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第40話:魔女っ子少女と入院中

ガチャ


「御邪魔するわよ。調子はどう?」


「ん? ああ、海鈴みすずか。まぁまぁだな。」


またまた病院からのこんにちは、玲です。ん? ああ、海鈴ってのは例の魔法少女の名前だよ。最近良く来るんだよなぁ、あんまり気にしなくて良いって言ったのに。なんだかんだで気にしやすい性格なのかな。


「わ、私はただ私のせいで怪我させちゃったから見に来てるだけで他意はないんだからね!?」


「はいはい、分かってるよ。」


「くっ、その言い方、それはそれで凄くムカつくわね……。」


勝手に怒らないで欲しいんだけどなぁ、なんか理不尽だ。『何か楽しい事』を探してる時の大家さん並みに厄介だな。


「それより、欲しい物ない? 言ってくれれば買って来るわよ?」


「そうだなぁ、折角だしなぁ、んー……。」


特に普段から何をしてるとかはないからなぁ、退屈だから本でも頼むかな………待てよ? 今日は確か……。


「『月間主婦の節約料理』の発売日じゃないか!? 海鈴、頼む買って来てくれっ!!」


「……そんなのが欲しいの? まぁ、えっちな本を頼まれるより良いけど……。」


「そんなのとはなんだ!! 家計を預かる者として、節約は重要なんだぞ!?」


「……あんた、どういう家庭に育ってるのよ。」


なんだよ、その哀れむ様な視線は。料理と節約は俺の楽しみの一つなんだからな。


「まぁいいわ、ちょっと待ってなさい。今、いって来るから。」


「ああ、頼むぞ。」


なんだかんだで、いう事は聞いてくれるんだよな。確かに助かるし、何より入院中だから人が来てくれるだけでも嬉しいし、ありがたい事だ。


「それじゃあ……。」


ガチャッ!!


「やっほー玲君、遊びに来たよー♪ あ、メロンだ、玲君、これ食べていーい?」


「玲さん、調子は如何ですか? ミューは何しに来たのよ、座ってなさいっ!!」


「順調に回復してるよ、というか元々入院なんて大袈裟なんだよ、ちょっと怪我しただけなんだからな。おい、ミュウはなんで包丁とまな板を持参してるんだ? あーほら、危ないから俺に貸せ、切ってやるから。」


二人共、俺が叱ってからは来てなかったのに……まぁ、たまには良いよな、うん、騒がしいのも許してくれるだろ、別に寂しかったわけじゃないぞ? 叱ったのを後悔とかしてないからな?


「もう、びっくりするじゃない、いきなり入って来るんだもの。」


「ああ、済まないな。二人共、次はちゃんとノックするんだぞ?」


と言ってもアラナちゃんはともかくミュウには多分無駄なんだろうな。


「え……でもそれだと、着替えシーンを覗いてしまって気まずくなるってイベントが発生しないよ?」


「言うと思った……大体、俺の着替え見て嬉しいか?」


「え、当たり前じゃないですか。」


「……まさか、アラナちゃんにそう返されるとは……。」


アラナちゃん、君がたまに分からなくなるよ。アラナちゃんは稀にミュウよりも意味不明になる時があるからな。


「ねぇ、玲。そこの二人は一体誰なの?」


「ん、ああ。そういえば、海鈴は初対面だったな。こっちは俺の住んでる部屋の同居人のミュウで、こっちは……。」


「婚約者のアラナです。」


「ねぇ、アラナちゃんどうしたの? 今日はテンションおかしいよ? というか、笑顔が怖いんだけど、一体何があったの?」


アラナちゃんのジョークは激しく本気に見えるからなぁ。


「同居人……って一緒に住んでるの!? あんたと、この子達が!? って、婚約者って何? 犯罪? 拉致監禁!?」


「いや、婚約者は嘘だから、お前もテンションおかしいから、落ち着け。」


くっそー、なんで皆今日はテンションおかしいんだ。ミュウもメロン食ってないで場の沈静化に協力して欲しいものだ。真面目にメロン食いに来たんじゃないか?


「ねぇ、玲さん。この人から強烈な敵の匂いがするんですけど、この病室に通い積めてるんですか?」


「ん? まぁ、ここの所毎日かな。」


「………へぇ……?」


さっきからアラナちゃんの海鈴に対する殺気が凄いな。海鈴が怪我の原因だって事は、大家さん達の暴走が怖いから伝わってない筈だけど……。


「海鈴さん。」


「え、な、何?」


「ご苦労様でした、もう来ないで良いですよ? 明日からは私が通いますから、元々騒がしくしてるのは私じゃありませんでしたし、問題無い筈です。」


「………なるほど……そう言う事……。」


「アラナちゃん、何を言ってるんだ? 確かに来てくれるのは助かるけど……。」


「玲さんは黙っていて下さい。」


「そうね、玲は黙ってなさい。」


…………なんで? 俺何かしましたか?


「まぁ、私は今から『玲に頼まれて』料理本を買いに行くから話はその後ね。」


「時間を稼いで態勢を立て直すつもりでしょうけど無駄ですよ。今日発売の本なら私が買って来ていますから、ほら。」


「くっ……。」


「ふふふっ、出る杭は早めに叩かせて頂きますね。」


出る杭ってなんだよ、でも流石はアラナちゃん、発売日知ってたんだな。


「玲君も大変だね。」


「……そう思うなら何とかしてくれよ。」


「少しはフラグ作りを自重したら考えてあげるよ。自業自得。」


「だからなんのフラグだよ。死亡フラグか?」


むしろミュウのせいでハディムに殺されそうだけどな。


「ふん、私なんて魔法使えるわよ、全男性の92%は魔女っ子萌えなんだからねっ!!」


「あら、魔法なら私も使えますよ? 天界の皇女を舐めないで下さい、今ならもれなく皇女様属性が付随されるんですから!!」


「……結局騒がしくなっちゃったね。」


「そう思うなら何とかしてくれよ。」


メロン食ってないでさ

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