冒頭部SS - 9 / 9
……そして翌日。
ルミアと共に、彼女が仕切るギルド「セルージア」へと向かう
「急ごしらえとはいえ、よく訓練についてきたわね、二人とも十二分に力はついてるからこれから何の心配もなくギルドでやっていけるわ。」
会話を交えながら町中を歩く、時折ルミアに声を掛ける住人へ笑顔で軽く手を振る。
「ギルドに着いたら早速、加入登録をしましょう。……そうねぇ、二人とも名前だけじゃなく名字はどうするのかしら?」
ルミアの質問にノルがはっと気付きバツの悪い表情で言い返す。
「ええとすいません、まだ決めて無いです。」
「なるほど、そうねぇ、……それじゃあギルドに入るほんの贈り物として決めてあげましょう。」
ルミアは振り返り、ノルを指差し告げる。
「"ディライト"、……ただの光にあらず、という意味よ、……どうかしら?」
「……ノル・ディライト、……うん、良いですね!ありがとうございます。」
ノルの返事を聞くとルミアはノルに微笑む、そして再び歩き始めた、
「そう、気に入ってくれて私も嬉しいわ!……それで、フィルちゃんは?」
顔を赤らめもじもじしながらフィルは答える
「実は……私はもう決めてるんだー、……"ランラ"って!」
フィルの告げた言葉に、ルミアは何かに気付く
「あら?それって……」
「うん、ひいお婆様だけが知っていて教えてくれた、女神様の名前です!」
「そう、実にステキじゃないかしら」
ルミアは静かに微笑む、そして一息つくと今度は仰々しく声を上げる。
「さぁてさて!これから名乗り、呼ばれることになる、パーティの名前は決めたかしら?」
ルミアが質問すると、不意にフィルがノルに声を掛ける
「えっとノル君、もし良ければ……私が決めても良いかな?……と言っても、二人の名前を組み合わせただけなんだけど……」
「どんな名前なんだい?」
「……"フィノル"って言うの、……どう…かな?」
「うん、悪くないね、それにしようか。」
そして大きな建物が見えた時、いつになく低い声色、真剣な表情でルミアは告げる
「……それじゃあこれからちょっとした儀式を行うわ、私の問いかけに自分の口から答えて」
「……二人とも、それぞれのフルネームと役割職を教えて」
ルミアの問い掛けに、まずはとフィルが真っ先に答えた。
「名前は"フィル・ランラ"!役割職は詠唱魔法術師です!」
「名前は"ノル・ディライト"、役割職は詠唱魔法猟戦士です」
「パーティの名前は何かしら?」
「「フィノルです」!」
……やがて三人はギルドに到着し足を止める。
「それじゃあ、気持ちの準備は良いかしら?」
二人は向かい合うと深呼吸する、……そして、ノルとフィルはギルドへ一歩足を踏み入れた。
「それじゃあ改めて、……ようこそ二人とも!ギルド"セルージア"へ!!」
…………、ここまでは、冒険の始まり、そのほんの冒頭でしかない、旅に出るのはまだ先になるだろう。
……これから僕らを待ち受けているもの。
緊急依頼、フィルを元に戻すため神の国での旅、醜悪なる陰謀、帰還の方法への手がかり、ノルの過去、……魔王。
……そして僕達は、未来へ挑む。
……はい、すいません。
続きがあるような書き方をしていますが、続きの予定はありません。
投稿しておいてなんですが、自分のネタを書き残すつもりで書いたので……。
一番書き残したかったところが、 3/9 話の ノルが禁術発動するところとそのセリフです、
状況とか色々考えてくうちに設定とか前後が思いついてこの長さになった次第です。
後書きで締まりが悪くなりましたが、読んで頂きありがとうございました。




