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第39話:悪魔な待女と入院生活

「……あー病院って暇だ、家事したいなぁ。もしくは何かの世話したい、ペットとか花とかミュウとか。」


こんちわ玲だ。良く分からない内に入院する事になっちまったよ。個室とはいえ、雫さんと大家さんが騒ぐと他の人に迷惑だしあんまり来ない様に言っておいたけど、やっぱり静か過ぎるな。でも絶対に泊まるとか言い出すしなぁ……。


「暇だなぁ、あー暇だなぁ、もう暗殺者とか変態でも良いから来ないかなぁ」


まぁ、来てもあまり歓迎出来ないかも知れないけど。


ヒュッ………ドスッ。


「あれ、何このナイフ、暗殺者? 暗殺者本当に来たの? ナースコールはっと……あ、今ので切られてる。」


何この神様からの贈り物。と言うかどこから投げて来たんだ? 普通に怖い。


「暗殺者さん、俺何か悪い事しましたか? 入院してからも毎日松竹梅の皆の健康チェックはしてるし、勉強もしてるんですけど。」


「悪いのは貴方の頭と性癖ですよ、生物の汚点風情が入院なんておこがましいにも程があると言うものです。」


「そうか、このゴツいナイフ、見覚えがあると思ったよ。」


ある意味暗殺者であり、暗殺者より怖い人が来ちゃったよ。そう言えば俺が退院するまでハディムが皆の面倒見てくれてるんだよな。


「で、まさか本当に殺しに来たんじゃないだ『死に晒せ外道めっ!!』危ねぇなこんちくしょうっ!? 何しやがるんだ髪の毛が少しもっていかれたぞ!?」


「何を言ってるんですか? ここは病院ですよ。」


「答えになってねぇ!?」


くそっ、ナースコールも使えないし怪我しても放っておく気満々じゃねぇかよ!?


「いきなり現われて殺される理由が全く分からないんだが!? ミュウの居候の事はちゃんとカタがついただろうがっ!!」


「白を切るつもりですか、この性犯罪者が。アラナ様だけならこのハディム多少の融通は利きましたが、ミュウお嬢様まで貴方達の合法近親相姦劇に巻き込むなんて……。」


「……何の事だ?」


「あーもう拷問してやります。この私ですら接吻はミュウ様とムードのある場所で初めて同士の恋人同士と言うロマンチックな状況下でしようと幼少の頃から心に決めていました。それなのにそれなのに、ああもう私の幸せを返せぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!!」


え、何あのハディムが手に持ってるペンチ、そしてなんか眼が据わってるんですけど、うわ、楽な死に方出来そうにないな。


「生爪と生皮どっちが御希望ですか?」


「待てぇぇぇぇぇぇっ!!!! 話し合えばきっと分かり合えると言うか何をそんなに怒ってるんだお前はぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


「何を……? ……ふ、ふふふっ……それがお嬢様の可憐な唇を純情に付け込み凌辱し蹂躙した者の言い訳ですか。何が口移しですか……うふふっ……あはははははっ……。」


ヤバイ、非常にヤバイ。何か良く分からないけど本気で命の危機だ。……ん、口移し……?


「何を言ってるんだ?」


「……本気で頭がおかしくなったりしたんですか貴方は? 貴方みたいなのが存在するから戦争は無くならないのです、消えなさい。」


「俺が消えたら戦争は終わるのか?」


「私の戦争は終わります。じゃあ、取り敢えず爪からいきますね?」


……うっわー、眼がマジだよ。顔は笑ってるのに眼は笑ってないよ。何か背後に黒いオーラが見えてるよ。


「待て、頼むから話合いの余地を与えてくれ。ってか、そんな迷惑そうな顔するなよっ!? 迷惑なのはこっちだから、通り魔に会った感覚だからね今!!!」


「ベリッっと行きましょう、ベリッっと。」



もう暗殺者じゃなければ誰でもいいから助けに来て下さい。


「それじゃあ痛いですから、しっかり泣き叫んで私の心を満たして下さいね。」


「誰かぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!! こいつを正気に戻せぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!」


シュバッ


「そこまでですよ、ハディム殿っ!!!」


「……この聞き覚えのある変態臭い声は、シムホールですか。」


た、助かった。こんなにシムさんが頼もしく見えた事はない。……でも、絶対にタイミング狙ったな、これは。天井から出て来たし


「ハディム殿がミュー殿以外のお見舞いなんて珍しいと思い駆け付けて見れば、やはりこの様な事になっていましたか。」


「うふふふ、当然です、制裁です。腐れ変態、邪魔立てするなら貴方も始末しますよ……?」


「……何と言う殺気。この人が魔王やった方が良いんじゃないでしょうか……。」


てかもうハディムの眼が逝ってるもん、駄目だ、戦闘力が違い過ぎる。


「そうだ、目の前でシムホールを剥いでからにすれば恐怖心が更に……うふふふっ。」


「……来なければ良かったかも知れません。」


「今更泣き言を言っても無駄ですよ、シムさん。」


シムさんが少し涙眼になってるし、駄目だ変態じゃ役に立たない。


「じゃ、親指から……。」


「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!」


ピロロロロロロッ


あ、電話だ。そう言えば雫さんから借りてたんだったな。


「あれ、ミュウからだ。」


「仕方ありませんね。ミュウお嬢様からの電話が終わるまで待ってあげます。」


ありがとうミュウ、着信音が福音になったよ。


「もしもしミュウか、どうしたんだ?」


『んーん、大した事じゃないんだけど、ハディムがそっちに行ったでしょ? 何か玲君に迷惑かけてるんじゃないかなーって。』


「ああ、今殺されそうになってるよ。シムさんも居るけど役に立たない。」


俺にとっては目茶苦茶大した事なんだけどな。


『……玲君って本当にトラブルに巻き込まれるよね。』


「まぁな。所で、こいつは何をこんなに怒ってるんだ?」


『多分、玲君には理解出来ないよ。人工呼吸と口移しを同一視するもんね、玲君は。』


「……?」


『まぁ、いいや。玲君、ハディムに代わってくれる?』


「ん? ああ。ハディム、ミュウが代われだって。」


「分かりました。」


さっきから口移し口移しって皆何を言ってるんだ? 雫さんの話だと体に負担をかけちゃいけないかららしいけど……。やっぱりこれからは自嘲しよう。雫さんが教えてくれる知識は日本じゃ通用しないのかも知れないしな。あの人帰国子女だし。


「…………そ、そんな……。」


「どうしたんですか、ハディム殿。」


「何か予想がつくんだが。」


「お嬢様が……ミュウお嬢様が……嫌いって……。」


「「…………。」」


やっぱりか。流石ミュウ大好き人間、効果は抜群だ。


「……おーい、ハディム。」


「……もういいや、死んじゃおう。」


「待て待て待て、早まるなっ!!!」


「ミュウ殿の言葉は凄い効果ですね……。」


流石に首にナイフを当ててあんなリアルに死ぬなんて言うとは思わなかったけどな。……仕方ないか、何か俺が原因見たいだし。


「ほら、ハディム、これやるから元気だせ。」


「……何ですかこのボロボロのノートは、貴方の妄想集ですか?」


「違うわっ!! ……俺のレシピノートだよ、俺が退院するまで貸してやる、ミュウの好きなメニューはそこに書いてあるから、それで機嫌でも取るんだな。」


「…………。」


全く、これを誰かに見せる事になるなんて思って無かったな。まぁ、勢い余って傷を作ったなんて事になったら大変だ。雫さん曰く顔に傷は付けちゃいけないらしいからな。


「……お、お礼なんて言いませんからね、貴方が勝手に渡したんです……。」


「あー、はいはい、いいから早く帰れ。」


「……何か気に触る言い方ですが今回は何も言いません。それでは。」


やっと帰ったか……何か異常に疲れたな、やっぱり騒がしいのはいけないな、うん。


「ハディムをデレさせる存在なんてこの世界にミュウ殿しかいないと思っていましたが、流石玲殿。……ちょっと相談なのですが……フラグの立て方とか教えて頂けませんか?」


「あんたも帰れ。」


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