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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第一章

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30.昨日はお楽しみでしたね

 アスタルを倒したことで結界は解除された。

 周囲を覆っていた霧も消滅した。

 俺とアレクシアはクタクタの足で頑張って歩き、大きな木の下で倒れている女の子の元へ戻った。

 気を失っていたけど、魅了の効果は解除されている。

 感覚鈍化を付与して、しばらく経てば目を覚ますだろう。


「俺が負ぶるよ」

「うん。よろしくね」


 そのまま村へ戻る途中で、慌てた様子のユーレアスたちと合流した。

 歩きながらフレミアさんの治療を受け、ことの顛末を話した。


「なるほど、まさか幹部が出張ってきていたとは、油断したね」

「すまなかったな、大事な時に一緒に戦えなくてよ」

「ううん、大丈夫。エイト君が一緒にいてくれたから」


 アレクシアが微笑みかけてくる。

 俺もそれに返す様に笑って、彼女に言う。


「俺も助けられたよ。お互い一緒で良かった」

「うん。守ってくれてありがとう。戦ってるエイト君、とっても格好良かった。えへへ」


 頬を赤らめるアレクシアを見て、可愛いなと素直に思う。

 彼女は勇者だけど、やっぱり女の子だ。

 そんな俺たちをじーっと見つめる視線に気づいたのは、数秒後のことだった。


「何だか良い雰囲気だね」

「そ、そうですか? それより村は大丈夫だったんですか?」

「ん? ああ、結界が張られてすぐ、女性陣が暴れ出したけど、僕の魔法で眠らせたから安心してくれたまえ。その後で結界に来てみたら、術者を倒さないと開けられない種類で参ったよ」

「そうだったんですね。村の皆さんの魅了も解けているでしょうし、無事でよかったです」

「こちらのセリフだよ。本当に無事でよかった。それとエイト君、アレクシアを守ってくれてありがとう」

「いえ、仲間ですから」


 村に戻ると、女の子も目を覚ました。

 眠っていた女性陣も目を覚まして事情を説明したが、どうやら魅了されていた時の記憶は曖昧らしい。

 何かにとりつかれていたようだったと言っていた。

 それから何度も謝罪されて、気にしなくて良いと返す件を散々やって、結局はその日は一泊することになった。

 宴をやり直そうという話が出たけど、さすがにヘトヘトだったから断って、寝床を貸してもらった。

 空いていた部屋は四つ。

 頑張った人が広く使えば良いとユーレアスさんが提案し、他のみんなも同意して、俺とアレクシアは一部屋ずつ借りることになったわけだが……


「一人も逆に落ち着かないな」


 昔の俺だったら平然と寝ていたと思う。

 ついさっきの出来事が激しすぎたことも理由だろう。

 身体は疲れているのに、目はパッチリ開いてしまっていた。

 するとそこへ――


「エイト君」

「アレクシア?」

「うん。あの……入ってもいいかな?」

「ああ」

 

 何か用だろうか?

 アレクシアが扉を開けて入ってくる。

 重たい金属の防具類は脱いで、寝るときのラフな格好だ。

 寝間着とは言えないだろうけど、ラフな格好をしたアレクシアは初めて見る。


「お邪魔してごめんね? 起こしちゃったかな?」

「いいや、実は全然眠れなくてどうしようかと思ってたところ」

「そうなんだ」

「アレクシアも?」

「うん。それもあるけどね」

 

 話しながらアレクシアは、俺の前にちょこんと座る。

 それから改まって――


「エイト君、ボクを助けてくれてありがとう」


 お礼を口にした。


「それはもう散々聞いたよ」

「うん。でも、何回も言いたかったの。あの時は本当に怖くて、涙も止まらなかったんだ。体中が変になって、嫌な夢も見せられて……そんな時、エイト君が言ってくれたでしょ? 俺はここにいるよって」

「ああ」

「すっごく嬉しかったし、安心したんだ。心の底から、勇気が出るみたいだったよ」

「そうか」


 それは良かった。

 ただの言葉でしかないけど、ちゃんと伝わって、彼女の力になれていたのなら十分だ。


「気持ちは受け取ったよ。もうそろそろ寝たほうが良い。ちゃんと寝ないと、明日からに支障が出る」


 彼女と話して安心したからなのか、俺も少し眠気が襲ってきた。


「ま、待って! まだ終わりじゃないの。も、もう一つあって」

「もう一つ?」

「うん。あのね……ボク、夢の中で……いろんな人にお、襲われて……。まだ覚えて……消えてくれないの」


 アスタルが施した悪夢。

 そういえば、あいつがそういう夢を見せたと言っていたな。

 心は回復しつつあるようだが、見せられてしまった悪夢は記憶として、彼女に残ってしまっているようだ。


「だ、だからね? え、エイト君に……し、してほしいなぁって」

「……へ?」


 思わぬ一言に驚いて、俺は聞き返す。


「な、何だって?」

「だ、だから! ボクと一緒に寝て、それでその……恥ずかしいよぉ」

「うっ、な、何でそうなったの?」

「ら、乱暴されたこと消えないから。エイト君にしてもらえたら、全部忘れられると思うの」


 どういう話の辻褄だ?

 つまりあれか?

 上書きしろとでも言いたいのか彼女は。


「駄目だよそんなの。そういうはほら、好きな人とじゃないとさ」

「ボク、エイト君のこと好きだよ」

「え……」

「助けられた時から、胸の奥がドキドキってするの。これは好きってことだよね?」


 俺に聞かれても困る。


「エイト君は……嫌、なの?」

「い、嫌ではないよ」


 俺だって、アレクシアのことは嫌いじゃない。

 一緒に戦って仲間意識もあるし、守ってあげたい気持ちもある。

 それに最初から、可愛い女の子だとも思ってた。

 だけどいきなりだし、空気に流されているような気もして、理性が抑え込もうとあがいている。


「エイト君、ボクのことエイト君でいっぱいにして」


 潤んだ瞳で迫られて、理性が弾ける音がした。

 俺は自分が、自制のきく人間だと思っていたけど、どうやら俺も男の子らしい。

 可愛い女子に迫られたら、理性の敗北は防げなかった。


 その翌日。


「「「「昨日はお楽しみでしたね」」」」


 他の全員にしっかりバレていた。

 恥ずかしくて死にたくなったよ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 久しぶりに読みかえしてますけど やっぱり面白いです [気になる点] 大学生の男が中学生の少女相手に… 少女の特殊な環境につけ込んで… [一言] 事案ですw
[一言] そっか~王女様とじゃなくて勇者とか~ 王女様が知ったときキレなきゃ良いけど。 楽しみにしてます。
[一言] 某竜退治ゲームの名(迷)言、お約束ですねぇ。これを知ったら、王女様はどんな反応をすることやら。
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