第4話:天使な悪魔とフードバトル
「ねぇ玲君、このアパートって玲君と大家さんしかいないの?」
こんにちは玲です。
昨日の夜は大変だったんだよ。
このアパートはキッチン付きリビングの他に部屋が二つある構造になってて、一つの部屋は物置状態だから俺が寝てる部屋にしょうがなく寝かせたんだけど、この天使悪魔、何処から見つけたのか寝袋を持って来て天井に吊しやがったんだよ。オマケにその中で寝やがって、俺は天井が落ちてこないかヒヤヒヤしてろくに眠れなかったし。こいつは俺の安眠すら妨害するのか
「いるぞ濃いのが、それも隣りにな。おい、そんなに眼を輝かせるな。不安になるだろ」
多分、俺にとって不利益な科学反応をするんだろうな…。大家さんの時みたいに
「それじゃあ早速…」
ピンポーン
「来たぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」
またこのパターンかよ…。今俺は寝不足で疲れてるんだ。きっと食事の準備を強要されるし。天使悪魔との科学反応も止めて欲しい
「ミュウ、これは手動マッサージ機の押し売りだ。疲れて疲れをとると言う意味不明な代物だ。出るな」
「む、なるほど最近流行のアレだね?分かった玲君、私に任せて!そんな奴は手動マッサージ機を置いて帰らせてやるよ!!」
しまった逆効果か!!ならばどうする。考えるんだ俺
ガチャ…カチャカチャ…カチ…カチャ………バギッ!!
ガチャ
「おじゃましまーす」
「おい、今何したこのやろう!!バギッっていったぞ!!」
「また鍵を複雑化したわね?全く、私のピッキングだって万能じゃないんだからもっと簡単にしてよね?じゃないと私の知的なイメージが崩壊するじゃない」
誰が知的だ。
はぁ…また鍵作り直さないと…。
まさか俺の努力が暴力に屈するなんて…。
あ、この人はお隣りさんね。
雨夜鳥 雫さん、18歳。ちなみに大学生じゃないよ。飛び級で13歳で海外の某有名大学を卒業しているらしく証書も見せてもらったけど、未だに偽造なんじゃないかと疑ってるね。ちなみに黒いですよ?ああ、腹もだけど髪もねロングだし、美人だし。けど性格がなぁ…。一番大事な所がなぁ…
「雫さん、昨日は珍しく来なかったですね?少しは改心したのかと期待したのに…」
「するわけないでしょ…おかわり」
うわ、勝手に…。それもおかわりって…。やっぱりこの人はダメな人だ。ダメな塊なんだ。そしてよそってしまう俺もダメな奴だ
「ん…?」
「あ、初めまして居候のミュウです♪」
天使悪魔と人の皮を被った悪魔のファーストコンタクト。しばし沈黙、ミュウは少し浮いている
「……いくら?」
「はい…?」
何がいくらなんだ?もしかしてミュウか?
「いくら出したの…?言いなさい」
「買うんですか!?…取り敢えず1980円でどうでしょう?」
「そ、そんな玲君…!?」
冗談だ。人を売ったりなんて最低な事はしないさ。早く帰って欲しいけど。
「違うわよ、ミュウちゃんがいくらだしたか聞いてるの!」
「へ…?私が玲君に…?お金も何も上げてないけど?」
食費すらもな、単純計算で5倍になったぞ。天使と悪魔と松竹梅の住民の胃袋には何か特別な消化機能でもついてるのか…?
「そ、そんな!!タダで3食昼寝付き、召使付きの自堕落生活を約束されたって言うの!?う、羨ましい」
「へへん、まぁね♪」
「まぁねじゃねぇよ!誰が召使だ!てかお前も食費くらい払えよ、こっちは家計が地獄車なんだよ!!雫さんが置いてく金だって無限じゃねぇんだぞ!!!」
こいつら人を何だと思ってやがる。ああ、召使いか。マジでどうしてくれよう
「あ、玲君私もおかわり!」
「なっ…」
ミュウの奴いつの間に食ってたんだよ。こいつら、相変わらず食う事に関してはとてつもない能力を発揮しやがるな
「やるわねミュウちゃん!伊達に玲の家に住もうってわけじゃないみたいね…!」
「雫こそ…ふふふ。でも、玲君家の食材を食い潰すのはこの私だよ!」
「止めて下さいお願いします!本当に破産させる気ですか!?」
この二人にフードバトルされたら本当に終わる!主に家の家計が!!
「うぃーす。食費食い潰しに来たぞぉ!」
最悪のタイミングに最悪の発言だぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!
「あら、大家さん♪フードバトルやる?おかわり!」
「姐さんも玲君の家計に火を付けようよ♪おかわり!」
「おいおい、玲の事も考えろよ?あ、私にもおかわり」
ああ、これが俺の生きる道なんですか神様
松竹梅日誌 雨夜鳥 雫 皆さんお初ですね、知的で美人な雫です♪お姉様って呼んでも良いですよ?にしても日誌ですか、作者も珍妙な物を考えましたね。それではフードバトルの結果報告でもしましょうか。あの後大家さんが乱入して来たんだけど、玲ちゃんがキレそうになったから皆自粛しました。玲ちゃん怒ると怖いしね…。でもお腹空いたなぁ…玲ちゃんとこの冷蔵庫になんか入ってたかなぁ…