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【WEB版】この宮廷付与術師、規格外につき〜人類唯一のスキル「言霊使い」で、俺は世界に命令する〜【コミカライズ】  作者: 日之影ソラ
第一章

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21.一緒に魔王を倒そう!

 朝日の眩しさに起こされたその日。

 早朝から仕事場へ向かう途中、姫様に声をかけられた。

 話があるから来てほしいと言われ、案内された部屋には、勇者様たちが待っていた。

 何事かと緊張する俺に、姫様は真剣な眼差しを向ける。


「エイト、あなたには勇者パーティーへ参加して頂きたいと思っています」

「……え?」


 完全に虚をつかれて、気の抜けた声が出てしまった。

 言葉の意味はわかるけど、理解はできなかった。

 

「えっと……あの……どういう意味でしょう?」

「言葉通りの意味だぜ」


 そう言ったのはアスランさんだった。

 彼は爽やかな笑顔を見せ続ける。


「オレたちと一緒に、魔王討伐の旅に出ようって話だ」

「お、俺がですか?」

「他に誰がいるのよ? 鈍い男ね」

 

 呆れ顔を見せるレナさん。

 やれやれと両手でジェスチャーする。

 今度はフレミアさんとユーレアスさんが続けて言う。


「突然のお話で驚かれていますね」

「無理もないさ。ここは一つ、こうなった話の経緯を説明しようじゃないか」

「それは私から説明しましょう」

「姫様がそうおっしゃるなら、お任せしますよ」


 姫様はニコッと微笑み、俺のほうへ視線を向ける。


「実は昨日の夜、皆さまとお話をさせて頂きました。主に現在の戦況についてです」


 姫様はこう続けた。

 勇者一行は現在、魔王軍の幹部を二人撃破し、今回の一件で三人目が倒された。

 順調ではあるものの、魔王軍の勢いは衰えていない。

 むしろ幹部が倒されたことで緊張感が増し、より手強くなっているという。

 アービスが今頃になって王城を襲撃したことも予想できず、後手に回ってしまったこともある。


「それに魔王軍の間では、不穏な動きが増えているそうです。強力な兵器の完成も近いと、敵の悪魔が話していたと」

「強力な兵器……ですか?」

「詳細は僕たちにもわからない。ただ話しぶりからして、完成すれば人間界なんて一瞬で支配できる、みたいな強さらしいよ」


 とユーレアスさんが補足した。

 そんな兵器が本当に開発されたら……


「そこで君だよ! エイト君」

「はい。エイトの力は本物です。それは私や、騎士団の皆さんが知っています」

「君の付与術について聞かせてもらったよ。結論から言ってしまうとね? 君の付与術は明らかにおかしいんだ」

「おかしい?」

「そう、おかしい。別に悪い意味じゃない。普通の付与術とは明らかに違う。付与できる効果の種類はもちろん、効果時間が永久なんて聞いたことがない。まず第一に、触れてもいない対象に付与できるなんて君くらいだよ?」

「しかも人にも付与できるんだよな?」

「は、はい。できますけど」

「付与術は人には使えないわよ、普通ならね」


 アスランさんとレナさんが続けてそう言った。

 最近特に感じることが多くなったけど、俺の付与術の認識は、一般的な物とは大きくずれている。

 効果が持続するのは最大でも一日程度で、付与するには対象に触れる必要があって、物や道具にしか出来ない。

 それがみんなの知っている付与術らしい。

 対して俺の付与術は……確かに全然違うな。


「異常……何でしょうか?」

「僕は才能だと思うけどね?」

「才能?」

「そうさ。君の中には、自分でも気づいていない才能が隠れているのかもしれないよ」


 俺の中に……才能が?


「エイト、あなたは強いです。それは助けられた私が一番知っています」

「姫様……」


 才能があるとか、君は強いとか。

 そんな言葉は、俺なんかとは縁遠いものだと思っていた。

 思えば姫様と出会ってから、俺の人生は大きく変わったな。

 昔の俺なら、自分を信じるなんてことは言えなかったし、思いもしなかっただろう。

 だけど今は、こうして認めてくれる人がいる。

 必要としてくれる人たちがいる。


「エイトさん!」


 アレクシアが俺の手を握り、めいっぱいの笑顔で言う。


「ボクたちと一緒に世界を救いに行こうよ!」


 勇者が、仲間になってほしくてこちらを見ている。

 温かくて小さいけど、聖剣を握り続けている強い手で、俺の手を握りしめている。

 もう答えは考える必要もなさそうだ。


「はい。俺なんかでよければ喜んで! 皆さんの力になれるよう頑張ります!」


 こうして俺は、勇者パーティーの一員になった。

 新しい旅が、これから始まろうとしている。

 

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