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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

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53.ダンジョンゲーム

「インディクス!」


 アレクシアが聖剣を抜く。

 対してインディクスは冷静に、手を前に出して言う。


「そんなものを出しても無駄だよ? 君たちの前にいる私は本体ではない。映し出されているただの映像だ」

「映像?」


 確かによく見ると、彼の身体が透けている。

 足元には丸い水晶のような物が埋まっていて、そこから映像が出ているらしい。


「君たちがここにいるということは、無事に招待状は届いたようだね? 彼女にはあとでお礼を言っておこう」

「やっぱり罠だったんだね」

「罠? 人聞き悪いなぁ勇者君、いや私は悪魔だが、ここには罠なんて用意していないよ。君たちを招待したのは、私の実験に協力してほしいからだ」

「実験?」

「そう。私は魔導士だ。戦うことより作ることが大好きな魔導士なんだ。ここは屋敷の地下にある私の研究施設でね? 私が造り上げた魔道兵器の実験をするための部屋でもある。色々と作ってはいるが、試す相手がいなくて困っていたところに君たちのような逸材が来た。私はとても運が良い」


 饒舌に語るインディクスを見て、レナが嫌そうな顔をする。


「何だかこいつ、ユーレアスに似て腹が立つわね」

「えぇ? 何で罵られているのかな?」

「魔導士ユーレアス」


 インディクスが名前を口にすると、ユーレアスさんと向かい合う。


「人類最高の魔導士という噂は本当かな?」

「う~んどうだろう? 世界は広いからね。僕より優れた魔導士もいるかもしれない」

「ほう」

「ただ現状では、僕が一番だと思うけどね」


 二人とも不敵に笑う。

 何となく思う。

 この二人が似ているというのは俺も同感だ。

 言動や見た目もそうだけど、雰囲気がとにかく近い。


「やはり君たちの中では一番君に興味があるなぁ。いや、正しくは君の魔法にだが」

「奇遇だね? 僕も君になんて興味はないけど、君の作った物には興味津々さ」

「そうか、ならば丁度良いだろう? 私はここの最深部にいる。見事そこまでたどり着けたら君たちの勝ちだ。道中に私が作った魔道兵器を配置してある。ぜひとも善戦して、良いデータを残してくれたまえ」


 話は以上だとインディクスが言う。

 そして指を鳴らす。


「では、スタートだ」


 それぞれの足元が光る。

 手紙にもあった転移の魔法陣。

 罠はないという言葉は嘘だった。

 警戒はしていたはずなのに、会話で意識が逸れて対応が遅れる。


 気が付けば俺は一人になっていた。

 周囲の風景は変わらない。


「みんなだけ転移したのか?」

「違うよ」


 インディクスが答える。


「君たちはそれぞれのスタート地点に移動したんだ」

「スタート地点? レースでもするつもりか」

「レースではないかな。言うなればダンジョンゲームだよ。この施設は、巨大な一つの魔道具でね? ブロック状の部屋がいくつも連結している。部屋の配置は私の自由だ」

「魔道具?」


 この部屋一つでも巨大と言えるのに、それが複数あるのか。


「見えるだろう? 私の後ろに扉がある。左右と後ろにもだ。部屋によっては上下を繋ぐ階段もあるよ」

「なるほど、だからダンジョンか」

「そう。あーでも安心してね? ちゃんとどのスタート地点からでも最深部にはたどり着ける。もっとも、実験の途中で負ければ終わりだけどね? 死体はこっちで有効活用するから、その点も心配しなくて良い」


 いらない気遣いだな。


「心配しなくてもちゃんとたどり着くから」

「そうか。健闘を祈るよ。ところで君の付与は、魔道具に効くのかな?」


 それだけ言い残し、インディクスの映像が消える。

 代わりに魔法陣が地面に展開され、一体の魔道兵器が出現。

 形状は六本足の蜘蛛みたいだ。


「これが魔道兵器。もっとゴーレムみたいなのを予想してたんだけど」


 光を反射する表面。

 おそらく鉄か何かの金属だろう。

 ガシャンガシャンという音をたてながら、猛スピードで俺に迫る。

 俺は横に跳び避けて、周囲の壁や天井を見回す。


 データがほしいと言っていた。

 それにさっきの質問も。

 おそらくどこからか見て、聞いているのだろう。


「魔道具に効くのか、だったか」


 答えを今から見せよう。

 迫りくる魔道兵器に、俺は言い放つ。


「『潰れろ』」


 ゲシャンと上から押し潰されたようにひしゃげる。

 六つの足がへし曲がり、胴体から外れバラバラになる。


 昔の俺なら……隠れスキルに気付く前までは、遠隔で付与できるのは生物の味方限定だった。

 それに単純な強化くらいしか出来なかったよ。

 だけど今は、生物だろうと魔道具だろうと関係ない。

 言葉は音で、音は空気の振動だ。

 その振動さえ伝わるなら、何にだって付与できるし、命令できる。

 簡単な付与しか出来なかったのも、俺がそうだと思い込んでいたから。


「生憎だけど、実験にならないかもしれないよ」


 早く最深部へ到達して、このゲームを終わらせてやる。

 

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