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プロローグ
初投稿です。
よろしくお願いします。
音もなく降っていた雨はいつの間にか止んでいた。
どんよりとした空気の重さだけがまだ残っている。
ずっと手元に集中していたせいか目も肩も凝り固まっているので、軽く力を入れて伸ばした。
文字を書くことは得意ではないけれど、1文字の失敗も許されない手紙を書いていた。
張り詰めていた気が緩んで、冷めた紅茶も美味しく感じる。
「この手紙を、ヴィンスに届けたいの。」
傍らのメイドに書き上がった手紙を託した。
ここから王宮は遠くない。今日中に届くだろう。
きっと私があの人に送る最後の手紙になる。
自分で告げる別れだというのに、これでせいせいした、と笑いたいのに、胸は6月の湿気を吸ってじくじくと痛み始めていた。




