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第16話:天使な悪魔と母の守護者

「なんか埃っぽくない?」


「んじゃあ窓開けて換気しよっか」


いい風だねぇ、こんにちはミュウだよ♪最近ぽかぽかしてきたしついつい布団から出るのが遅くなっちゃうんだよねぇ…。でもそれが許される生活、私絶対雫みたいになる自信があるよ


ヒュン トスッ


「ん?これは矢文!?初めて見ちゃったよ♪」


「窓を開けた瞬間に入って来たわね」


手紙が付いてるけど縛ってあるわけじゃないよ?ピンクの封筒が紐で矢に繋がれてるの。まるでラブレターだね、ハートのシールで止めてある所とかそれっぽいけど。もしかしてハディムかな?昔から私に手紙を残したりするときはこういう封筒にハートのシールだったし


「なんて書いてあるの?」


「んっとね」


えーと


『恐れ知らずの居候共へ

我等が母の下へ居候している貴様らの事は観察させてもらった。我等が母の同意の下だからと大目にみていたが、我等もついに堪忍袋の緒が切れたと言う事だ。即刻その家から出て行く事を約束するならば今回の件は見逃してやってもいい。しかし貴様らがこれ以上その我等聖地に居座り続けると言うのならば我等も容赦はせぬ。今日の午後4時、武勇伝公園で待っている答えはそこで聞かせてもらう事とする。貴様らが利口な選択をすることを期待しているぞフハハハハ   マザーズガーディアン幹部 佐間響さまひびき


「何これ?こっちのラブなレターってこんな感じなの?アラナわかる?」


「さぁ?私にも良くわからないけど…。取り合えず居候共って私たちの事よね?」


うーん謎だ。マザーズガーディアン…格好いいのか悪いのかわかんない名前だしなぁ。武勇伝公園ってどこだろ?取り合えず大家さんか雫なら知ってるよね


「どうするの?最後のフハハハハとか馬鹿っぽいよ?お父さん達みたいだし」


「あー確かにそれはわかる気がする。このマザーズガーディアンってのも結構お父さん達っぽいね」


取り合えずこの文章を解読しなきゃね。さてと…まず母ってのが誰かわかんないよ


「多分母ってのは大家さんじゃないかしら?ほら、大家なんだから松竹梅の母っぽいでしょ?」


「ああ確かに、冴えてるねアラナ。じゃあ大家さんを守る人達か。でもぶっちゃけ透視したり水の上を走ることができるような人は守る必要ないよね」


「そうよねぇ、この前みんなで鍋やった時もお肉が瞬間移動したしね」


玲君に怒られてたけどね、私もバター入れるなって怒られたし。まぁ何もせずともおいしいのは玲君の料理のいい所だけどね


「私達は出て行くつもりないし、馬鹿っぽいけど取り合えず断りに行こうか?」


「まぁ私と玲さんを引き裂こうなんて愚かな事考えるだけ無駄って事を教えてあげなきゃね」


さて、じゃあ武勇伝公園だけど






「ああ、ほら。すぐそこの公園よ。わざわざ近場にしてくれたのねぇ、礼儀をわかってるじゃない」


「へぇ、あそこ武勇伝公園っていうんだね」


雫に礼儀を語られちゃったね、今は雫の部屋だよ。にしてもなんで武勇伝公園なんだろう?


「雫さん、なんで武勇伝公園なんですか?昔の武将か何かがあそこで武勇伝を残したとか?」


「違うわよ、あそこに武勇伝を残したのは大家さんよ♪ 1年くらい前に深夜にケンカしてる不良グループがあってね。総力戦でもやってたのか知らないけど、かなりの規模だったんで凄くうるさかったわけ、玲ちゃんも大家さんと暮らしてたんだけど安眠妨害されてとっても迷惑したわけよ。まぁその後は大家さんが高笑いしながらその中に突っ込んで行って、後には屍の山が築かれたってわけ」


「さすが大家さん、高笑いしながらとか怖すぎるね」


その不良グループの人達可愛そうだなぁ。きっと一生心にトラウマを抱えて生きていくんだよ。


「あ、ミュー。そろそろ行きましょうよ。待ち合わせには10分前に行って『遅いよぉ』って言いながら男を困らせる物だってお母さん言ってたし。まぁ玲さんは別だけどね神だから」


アラナも一応神族じゃん。玲君神に神扱いされちゃってるよどんだけ偉いんだろう。取り合えず私達のお父さんよりは偉いよね


「それじゃあ雫行ってくるね♪」


「いってらっしゃーい」






ここが武勇伝公園か無駄に広いなぁ、春になったら玲君がお花見しようって言ってたけど、確かにこれくらい広ければ場所には困らないよね。にしてもやっぱりまだ寒いなぁ、帰ろうかなぁ。


「フフフ、よく来たな身の程知らず共」


「あ、貴方がダメな佐間響?」


「だ、ダメって言うやつがダメなんだぞ!!」


そう返す人がダメなのはわかっているのですよ、お父さんもそう返して来たからわかるもん!!にしても結構人数いるなぁマザーガーディアン。見えるだけでも男女合わせて100人はいるかもね、でも皆玲君とか私達くらいの年かな?玲君はそれくらいの子は学校に行ってるって言ってたのに


「ねぇ皆学校は?」


「今日は皆休ませたんだ。我等が母の生活がかかっているからな」


「へぇ、天界の軍隊より統制がしっかりしてます」


「魔界も適当だよ。まぁあってないような物だしね」


自然消滅する軍隊なんて前代未聞だけどね。でもそんな状況なのに強い人はいるから不思議、シムさんもハディムもお父さんもあれで相当強いしね。


「さて、お前達の答」


「「やだ」」


「せめて台詞が終わるまでまって下さい…」


だって早くストーブの前で温まりたいもん


「んじゃあ帰るね」


「ちょっとまてえぇぇぇぇぇぇぇっ!!!お前達、出て行かなければどうなるかわかっているのか?」


うるさいなぁ、今日は帰ってゲームするんだもん


「まぁ聞いてあげますよ、どうなるんですか?」


「もちろん我等が母の名の下に強制退去させる!!力でな!!」


「言いましたね!!私と玲さんを引き裂こうとする人達には神の裁きを下してやります!!」


アラナ格好良いなぁ、でもそんな大きな声でそんな事言っちゃったら向こうから帰ってくる人に気づかれちゃうのに


「アラナちゃん、俺がどうかした?」


「た、玲さん!?」


「玲君おかえりー」


「ただいまー。今日はグラタンだぜ」


グラタンか、寒い今日にぴったりだね。さすが玲君


「何してたんだ?鬼ごっこ?」


「それをするにはこの人数はちょっと多すぎるよ。暇な人出てくるもん。そうじゃなくてさ今この人達が私達に玲君の家からでてけーって言うんだよ」


「ミュウ達が?またなんで?」


「たたた玲様!!我等は玲様のためを思ってですね?」


「あーなるほど。そういうことね」


…?玲様?最近は玲君を神様扱いするのがブームなの?というかもしかして母って玲君の事?


「ああ、響さん久しぶり。他の皆さんも元気そうだね」


「もったいないお言葉で御座います玲様!!」


「「「もったいないお言葉で御座います玲様!!」」」


うわ、土下座し始めたよ。玲君凄い、どっかの王様より王様してるよ。アラナまでしてるのはまぁ気にしないでおこうかな


「頭上げてください。ミュウとアラナちゃんの事は大家さんもオッケーしてるんですけど?」


「で、ですが玲様!!これ以上玲様の生活の妨げになるような物があっては御体を壊してしまいます!!!」


「別に平気ですよ、二人くらい。賑やかになって楽しいし」


「玲様…なんと慈悲深い」


なんだろうこの空気、玲君が滅茶苦茶凄い人に見えて来るね。でもなんで玲君が?


「ねぇなんで玲君が母なの?」


「ふっ、それはだな。昔ここで、ここらの街の全ての地区を治めていた3つの不良グループの総力を賭した闘争があったんだ。しかしその最中に謎の人間が介入して来てな、その高すぎる戦闘力で3つの勢力はほぼ壊滅状態に陥ったんだ。だがそれがここらの地区を賭けた負けられない戦いであったために撤退は許されずにその人間によってどんどん仲間は倒されていったってわけだ」


あー、さっき雫が話してたやつか。にしてもこうして聞くと大家さん凄いね生まれる時代が違えば三国一の武将になってたに違いないよ。赤い馬に乗って高笑いしながらばっさばっさと敵を倒す大家さん。絵になるね


「途中からは3グループが共同戦線を張ったが圧倒的力の前に皆倒れていった。そして総勢八百近くいた下っ端も全滅し3グループの幹部に魔の手が伸びようとした時だった」


「あー確か俺が帰りが遅いなぁと思ってたら雫さんがなんかハッキングしたとか言ってそれを腹を抱えて笑いながら見てたんだよな。そうしたらもう死屍累々で、大家さんが人の首掴んで振り回してるんだよ。んで、やりすぎだと思ったからその場に行って、大家さんにやめさせてから皆さんにお詫びとして豚汁を作って振舞ったわけ」


なんかハッキングとか首を掴んで振り回すとか色々やばい事言ってない?もしかして衛星とかをやったの?あの二人って本当に何者なんだろう


「あの時の豚汁の味は忘れられない…俺達はあの時生きている事の素晴らしさと人の優しさを知ったんだ」


「玲君の料理は依存症になるもんね。私も一発ノックアウトだったよ」


「私もノックアウトでしたよ玲さん」


「そりゃあ良かった♪」


玲君の思ってるノックアウトはアラナのとは違うんだろうなぁ


「そういう事で俺達はケンカなんて下らない事はやめようと決意し、満場一致で合併後に玲様の母の如き様を称えマザーガーディアンズを作ったのだ。活動内容は主にボランティア、治安の維持、玲様への特売のお知らせ等だ。ここらでなら受験の時などに優遇されるまでに成長した」


「なるほど、それで母か。なんか深いね」


確かに我等が父より母の方がしっくり来るし。玲君は将来はお嫁さんだね、引き手あまただよ


「それじゃあまた今度、今日は肉屋特売の知らせありがとうございました。ミュウもアラナちゃんも飯にするから帰るぞ」


「はーい♪」


「帰りましょう♪」


「くっ…玲様から直々に承諾されればしかたがない…。だが俺達は諦めんぞ!!!」


さて、今日のグラタンが楽しみだなぁ♪

松竹梅日誌  大家         さて、今日は私が書くぞ。今日外を見てたらいつぞやの奴等がミュウ達となんか話してたな。あんときは眠れなくてイライラしてたからなぁ…。玲に怒られちまったのを覚えてるよ。あと豚汁が美味しかったのも覚えてる、鮮明に覚えてる。明日あたり作ってもらうかな食べたくなってきた。そういえばあの時は雫もちょくちょくこっちの部屋で寝てたよな、懐かしい。そういえば最近は松竹梅の面子が全員揃ってないな。どこをフラフラしてるんだろうな、まぁその内帰ってくるか。それじゃあ今日はこの辺で終わりにするかな。さぁ夕飯だ!!

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