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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

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57.魔造美少女

 最初に合流を果たしたのは、アスランとフレミアの二人だった。

 続いてアレクシアとレナのペア。

 一番合流が遅かったのは、エイトとユーレアスのペアだ。

 しかし合流してからの勢いは三組の中でダントツ。

 エイトの付与とユーレアスの魔法が合わされば、大抵の関門は突破も容易だったのだ。


 そして現在、最深部一歩手前まで到達していた。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


「いや~ 順調順調! もしかして僕らが一番乗りできるんじゃないかな?」

「……」

「おや? どうしたんだいエイト君? そんなに疲れたみたいな顔をして」

「疲れてるんですよ」

「うーん? そこまで疲れる相手だったかな? 僕らの力が合わされば、どんな魔道兵器も楽勝だっただろう?」

「……ええ、まぁ戦闘は楽でしたよ」


 疲れた原因はそこじゃないですからね。

 この人……本気でわかってない顔をしている。

 戦いの途中で急に考え事を始めたり、敵の攻撃を分析したいからってわざと受けようとしたり。

 あまつさえ構造を知りたいから言霊で動きを止めていてくれとか……

 戦闘そのものより、この人の我儘に付き合わされたお陰で、俺一人だけ倍の疲労を感じているよ。


「まぁ良いじゃないか。おそらく次が……最後だ」

「なんでそう思うんです?」

「見てごらん。あの扉だけ色が違うよ」

「ああ……確かに」


 目の前にある扉は、金ぴかの装飾が施されている。

 これまでの扉はどれもシンプルで、周りの白い壁に溶け込む色をしていた。


「あの扉を見ていると、屋敷を思い出しますね」

「うん。インディクスは本当に派手好きなんだろうね。じゃあ最後も気を引き締めていこうか」

「ユーレアスさんは自重してくださいね」

「え、うん?」


 この様子だと無理そうだ。

 俺は諦めてため息をこぼす。

 そのまま最後らしき扉に向い、集中し直すように一呼吸おいてから、その扉を開けた。

 

 また同じ部屋が広がっている。

 違いがあるとすれば、正面に今潜ってきた扉の倍は派手な扉があって、そこを守るように誰かが立っていること。


「あれはインディクスの後ろにいた?」

「綺麗な女性だね。まさか最後の番人は彼女なのかな?」

「その通りだよ」


 部屋にインディクスの声が響く。


「ようこそ最終関門へ。やはり君たち二人が一番にたどり着いたか。予定通りで助かるよ」

「予定通り? 僕らが合流したことも、君の想定内だったってことかな?」

「もちろんだ。最初に言っただろう? ブロックは私の好きなように配置を変えられる」

「なるほど。気付かない内に誘導されていたということか。だがわからないな? それなら合流させないほうが、君にとっては好都合だったはずだよ? 僕らを倒すなら、各個撃破のほうがやりやすかっただろうに」


 ブロックの配置を自在に変えられるのであれば、合流は簡単に防げただろう。

 いったい何ブロックあるかは知らないが、合流を妨害し続け、魔道兵器と連戦させればよかった。

 生身の俺たちは体力も無限じゃない。

 いずれ限界は来る。

 しかし彼はそうしなかった。


「これも言ったはずだよ。私の目的はデータをとることだ。今後の開発に、君たちとの戦闘データは大いに役立つ。倒すのは最終的にで構わない」

「あくまで君自身のためか」

「そうだ。そして今、君たちの前に立っているそれは、私の魔道兵器の中で最高傑作と呼ぶにふさわしい!」

「魔道兵器? 彼女が?」


 ユーレアスさんが驚き目を見開く。

 俺も同様に、目の前の女性へ視線を向けた。

 全身を灰色の布で隠しているが、顔は人間にしか見えない。

 ぱっと見のイメージでしかないのだけど、今までの魔道兵器と違うことは確かだ。


「彼女が魔道兵器だというのかい? 僕には生きた悪魔……いや人間に見えるけど?」

「それで間違いではない。彼女は生きている。私が生み出した新たな生命だ」

「生命? 君魔道の力で生命を生み出したのか?」

「ああ、そうだ。素晴らしいだろう?」

「素晴らしい……本当に素晴らしいよ!」


 ユーレアスさんが無邪気に笑う。

 高揚しているのが一目でわかるほど興味を向けている。

 たくさんの女性に囲まれた時よりも、これまでの魔道兵器を見た時よりも、数段上の喜びを感じているようにも。


「魔道の力で新しい命を生み出す! 君は神の領域に踏み入ろうとしているんだね」

「ああ、そうだとも! 理解できるか魔導士ユーレアス! ならば存分に堪能してくれたまえ!」

「いいとも望むところだ! ぜひとも見せてくれ! 魔道の極致を!」


 改めて思う。

 この二人は、よく似ている。


「エリザ、お前の力を示せ」

「了解しました。マスター」


 インディクスの命令に反応した彼女は、そのマントを脱ぎ去った。


「なっ……」

「ほう」


 思わず目を塞ぎそうになった。

 というより、目のやり場に困っている。

 マントの下に隠された彼女の身体は、透き通るように白くて傷一つない。


「おやおや、さすがに頂けないな~ せっかく綺麗な女性なんだから、ちゃんと服は着せてあげようよ。これじゃ局部を隠しているだけじゃないか。僕は嬉しいけど」


 本音が漏れてる。


「その必要はない。これが最善、服は邪魔になる」

「邪魔? まさか……君の趣味なのか? だとしたら変態じゃないか!」

「ユーレアスさんも嬉しいとか言ってましたよね」

「僕は良いんだよ」

「何で?」

「残念ながら外れだ。理由は戦ってみればわかるよ」

「う~ん、今さらだけどやっぱり女性と戦うのは気が引けるな~ 手加減してしまいそうだよ」

「安心したまえ。そんな余裕は――」


 刹那。

 彼女が視界から消える。


「なくなるよ」


 すでに彼女は、俺たちに手が届く距離へ接近していた。

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