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第47話:松竹梅と旅行の支度

「そうそう今年の夏の、旅館取っておかないとね。」


「ああ、そういえばそうですね、今年も雫さんにお願いして良いですか? 雫さんがやると何故かいつも安くしてくれるんですよね。」


「ふふふ、任せなさーい。」


「え、なにそれ? もしかして旅行に行くの!?」


おお、やっぱり食いついたな。こんちには、玲です。それにしても食べてる途中に立ち上がるなっていつも言ってるのに……。しょうがない奴だなぁ。


「ほらミュウ、行儀が悪いぞ。茶碗と箸を持ったまま歩くな。」


「でもでも玲君旅行だよ!? 私こっちに来てからあんまり色んな所行ってないから楽しみー♪」


「しょうがないな………前に海に行くって言っただろ? あれは実は近くの旅館に泊まり込みで行くんだ。」


「ふふふっ、ちなみに源泉掛けながし温泉付きよ、美肌効果のあるね。」


「美肌効果ですか……玲さん、どれだけ美しくなるつもりなんですか?」


「アラナ、眼が飛んでるよ、おーい……。あ、玲君ご飯おかわりー。」


ボケたり、突っ込んだり、食べたり大変だな。そういえば大家さんがいないな。いつも一番先に来て食べはじめるのに。


ガチャガチャガチャガチャガチャ……バキッ


「おーい、玲。」


「あー……久しぶりで油断してました、鍵かけたの雫さんですね? というか大家さんも最初にノックくらいしましょうよ。」


「ノックしたら壊れた。」


「玲ちゃんと私の間にドアも鍵も要らないと思うわ。」


ノックの意味をわかってるのかなー大家さん。てか雫さんの発言に関しては意味が分からない、壊すために鍵かけたって事か?


「でも遅れるなんて珍しいですね、どうしたんですか?」


「そうですねー、食って寝て食う事しかしないのに。」


「雫、食べるの二回言ったね。」


「大事な事だから二回言ったのよ。それしかしてないって理由もあるけど、食べる事を言えば大家さんの活動の全てを語ることが出来るからね。」


大家さん酷い言われようだな。でも否定出来ないな、昔はバイトでいつも疲れて帰って来てたけど、今じゃ見る影もないしね。雫さんが全部稼ぐし。


「ああ、実は今買い物に行ってたんだけど。」


ガシャーンッ!!!!


「ちょ、ちょっと玲君大丈夫!?」


「あ………た、玲さん大丈夫ですか!?」


「あ、悪い、ちょっと力が抜けた。片付けないとな。」


「玲ちゃんがお皿を割るなんて………大家さん、少し生活を改善した方がいいんじゃないですか?」


「……今そう思った。」


なんでだろう、今一瞬気が遠くなった。でも大家さんが買い物なんて本当に珍しいな。何買いに行ったんだろう。


「姐さん姐さん、何買いに行ったの?」


「大家さんが自分で買いに行くくらいですからねー。えろい感じの何かですかー?」


「まぁ、これを見てえろいと思うかは人それぞれだな、個人的には凄く興奮する。」


「もったいつけますね、大家さん。そんなに凄い物なんですか?」


「まぁ見てみろ。」


んー凄く気になるな、でもいかがわしい物は見たり触るなって大家さん言ってたしな。


「ふっふっふっ。私が買ってきたのは、これだ。」


「「………なっ!?」」


「わー、水着? でもそれ男物だよね、玲君の?」


「そのとーり!!」


そういえば昔の奴は小さくて駄目なんだったな。大家さん覚えててくれたのか。でもどうして人によってはいかがわしい物なんだ?


「ブ、ブーメランとは……やりますね、大家さん。」


「どうだ、玲。」


「ああ、ありがとうございます。丁度買いに行こうと思ってたんです。」


「気にするな、泳ぐ時でも普段時でも好きな時に着てくれ。私が喜ぶ。」


「大家さんグッジョブ過ぎます……。この雨夜鳥雫、流石に今日ばかりは尊敬します。」


なんで雫さんは大家さんを拝んでるんだ。まぁ本当は今度学校の皆で買いに行く約束をしてたんだけど、買っちゃったもんはしょうがない。折角大家さんが買ってくれたんだし。


「本当にありがとうございます。」


「……そんなに礼を言われると少し罪悪感が沸いて来るな。」


「そんなもの沸かせる必要はありません、大家さんは正しい事をしました。それに玲さんが喜んでいるので私的にはオールオッケーです。」


「アラナも自分の欲望に素直になってきたよね? 今度から私と一緒に玲君と同じ布団で寝る?」


「こらミュウ、アラナちゃんが嫌がるだろ。」


ほら、真っ赤になっちゃった。ってミュウはなんで呆れた様な眼で見るんだ?


「鈍感な玲さん……。でもそれが良い」


「あらら、アラナがトリップしちゃったよ、まぁいつもの事だけど。……って、玲君何してるの?」


「ん、何って電話。」


受話器を手にしてたらやることは一つだと思うけどな。


「うん、それは分かるんだけど何処に? 予約は雫が取るんでしょ?」


「ああ、ハディムとかシムさんとか海鈴も旅行に誘おうと思ってな。空いてる日を教えてもらわないといけないだろ? 入院中も何かと世話になったし、良い機会だと思ったんだけど……。」


「………ほぇー……。」


ん、ミュウめ。なんだその顔は。てか皆もこっち見てるし、どうしたんだ?


「姐さん、どんな教育したらこんな人が育つの?」


「ミュウちゃん。大家さんがどうかしたのではなく、玲ちゃんだからそうなのよ。この子は優しさと気遣いから生まれたの。」


「雫はさり気なく失礼だな。でも確かに元からこういう風だぞ、玲は。」


「流石玲さんです。天界を統べるに相応しいです。政権交代の日は近そうですね。」


「……なんなんだ、皆。」


俺は単に礼も兼ねて皆と行けたら楽しそうだと思っただけなんだが……なんかそんな眼で見ないで欲しい。なんだかこそばゆいぞ。


「……と、取り合えず。皆は良いですか? 他の人誘っても。」


「ふふっ、良いわよぉ。お世話になってるものねー? ふふふふっ。」


「照れ隠ししてる玲さんもイイ……。」


「あー楽しみだね、旅行♪」


……まぁ、いっか。さて、皆予定が合えば良いんだけど。


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