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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

エンジェルラッシュ‼

作者: 鮫田鎮元斎

wordから切り貼りしました。

変なとこあったら教えてください。

 その時、天使が舞い降りた!

 赤く染まった空! 崩れ去った廃墟! がれきの山!

 そして人々を蹂躙する異星人!

 まさに地獄絵図!


 やってきたのは人々を救うべくやってきた天使!

 神々しく輝く髪と二対の翼、光輪と純白の衣。

 左手の聖書に右手の光弾。


 今こそ悪に裁きの鉄槌が下される!


 圧倒的なまばゆい光が異星人も人間をも巻き込んですべてを破壊する!

 廃墟もがれきも塵となる。生きとし生けるものは灰燼に帰する。

 天使は返り血など浴びない! すべての血、体液、その他もろもろの水分は一瞬で蒸発するのだ! 残留物は圧倒的な圧力で粉々になる!

 光が晴れ空は青く澄み渡り一帯は更地となった。


「あースッキリした……」

 この天使、実を言うと中身は男で元はただの人間である。

 ふしぎなちから(ファンタジー)によって天使の力を手に入れ救世主となる資格を得た健全で普通だった男子高校生なのだ!

 すべての始まりは一か月前のことである――――




 その日、地球は瞬く間に異星人に征服された。

 先人が探求してきた物理法則を鼻で笑う身体能力、科学を冒涜する謎のテクノロジーに核爆発などものともしない頑丈なボディ。人類なんて敵うわけなんてありませんでしたとさ、まる。


 さて後に天使となって人類の救世主としてあがめられる少年はその時ゲームをしていた。

 ストレス発散系スマホゲーム『エンジェルラッシュ‼』

 荒廃した世に舞い降りた天使ミカエルが立ちはだかる肉壁(ザコ)を撃破していくバカグロゲーである。

 受験に交友関係、家庭の事情で悩みに悩まされてきた彼にとっての癒しであった。

 謎の飛行物体が出現したときも彼はそれをプレイしていた。

 突如まばゆい光に彼の体は包まれる。のちに知ることとなるがこれは核の光であった。


 そして気が付くと彼は天使となっていた。

 鮮やかなマゼンタ色の長い髪。豊満な胸にくびれた腰、むっちりとしたお尻。すらりとした長い手足に垂れ目気味の大きな瞳。背中には真っ白な翼が二対。そう、その姿は『エンジェルラッシュ‼』でプレイヤーが操るキャラクター、ミカエルに瓜二つなのであった。

「どーなってんだ、これ……」

 頬を叩いたりつねったりしてみた。とっても痛かった。

 これは彼の身に起こった事実なのだ……!


 しかし! これはただのコスプレ姫野郎となったわけではなかった。

 指を鳴らすと光の球体が出現した。適当に投げつけるとすべてが消滅した。謎の飛行物体に向けて投げつけた。核ミサイルで傷一つつかなかったものが瞬時に塵となった。

 それを皮切りに異星人の艦隊が出現し一斉砲撃された。

 だが天使に不浄なる者どもの攻撃など効かない。迫りくるレーザーだの砲弾などは目の前に出現した光の壁に阻まれるのだ!


混沌の光(カオスレイ)♡」


 手のひらを前に向ける。まばゆい光が放たれ八割方消滅した。めっちゃ楽しい。

 そんなことしたら精鋭部隊的な人型ロボットが出現した。ガ○ダムっぽい奴らだった。とても強そうである。そのような部隊など天使の前には無力なのであるっ! 


混沌の剣(カオスブレード)


 指先をそろえて腕を横なぎにふるう。ロボットさんたちは上半身さんと下半身さんがお別れすることとなった。

 彼はかつて経験しないほどの爽快感と甘い快感に浸っていた。

 気持ちいい。めっちゃくちゃ気持ちいい。

 つまるところ、天使の力は最強。向かうところ敵はない。

 控えめに言って、サイコー。


 気が付くと頬がぬれていた。感極まって涙がこぼれていた。

 小説や漫画では強すぎる力におぼれてはならないという教訓話がよくある。しかし力におぼれるのなど当然のこと! むしろその快楽に浸るのが作法というものではないのか?

 この現実世界は、彼にとってはもはやゲームフィールドと化した。彼はもはや平凡な高校生ではなくこの世を浄化する天使ミカエルなのだ。ゲームキャラらしくすべてを破壊しつくすのが筋というもの!

 いつの間にやら消滅していた天井から大空へと飛び出す。ぐんぐん、ぐんぐんと高度を上げていく。吹き付ける風がとても心地いい。


 町一帯を俯瞰できる高度で滞空する。トーガのような白い衣が風でたなびく。

 地平線の彼方には謎のオブジェクトが存在していた。

 よし、手始めにあれを壊すとしようか。

 両手を天に突き上げ『ふしぎなひかり』を集める。抱えきれないほど大きくなったそれを思いきり投げ飛ばす! 目標はその辺。

 運動神経が皆無だった彼の投擲力では狙った方向へ飛んでいかず、近くの海に被弾した。結果的に津波が発生し海岸近くの町が壊滅した。

 そんなことを彼は気に留めず次なる攻撃を放った。


混沌の光線(カオスレーザー)


 指を銃の形に変え謎のオブジェクトに向けた。指先から眩い光が放たれ爆発音が響く。

 人類の英知を結集して作られた兵器ですら傷つけることのできなかった建造物が、音を立てて崩れ去り、勝利を確信していた異星人たちは蜘蛛の子を散らすように逃げていく。

「逃がしはしないっ!」

 亜音速の飛行により異星人たちを追跡する。

 逃げても隠れても、すべて無駄ぁっ!

 すれ違いざまに異星人たちを吹き飛ばして揮発させていく。

 個体ごとは弱いが数が多い。いくつかは取りこぼしてしまうだろう。

 だがそれでいい。





「少しでも長くこの遊びを楽しみたいから……簡単に絶滅してくれるなよ?」

 



 そして現在。

 謎の天使に追われた異星人たちは地球人たちを蹂躙しつつ、種の防衛を行うべく日夜彼女(中身は男)の対策に励む。

 それに対して(自称)天使、ミカエル。異星人たちをちょうどよく絶滅させぬよう程よく乱獲(というより虐殺)を実行。

 天使と異星人との闘い。少なくとも人類が滅亡するまでは終わりそうもないのであった。


続くわけがない

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