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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第二章

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46.ライバルの戦い

 一時の過ちという言葉がある。

 気の迷いとか、進行上仕方なくとか。

 結局はただの言い訳なのだが、今こそ俺は声を大にして言いたい。


「エイト君……」

「ち、違うから! 俺からは何もしてないから!」

「ええ、そうね。エイトからはしてないわ。だから今度はエイトからしてね」

「ちょっ、レナさん!」

「レナで良いわ。キスまでしたのに余所余所しい呼び方は止めてね」

「エイト君!」

「はい!」


 アレクシアに名前を呼ばれた俺は、背筋をピンと伸ばして立ち上がった。


「エイト君……」

「え、ちょっと待ってアレクシア!」


 どうして聖剣を握りしめているんですか?


「エイト君の……」

「誤解なんだって! 聖剣はさすがにマズいから!」

「裏切者おおおおおおおおおおおおお」

「ごっへぇ!」


 思いっきり聖剣を振り下ろしたアレクシア。

 間一髪のところで回避したけど、真っ二つになったベッドと部屋の壁を見て青ざめる。


「アレクシア落ち着いてくれ!」

「うぅ……」


 涙目で俺を見つめる。

 そんな顔をしないでくれと思いながら、近づけない雰囲気に気圧される。

 すると……


「危ないわねアレクシア。エイトが怪我をしたらどうするの?」


 そう言ってレナさんが俺の腕に抱き着く。


「怪我をさせたらだめよ? これから一緒に夜を過ごすんだから」

「れ、レナさん?」

「よ、夜!? 駄目だよそんなの! エイト君はボクのなんだから!」

「へぇ~ そうだったのね? じゃあ今日からは私と取り合いをしましょうか」

「いいから離れてよレナ!」

「嫌よ」


 二人の可愛い女の子が俺を取り合って一触即発。

 ある意味夢のような状況だけど、挟まれる立場になってみてわかる。

 心臓がもたない。

 どうしてこうなったんだ?


 そこへ助け船ならぬ仲介人がやってくる。


「すごい音がしたけど大丈夫かい?」

「ユーレアスさん!」


 良かった第三者が来てくれた。

 察しの良いユーレアスさんなら状況もわかるはず。

 二人に落ち着くよう言ってもらおう。


「ふむふむ、なるほど修羅場だね」

「あ、あのユーレアスさん?」

「大丈夫、心配しなくても良いよ。僕はここで見ているから続けてくれたまえ」

「何が大丈夫なんですか!」


 駄目だ。

 期待する相手を間違えていた。


 もう勘弁してくれ。


 結局、この後にアスランさんとフレミアさんが来てくれて、一先ず落ち着いた。

 壊れた部屋から移動して、別の部屋のテーブルを挟んで座る。


「ごめんなさい……」


 しょぼんと申し訳なさそうに顔を伏せるアレクシア。

 俺は彼女を励ますように言う。


「だ、大丈夫だったよ。怪我はしなかったし」

「うん……だけどぉ……」


 アレクシアがレナさんへ視線を送る。


「レナはどういうつもりなの?」

「さっき言った通りよ? 私のことをエイトにあげたの」

「意味がわからないよ……」

「じゃあわかるように言うわ。アレクシアと同じ気持ちなのよ、私もね」


 そう言えば伝わると、レナさんは思ったのだろう。

 現にアレクシアには伝わったようだ。

 代わりに俺から、レナさんに言う。


「あ、あのレナさん」

「レナで良いって言ったでしょ?」

「じゃ、じゃあレナ。お礼って言ったよね? もし感謝とかが理由なら、無理に返そうとしなくても」

「本当に鈍いのね? あなたにもハッキリ言わないと伝わらないのかしら?」


 レナが真剣な表情で俺を見つめる。

 俺も緊張して、ごくりと息を飲んだ。


「あなたのことが好きになったのよ、私も。アレクシアみたいにね」

「っ――」

「からかっているわけじゃないわよ?」

「は、はい」

「それで? エイトは私のこと、どう思う? 嫌いと言われたら、素直に引き下がるわ」

「き、嫌いじゃないです。でも……」


 俺はアレクシアに目を向ける。

 落ち込んでいる様子の彼女を見ると、胸がぐっと痛くなる。

 彼女と言葉を交わし、身体を通じ合って、心も通い合ったと思っている。


「まぁそうでしょうね。わかっていたわ」

「レナ……」

「だーかーら、さっきも言ったわよ? これからはライバル、取り合いましょうって。私はもうあなたのものだから、次はあなたを私にものにするわ」


 レナがニコリと笑う。

 その笑顔は少しだけ、お兄さんと似ていた。


「わかった!」


 そこへ鋭く割って入る声はアレクシアだ。

 彼女は立ち上がり、何か吹っ切れたような表情でレナに言う。


「レナもエイト君が好きなんだね」

「ええ、アレクシアよりもね」

「ううん、ぜーったいボクのほうが好き! だから負けないよ」

「私も負けないわ」


 二人の視線が火花を散らす、ように見えた。

 何だか話がまとまりつつあるけど、俺の気持ちはどうすればいいのだろうか?

 

「いや~ 青春だね~」

「ユーレアスさん」

「エイト君、レナは今まで他人に心を開かなかった。仲間である僕たちにも、どこか一線引いて接していた。そんな彼女が心を開いたんだ。これは喜ばしいことだよ」

「そうなんですかね……」

「ああ。まぁ相談には乗るから。のろけ話とかでも大歓迎だよ!」

「……楽しんでますよね?」

「もちろんさ」


 絶対にユーレアスさんには相談しないでおこう。

  

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