第31話:悪魔な従者の仕事風景
「むむむ……相変わらず駄目魔王の趣味に当てる金額が大きいですねぇ……よく暴動が起きないでいますよね」
「シムホール、冴えない面をしかめているとグロい感じになるので止めて頂けませんか?」
「あ、相変わらずハディム殿はミュー殿以外には酷いですね……」
こんにちは、全世界の女性の味方シムホールです。あ、ハディム殿ですか? もう諦めましたよ。肩に触れようとしたらナイフが飛んで来る様な方は女性とは認めませんからね。ちなみに今は魔界王室関係者の事務室でお仕事です。一応魔界の幹部みたいなものですからね、仕事もします
「しかし、グロいとはまた酷い言い様ですね。ミュー殿に接する時程にとは言いませんがもう少し柔らかい話方をしたら如何です?」
「必要ありません」
「必要ないって……本当に冷たいですね」
まぁハディム殿の人嫌いは今に始まった事ではありませんが。…っと、そう言えば先程から何をやっているんでしょうか
「ハディム殿、何を書いているんですか?」
「……オリジナルのレシピです」
オリジナルレシピ? 料理のでしょうかね。でも珍しいですねぇ、普段はそんな物書いてないのに。まぁ、理由は分からなくはないですが
「そんなに玲殿に対抗意識を燃やさなくても……」
「そんな物は燃やしていません!! ただあの家畜野郎が私の事を些細なミスでドジッ子呼ばわりするので、それは違うとミューお嬢様の前で証明するためにこうしてレシピを書いているのです!!」
「な、なるほど」
凄い気迫ですね……。ハディム殿はプライド高いからなぁ
「別に玲殿はハディム殿の事をからかったり舐めたりしてるのではないと思いますが……」
「な、舐め……」
「……どうかしました?」
「…っ……」
「おーいハディム殿? なにやら顔が赤……」
「な、何でもありませんよ変態!!」
「へ、変態……」
ねぇ、私何かしましたか……? 変態って何だか落ち込むんですけど……まぁ言われなれてますがね
「と、とにかく何とか見返してやらないと気がすみません!!」
「……玲殿も大変ですねぇ……」
「何か言いましたか?」
「いえ、何も」
一々ナイフなんか取り出さないで欲しいですね。何も反抗出来なくなるじゃないですか。この人は一体何本持ち歩いているのやら
「さて、私も仕事の続きをしましょうかね」
早く終わらせて玲殿の夕食に御一緒させて頂きましょう!!
「おーい、シム君」
「…ちっ……」
「あれ、今舌打ちした? 僕、一応魔王なんだけどな……」
「なんだ……じゃない、なんですか魔王様。今仕事中なんですけど」
「なんだかんだで魔王様に対してはシムホールも相当口が悪いですよね?」
魔王相手だけですよ。にしても、なんで今から仕事しようとしてる時に来るかなぁ。本当にタイミング悪いなぁ
「実は来週の式典なのだが、私は欠席したいのだ」
「……一応理由を聞きましょう」
「実は話題になったゲームの次回作がその日に発売でな、いち早くプレイを……」
「あんた魔王の義務をなんだと思ってんですか? 駄目ですよ、あんたと同じで駄目です」
「そんな!! ミューより早くクリアして父親としての威厳を見せなければならないんだ!!」
「威厳ですか、魔界で一番似合いそうにないですね」
と言うよりも威厳と言う言葉を辞書で調べて見た方が良いと思います
「くそっ……こうなったら式典を魔王特権で遅らせるしかないか……」
「私はどうなっても知りませんよ? 公衆の面前で奥様にフラれても知りません」
「ふふ、そんな事ある筈が……」
「確かにそれも良いかも知れませんねぇ」
「なっ……!?」
あ、奥様いつの間に来ていたんでしょうか。まぁ取り敢えずゴミの処理でもしてもらいましょう
「奥様。この人邪魔なんでどっかにやってくれませんか?」
「はいはーい♪」
「ちょ、それも良いってどういう事だい!? 頼むから眼を逸らさないで話を聞いてくれ!!」
「それではお仕事頑張って下さいね」
「勿論です」
ふぅ…やっと静かになった。さてと……
「魔王様の御小遣いを80%程カットしますかね」
「はぁ……シムホール、流石にそれは魔王様がうるさいでしょう」
「なら、その内の半分はミュー殿関連に当てますかね」
「95%カットでも平気じゃないか? 大丈夫、私が黙らせる」
「了解です」
流石ハディム殿は話が分かりますね。ならもう半分は勇者育成の為に使いましょうかね