっぱりそこは相容れないな」

「何とでも」

「はぁ、エリザだったね? 君はこれからどうしたい? 僕は基本的に束縛したり、されたりが嫌いなんだ。君の好きなようにして良いよ」

「好きなように……」

「そう。ここに残ってもいいし、街にて普通の生活を体験したいなら、この酷い親に頼んで準備してもらおう」


 酷い親ってインディクスのことか?

 間違いではないけど。


「どうする?」

「ワタシは……」


 エリザは何かを思い出し、自分の唇に触れる。


「責任を」

「ん?」

「責任をとってもらいたいです」

「……え?」

「無理やりキスをされたら、相手に責任をとらせるものだと教わりました」

「何それ? 何教えてるの?」

「さぁな。そんなことも教えたか? あまり覚えていないが」


 しらを切るインディクスと、キスという単語に反応する仲間たち。


「キスしたの?」

「しかも無理やり……最低ね」

「全くだ」

「責任はとったほうがいいですね」

「えぇ……どうすればいいの?」


 ユーレアスさんは困り果てる。

 そんな彼に、エリザが言う。


「ワタシを貴方の傍においてください。マスター」

「それだけでいいの?」

「はい」

「本当に?」

「はい。ワタシは……そう望んでいると思います」

「そうか。ならば仕方がないね。女性の頼みは断れないのが、僕の良い所だから」


 また格好をつける彼に、他のみんなは呆れていた。

 でも俺は、エリザと戦った彼を見て、正直ちょっと格好良いなと思ってしまった。

第二章はこれにて完結です!

最後まで読んでいただきありがとうございます。


ブクマ、評価はモチベーション維持、向上につながります。

【面白い】、【続きが読みたい】という方は、ぜひぜひ評価☆☆☆☆☆⇒★★★★★をしてくれると嬉しいです!

面白くなりそうと思っった方も、期待を込めて評価してもらえるとやる気がチャージされます!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作投稿しました! URLをクリックすると見られます!

『残虐非道な女王の中身はモノグサ少女でした ~魔女の呪いで少女にされて姉に国を乗っ取られた惨めな私、復讐とか面倒なのでこれを機会にセカンドライフを謳歌する~』

https://ncode.syosetu.com/n2188iz/

※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

第一巻1/10発売!!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000

【㊗】大物YouTuber二名とコラボした新作ラブコメ12/1発売!

詳細は画像をクリック!
https://d2l33iqw5tfm1m.cloudfront.net/book_image/97845752462850000000/ISBN978-4-575-24628-5-main02.jpg?w=1000
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ