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第26話:天使な悪魔と秘密の倉庫

「そう言えばさ、松竹梅の裏って倉庫があるよね?」


「ん? ああ、確かに裏にあるな。なんでも大家さんの祖父さんがここの大家やってた時にはもうあったらしい」


こんにちは玲です。いきなり何を言い出すのかと思ったら開かずの倉庫の事か。大家さんも中は見た事がないから中に宝が入ってるとか初代大家のミイラが眠ってるとか雫さんと討論してたけど実の所どうなんだろう


「何が入ってるか気になるなぁ」


「無駄だって、鍵穴がないから雫さんも開けられないし。大家さんがやったら壊しちゃうし。それに透視しようとしたら結界とか言うのに阻まれたらしいからな」


「ますます気になる倉庫だね。本当に何が入ってるんだろ」


んー、もういっそ大家さんに壊してもらおうかな。中見たいし


「あらあら、だめよ玲ちゃん。呪いの倉庫とかだったらどうするの?」


「それは困りますね。でも、それ以上に勝手に鍵壊して入られるほうが困るんですけど」


「何言ってるのよ。同じ釜の飯を食べてる仲じゃない」


「食べるのは主に雫さんですけどね」


また鍵作り直さないとなぁ…。ところで何しに来たんだろこの人。


「雫、その持ってるのなに?」


「ああ、ちょうどそのことで来たのよ」


「……む…それはまさか…」


「以前大家さんが話して騒ぎになったやつよ」


松竹梅に伝わる宝刀…斬波包丁だな。松竹梅を探し回ったけど見つからなかったと言う…


「それの隠し場所が倉庫ってハッキリしたのよ。ほら、ここに書いてあるでしょ?」


「本当だ。こんなにハッキリ『誰も料理出来ないので宝刀は倉庫にいれておくね♪ byマサムネ』って書いてある」


「押し入れ掃除してたらその紙が出て来たのよね」


なるほど、つまりあれから掃除してなかった…と……


「やっぱり雫さんの部屋も俺が掃除しますからね。大変な事になってそうですし」


「ええ!? でもあそこには乙女の秘密が…」


「あるわけないでしょ雫さんに。宝刀見つかったら掃除始めますからね、どうせ途中で飽きちゃったんでしょ?」


「…うぅ…酷い……」


さてと、早くその宝包丁を探して掃除をしなくちゃな。でも倉庫かぁ…やっぱり壊すしかないのかなぁ…


「まぁ取り敢えず行ってみるか…」







「くっ…やっぱり開かないな」


「やっぱり壊すか?」


「大家さん馬鹿ですねー。それしか出来ないんですか?」


「……雫…お前を壊すぞ?」


あーはいはい、なんでこの2人はすぐにケンカを始めるんだろうな。ちなみに今は倉庫の前に全員集合だ


「アラナ、これ魔法で開かないかな」


「試してみたけど駄目だったわ。よっぽど強いレジストがかかってる。物理的に壊すしかないんじゃないかなぁ?」


「ほらみろ雫、壊すしかないんだ。玲だって宝包丁で料理をしたいに違いないぞ」


「そんな事して使ったら『倉庫は呪われていた。玲は呪われてしまった』とかなったら大家さんどう責任取るんですか? そんなことになったら全身全霊をかけて排除しますよ?」


雫さんはゲームのやり過ぎだな、少し禁止しないと。でも魔法もあるみたいだし、ここにも水の上に立ったりする人がいるし、なんとも言えないかな


「……さて…どうしようか…」


「あのー。すいません宅配便なんですけど…ここの主人の方は…」


ガララッ


「おお、主人は妾じゃ、ご苦労さん。はい、サインっと」


「ありがとうございましたー」


「「「…………」」」


えーっと、倉庫の中から人が出てきましたね。真っ白な髪と同色の肌で、めっちゃ長い髪を後ろの上の方で束ねてる、つまり美人だけどなんか変な人、雫さんや大家さんみたいだ。それにしても倉庫って引戸だったんだぁ…


「ふむ、酒仙の爺さんからじゃな。ならば中身は…おお、やはり酒か!!」


「あのー…」


「…む? なんじゃお前ら、人の家の前で」


いや、ここ俺らの家の敷地内なんですけど。てか雫さんが興味津津の様子で見てるよ。


「それにしてもまさか人が住んでるなんて思いませんでした」


「正確には人ではないぞ倉庫の妖精じゃ。これでもこの建物が改装されるずっと前から見守っておるぞ」


「妖精ですかー。ずっと前からならババァですねー。あはは、神秘性ゼロですねー♪」


「なんじゃこのムカつく女は、確かに長く生きてはおるが妾はまだまだ御前と変わらんぞ」


「あはははは、大家さんと2人でダブルババァですー」


「私はまだ若いっつーの!!!」


雫さん、実は引戸でしたなんていうかなり間抜けなオチに悩まされてたっていう事実にストレスを感じてるな。


「取り敢えず家宅捜索しますねー。ババァ壱号、玲ちゃんの包丁のためです、弐号を捕まえてて下さいね」


「ババァじゃないが、取り敢えずおとなしくしてような」


「な、何をする気じゃ!? わー!! 泥棒ー!!」


「喚いても叫んでも無駄ですー。玲ちゃん親衛隊がそんな情報を誰かに伝わらせるわけありませんしね」


妖精だか精霊だか知らないけどすいませんね。俺も使って見たいんですよ

「うわー、中広いですねー、テレビまであります。あ、宝刀ってこれですね。名前が彫ってありますし」


「あ、本当だ。でもまだ使われてないんだな」


「そうでしょうね、インスタントばっかりですから。不健康な妖精ですね」


「わぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 見るなぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


良かった良かった。まだ自分の住んでるゴミ屋敷の現状に恥を持っていたか。…にしても本当に汚いなぁ…掃除するか


「…玲ちゃん…何してるの…?」


「掃除ですよ?」


「いや、もう宝刀見つかったわよ?」


「でも汚いですし」


「…主夫ねぇ……」


いいじゃないですか、ちゃんと後で雫さんの部屋も掃除しますよ


「あ、雫さんは俺の部屋から材料取って来て下さい。キッチンもありますし折角ですから宝刀でなんか作ります」


さてと、何作ろうかな


「……あやつは一体なんなんじゃ?」


「汚い部屋を見れば掃除したくなり、時間が来れば料理をしたくなる主夫だ。良かったな、目茶苦茶上手い物が食えるぞ」


「ふむ、それは楽しみじゃな」


こうして松竹梅に新たな仲間が増えましたとさ

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