だいたい全部、星座占いが悪い
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気づいたらそこは豪華な、とても豪華な部屋だった。
いつも通りに教室でみんなでおしゃべりしていたはずなのに。
床がパッと光ったときには目の前が真っ暗になって、見えるようになったと思ったらこの光景だ。
いったい、何が起こっているのだろう。
あたりを見回してみた。
テレビで紹介されるような立派な広間。
ヨーロッパの王宮? そんな感じの場所にいることがわかる。
壁際で並んだ鎧を着た人たちが、こちらを見てささやきあっているのが聞こえる。
何語だろうか? 聞き覚えのない言葉だ。
広間の奥の方には偉そうな格好をした、偉そうな椅子に座っている人が見て取れる。
その目には安堵と不安とが入り混じっている。
そして、そばにはみんながいることがわかって安心した。
いや、安心するにはまだ早いのかもしれない。
だって、ここがどこで、どうしてこんなところにいるのか、何もわかっていないのだから。
いったいぜんたい、何がどうしてこうなったんだろうね?
でも、僕たち5人の紅一点である掛井さんは、こんな時でも気遣い上手だ。
「……えっと、どういうこと? みんな大丈夫? 体調崩したりしてない?」
肝が細い僕は咄嗟に反応を返せない。
「おいおい、新手のドッキリ……とかじゃあなさそうだな」
普段は楽天家で底抜けに明るい赤葉くんも、顔をひきつらせている。
彼が豪快に笑って受け入れられない状況に出会うのは珍しい。
「これが巷で噂の異世界転移……ってやつなのかな」
読書家である藤原くんは広いジャンルの本を読む。
だけど、そういう小説も読んでたんだね。初めて知ったよ。
「こいつぁまた、たまげたな!」
なんだか思考放棄している小嵐くんの筋肉も、いつもより見劣りしている。
好奇心の強い彼だけど、お願いだからこの状況で突っ走らないでほしい。切実に。
「実は、今日の星座占いの順位最下位だったんだよね」
そして、最後の1人が僕、高橋三郎。
事ここにいたっては、何の変哲もないモブキャラでいたかったよ。
異世界転移かぁ。まじかぁ。
本当に、やんなっちゃうね、もう。