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第45話:昔々のばーじょん大家

「ん? 玲が私の噂をしているな。」


「流石は今流行りのJINGAIですね。妄想が酷く鬱陶しいです、腐りなさい。」


「雫はもう腐ってるがな、玲の飯を食う妖怪HIKIKOMORIめ。」


………久しぶりね、妖精よ。ん? 喋り方? なんか玲が入院してる間に雫さんに矯正されて……って言うか、そろそろ本名名乗りたいんだけどまだ駄目なの? そして今大家さんと雫さんに誘われて三人麻雀してるんだけど………この二人はケンカしないと駄目なの? 死ぬの?


「腐っても、引きこもっても、私は玲ちゃんの奥さんになるから良いんです。体だけ捧げてれば私はそれでオッケーです。ただのHIKIKOMORIじゃありません。Hikikomoly・Wifeです。大家さんとは違うんですよ、玲ちゃん連れて出てってやります。」


「ふざけた事を抜かすな、何がHikikomolyだ。そんな意味不明な形容詞で飾られた奴に玲は渡せねぇ。玲を連れて出て行けるものなら行ってみろ、玲は絶対に私を選ぶね。玲はお母さんっ子だから。」


「いいえ、あの子はお姉ちゃんっ子です。過去の栄光に縋り付くなんて惨めですよ大家さん。……あ、それロン。」


「え? ……あ、しまった。」


二人の口ゲンカを聞いてたら頭がこんがらがって……ううっ。えーと点数は……。


「リーチ、トイトイ、赤含めドラ4。あ、裏乗ったからドラ6ね、取り合えず親倍よ。」


「ちょっ、何よそれ、チートよ、チートっ!! 絶対イカサマしたでしょ、六連続じゃない!!」


「ふふふっ、さぁ、証拠はあるのかしら? と言うより大家さんの透視の方がチートよ。さっきから一度も振ってないし。」


「生まれてから玲にしか振った事はないな。」


「うう……この化け物どもめ……。」


絶対におかしいわ、この人達。一応私も妖精なのに、結構魔法とか使えるのに……なんで効果がないのよ……。


「それはそうと、前から気になってたんだけど。玲と二人はどんな関係なの? 結構昔から此処に住んでる気配を感じてたけど。」


「へぇ、流石は倉庫の人だな。分かるのか。」


「せめて妖精は付けてくれない……? それだとただの可哀相な人なんだけど。」


確かに間違っちゃいないんだけどね? でも好んで倉庫に住み着いてるって意味に取れるからね?

あれ、でも最近はテント暮らしだからテントの人……なんかそれも嫌ね。


「でも、私も確かに興味ありますね。私が此処に来たのが五年くらい前でしたけど……。その時には玲ちゃんは居たものね、いつから一緒に暮らして利権を貪っていたんですか?」


「ああ、そういえば五年前だったな、私の幸せな日常に異物が入り込んだのは。……ったく、あれ以来玲とまともにスキンシップ出来てねぇんだよなぁ、一緒に寝る回数も徐々に減ってったし。」


「………そういえば、あの頃から料理のセンスは神懸かってましたねぇ。それ以上に可愛さが全てを超越していましたが。」


「あんたらどんだけあの子が好きなのよ。」


ちょっと家族愛とかの限度を超えてるわ。


「玲が望むなら世界の一つか二つくらい滅ぼしてやる。」


「玲ちゃんが望むなら世界の黒幕にして見せます。」


「え、まさか本当に出来ないわよね……?」


「「さぁ?」」


あの子が普通の子で良かった。お願いだからこのまま真っ直ぐに育って欲しいものね。……まぁ、魔法少年はしばらくやってもらうけど。


「ところで、大家さん。今、話題逸らしたでしょう。」


「あーあー、そう思うなら蒸し返すなよ。しつこい奴は玲に嫌われるぞ?」


「大丈夫です、そんな事では動かないくらい、私は玲ちゃんに愛されてますから。」


「……前から思ってたんだけど、二人とも病気なんじゃないの?」


だっていい加減に怖いくらいなんだもの。この二人の価値観の基準は全て玲で統一されてるみたいだし、あの子が世界征服したいとか言い出したら普通に犯罪くらい犯すんじゃないかしら。


「まぁ確かに病気かも知れないわね、無論恋の病だけど。」


「雫の頭の悪さも最早病気だな、草津の湯でも治せないのは一緒だけど。」


「オバンの嫉妬はウザいですよ、大家さん。そして上手く流せたと思っているようですがそうはいきません、私は玲ちゃん関連の事にはしつこいんです。」


流石はストーカーね、地雷だろうとなんだろうと構わず進むその姿勢は正直真似できないわ。


「ったく、仕方ねぇな……ここに玲が住み始めたのは今から8年くらい前だ。」


「ふふっ、やっと話す気「寝てろ」……に……。」


ドサッ……ガシャ。


「え……今、何が……。」


いきなり雫さんがぶっ倒れたようにしか見えないけど……、今寝てろって聞こえた気がするわ……。


「別に、ただ少し意識を奪っただけだ。……お前にも必要か?」


「いや、あの、要りません!!」


怖えぇぇぇぇぇぇぇっ!?!?! やっぱり何かしたんだ、全く見えなかったんですけど!! てか牌に顔面から突っ込んだ雫さん。大丈夫かしら? でも、大家さんがこんなに避けたがるなんて何があったんだろ。ちょっと気になる。


「あんまり話したくない事なんですね……?」


「まぁ、玲の昔を知ってるのは本来、私だけでいいからな。」


「………へ?」


「で、でもまぁ、写真くらいなら見せないでもないぞ? いいか? 雫には内緒だからな?」


ああ、成る程つまりはそういう事か。


「えーと、あの別にそういうのは…………イヤ、ミタイデス。」


「良い心掛けだ。えっと、まずこれが玲の九歳の誕生日の……。」


この親馬鹿うぜえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!! 私のシリアスを返せっ!!

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