第29話:天使な悪魔とハーレム計画
「やばい、これはやばいですよ」
「シムさん朝っぱらからうるさいよ」
こんにちはミュウです。なんか朝起きたらシムさんがヤバイヤバイ言いながら玲君の御飯食べてます。玲君は無視して料理続行してるけどあれって所謂シカトだよね
「ミュー殿聞いて下さいよ」
「はいはいしょうがないなぁ」
玲君は無視を決め込んでるし、まったく私に押しつけないで欲しいなぁ
「実はですね、千保ちゃんとデート中に佳代ちゃんが現われて……私は二人共愛していますよ? それの何処がいけないって言うんですか!!」
「シムさんの存在とかじゃない? あ…この特製お茶漬け美味しい…」
「お、本当か? 魚を鯖にするか鰯にするか迷って結局鰯にしたんだけど、正解だったみたいだな」
「軽い言葉でけなしつつスルーしないで下さいよ!! いや、私も美味しいとは思うんですが!!!」
だって最低過ぎるんだもん。誰に言ったってこう言う答が返ってくるよ。それよりも鯖を使った方も気になるなぁ……玲君が作れば大体美味しくなっちゃうけどね
「で、私にそれを言ってどうしろって言うの? 私に協力出来る事も助言出来る事もないんだけど。二股かけたかったら玲君並みに家庭的になるんだね」
「二股かける暇があるなら食費を押させる方法を考えるよ」
流石玲君、クールだね。ちなみにアラナは二股OKだってさ。健気だねぇ、アラナも
「そんな事言わないでなんか方法ありませんかね? 美少女ゲームを片っ端から片付ける様なミュー殿にしか聞けないんですよ。魔王は役に立ちませんし」
「んー、そーだなぁ…取り敢えずフラグだよフラグ、きっとシムさんはハーレムルートに突入する為のフラグを立て損ねたんだよ」
「な、なるほど…フラグですか…」
重要な選択肢を間違えるとフラグ立たないんだよね
アンチ魔王!! アンチ魔王!!!
「あ、メール」
「シムさんの携帯の着信音いいなー」
お父さんの前でメール着て欲しい
「佳代ちゃんからです。『昨日は少し頭に血が上っちゃった、もう一度話し合いたいの、今日会えないかな?』ですって、ミューさん、これはまだフラグを立てられる可能性が!!!」
「んー、シムさん、携帯貸して」
「え、あ、はい」
バキッ
「いやぁああああああああああああああっ!!!!!!!」
「逆パカってなんかいいよね、スッキリする」
「佳代ちゃんがぁ…他の皆のアドレスがぁ…」
男のくせにうじうじうるさいなぁ、まったく
「どーせその子達とはハッピーエンドは無理だよ。フラグをしっかり立てないとバットエンドで続きからになるよ!!!」
「な、なるほど…確かにそれは時間の無駄と言うものですね。私が目指すのはあくまでハッピーエンド……くっ、ならば仕方ありませんね、切り捨てます」
うわ、言い切ったよ。もう人として絶対に見習っちゃいけないよね
「最低だな、この人」
「あ、玲君もそう思う? うわ…この野菜ジュース美味しい…」
「お、本当か? それはミュウが嫌いな野菜も大量に入ってるんだぞ」
「まじっすか!? 玲君天才!!」
この野菜ジュースなら3食全部に出されてもいけるよ
「ふふふ、燃えてきましたよ……して、ミュー殿。ハーレムルートのフラグはどうやって立てれば良いのです?」
「知らないよそんなの、フラグってのは元々立てられる様に出来てるから立つ物なんだから、ゲームじゃないんだし、シムさんが勝手に考えて」
「あの、それでは今までと何も変わらないんじゃ…」
「そんな事ないよ、多分」
やっと気付いたみたいだね。この最低な人
「そ、そんな…私はこれからどうしたら…」
「シムさん…」
仕方ないなぁ
「シムさん、何事も失敗を積み重ねて成功へとたどり着く物なんだよ。私だって最初は苦戦したさ。だからシムさんも大丈夫、心を強く持てばきっと夢は叶うよ」
「ミュー殿…分かりました!! 頑張ってみます!!! 玲殿、ご馳走さまでした」
シュバッ
ふぅ…やっと帰ったね。しっかりおかわりまでしていったけど
「ミュウ、何か良い話で終わらせようとしてないか?」
「気のせいだよ。玲君おかわりちょーだい。野菜ジュースも」
「あいよ」
まぁここに特に何にもしないでもフラグが立ちまくる人がいるんだけどね。