表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/48

第15話:天使な悪魔と危ない待女

ピンポーン


「はいはい、今出ますよー」


ども、玲です。今日は学校も休みでのんびりダラダラと休日を満喫中だ。さて、家に来る人の中でチャイムを鳴らすのはアラナちゃんかシムさんか宅配便の誰かだな。誰だろう


ガチャ


「あ、シムさん。こんにちは」


「玲殿こんちには…ってそれどころじゃないんですよ!!」


うわぉ。びっくりしたな、どうしたんだシムさん。あの手帳が紛失でもしたのか?


「んぅー…。あ、シムさんおはよー」


「あああ、ミュー殿!!大変なんですよ!!」


「あの手帳を落としでもしたの?そりゃ大変だね!!なんせあの手帳には…」


「ミュー殿ストップストップ!!お願いですからそれ以上はっ…!!」


ミューも同じ事考えてたのか、まぁシムさんで大変って言ったらそっちの事の確率が高いしな


「で、どうしたの?」


「実は…ミュー殿の居場所がハディム殿に知れてしまいました…」


「えー…。ハディムに?めんどくさいなぁ…」


「誰よ?」


確かシムさんが来た時に、ハディムって人が前に魔王を斬り殺そうとしたシムさんを止めたとか言う話をしてたな。って事は魔王の側近か何かなのか?


「ハディムは私の待女だよ、まぁ簡単に言えば執事の女バージョンみたいな人だよ♪」


「ミュー殿大好きな人ですからねぇ…、いなくなった日から魔界の軍隊を解体して大捜索隊を指揮してたんですよ。議会に『ミュウ様捜索費に関する上乗せ案』とかいう案を出してましたし」


「うわぁ…そんな簡単に軍隊なんか解体しちゃっていいのか?」


「まぁ平気でしょ。天界との戦争なんて、あの二人のダメ王じゃ起こりっこないし」


平和だなぁ、魔界。良い事なんだろうけど軍隊の意味まるでないな。いや、良い事なんだろうけどさ


「でもなんでハディムにバレたの?世界を越えて人を探し出すなんてシムさんでもなきゃ出来ないと思ったんだけど」


「まぁ得意分野ですしね。ですが今回はハディム殿にしてやられたわけでして…、まさか私も発信機を付けられていたとは…。最近何度もこちらに遊びに来てましたからなぁ…」


「シムさんの馬鹿!ドジ!変態!!」


「へ、変態ではありません!!人より守備範囲が広くて恋心が多いだけです!!!」


いや、もうだめだろシムさん。てか守備範囲って犯罪紛いの事してるんじゃないだろうな?捕まったら知らない人のフリするからな


「それでそのハディム殿なんですが、準備ができしだいこちらに来るらしくて…」


「むむぅ…どうしよう…ハディムもシムさんみたいに…。でもハディムが知ってるならもうお母さん達にも…」


ふむ、まさしくミュウは絶体絶命か、魔界のお姫様も大変だなぁ。さて、どうなる事やら。


ピンポーン


「み、ミュー殿、来ましたよ!!」


「と、とにかく出なきゃ…」


「良かった、ちゃんとチャイムを鳴らしてくれる人みたいだな」


ミュウが大好きって聞いたから壁でも突破って来るのかとヒヤヒヤしたよ。


ガチャ


「は、ハディ…」


「ミューお嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


「うわわわ!!!」


「お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様お嬢様ミューお嬢様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!やっと見付けました…寂して泣いたりしませんでしたか?家が恋しくて夜にこっそり泣いたりしませんでしたか?お腹空いて泣いたりしませんでしたか?」


「ハ、ハディム殿…ミュー殿が目を回してしますよ」


「はっ!!お嬢様、申し訳ありません。つい興奮してしまい…」


ミュウを見付けるなり抱き付くなんて相当ミュウが好きなんだな。揺さぶられてミュウがおかしくなりそうだったぞ


「ハディム久し振り〜、元気にしてた?」


「はい、私は元気にしていましたよお嬢様♪相変わらず聖母がごとき優しさですね、痛み入りますお嬢様♪」


うわぁ〜なんか本当に凄いなこの人。髪は栗色のロングヘアーでフワフワした雰囲気を纏っている。翼はやっぱり隠してるみたいだし一見すると天使にすら見えるね。


「それではお嬢様、私はこちらの家主の方に少し御礼を申し上げねばならないのでシムホールと外へ出ていて頂けますか?あ、御心配には及びません。外には一級ホテルの空間を織り込んでおきましたから♪」


「……?分かった」


「玲殿、どうか無事で…」


…ん?なんでシムさんは最後に十字架をきったんだ?と言うかあの人悪魔じゃなかったっけ?大体無事にってどういう意味だ?


ガチャ…カチ


あれ、なんで鍵を閉めるの?


「ハディム・コートと申します」


「え、ああ…月村玲です。」


「そうですか、それじゃあさっさと死んでくださいね♪」


「……はい?」


ヒュッ


「うわっ!!ってナイフぅぅぅぅぅ!?」


「人間のクズの分際で私の一閃を避けた!?」


ちょっと何に驚いてるのこの危ない人!?驚いてるのはこっちだよこんちくしょー!!なんなんだよこの人は!?いきなり軍隊で使いそうなゴツいナイフで切り付けて来る待女なんて聞いた事ねぇよ!!!


「ちょっとなんなんだよ!!いきなり切り付けて来るとか正気か!?」


「御礼申し上げると言ったじゃないですかその耳は飾りかゲス豚野郎、大体正気を疑うのはそちらの方ですよ?」


「なんでだよ…」


御礼って…何?魔界では御礼に相手を八つ裂きにするのが今の流行なの?あのナイフで?そんな流行は俺が死ぬ前に早く廃れて欲しい物だな


「なんで…ですって?貴方は高貴で美しくこの世の全てとすら等価交換不可能であり不可侵のミューお嬢様と私でも叶わぬと諦めた一つ屋根のしたで暮らすと言う、この世で、いや全てに置いて最高の至福を味わったのですよ? この世から一片の欠片も残さずに消滅するのが最低限の礼儀と言う物です!!!」


「なんつー理由だよ…ミュウ大好きだなあんたは…」


うわぁ…絶対に関わり合いたくない人と関わっちゃったなぁ…。しかも逃げられないし、困ったなぁ…どうしよっかなぁ


「さぁ、次の一撃で終わりにして差し上げます。このナイフが貴方を裂いた瞬間にナイフに込められた魔力が大爆発して消滅させると言う優れ物ですよ?」


「そんな危ない物振り回すなよ!!死んだらどーする」


「だから死んでくださいと言っているのですが貴方の腐った脳では情報を分析仕切れないでしょうから構いません。どっちにしろ直ぐに機能を停止しますから」


仕方ない、大家さんからは自衛の為に教わったわけだしなぁ。でも一応女の人だし…


「何をぶつぶつ言っているのですか?まぁ私には理解しがたい陳腐な文字の羅列を口にしているだけでしょうが…。死んで頂きます」


やらなきゃやられると言うやつだな。うっし、いっちょ久し振りに…


「止めなさいハディム!!!」


「お、お嬢様…?何故ここに…」


「み、ミュウめ…。また鍵ぶっこわしやがったな…?」


くそぉ…複雑化しても壊されたら意味ねぇじゃねぇかよ。次は対破壊に観点を置くか…、まぁ今回は緊急時だし怒らないでやるか。と言うか何故にアラナちゃんもいるの?今朝から天界に用事で帰ってた筈じゃあ…


「お嬢様!!何故止めるのですか!?」


「玲君の料理が食べられなくなる!!」


「ミュウ、飯抜こうか?」


「玲君が死んだら私が悲しいんだよ!!!」


分りやすいなぁミュウ。まぁ料理を気に入ってくれたのは素直に嬉しいんだけどね


「そんな…どちらにしろミューお嬢様は私と魔界へ帰るのですよ!?今更この様な者は…」


「私帰らないよ?」


「し、しかし!!」


「帰らないの!!」


「そ、そんなぁ…!?……ぐす……ひっく……でもお嬢様のお母様達も……」


ミュウの言葉に対しては紙の装甲だな。にしてもやっぱり母親とかにも知れてたか


「ああ、それの事なんですけど。はい玲さん、これミューのお母さんから御手紙です♪」


「手紙…?」


「あ、アラナ様…ダメな神王が家出したって嘆いてましたが…こんな所に…」


「ホームステイですよホームステイ、無期限ですけど♪お母さんの許可はおりてますから平気です!」


なになに。

『月村さん家の玲さんへ   ミュウちゃんが最近ご迷惑を御掛けしてすみません。ハディム辺りがプチッ♪っと切れるかも知れませんが何とか対処して下さいね♪ミュウちゃんはちょっと元気と食欲があり過ぎて、ちょっと人とは違う趣味を持っていますが良い子だと思いますよ?という事でこれからもミュウちゃんを宜しくお願いします   PS:別に放任してるわけじゃないですよ?違いますからね?   ミュウちゃんのママより』


「放任主義者がぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


「やったね、お母さんから許可が降りた♪玲君これからも宜しくね!」


「お、お嬢様…」


「ハディム、私グチグチ言うハディムは嫌いだよ?」


「き、嫌い…?嫌い…。お嬢様が嫌いって…嫌い…」


あーあ。ハディムさん凍り付いちゃった…。なんにしろミュウはこれからも変わらないわけか。ん?別に喜んでなんかいないぞ


「まぁいいや、あ、そろそろオヤツか。そういや、ケーキ作ってたんだった。シムさんとハディムさんも食べてきますよね?」


「是非頂きましょう♪」


「嫌い……きら…い……お嬢様…が……」


「ハディムも一緒に食べようよ♪」


「はい勿論ですお嬢様♪」


分りやすい人だなぁ…。魔界の人は皆濃いのかなぁ?なんか他の悪魔の人に迷惑な想像をしちまいそうだな…


「どうだ?美味いか?チョコレートがこの前よりも甘いんだが」


「うん、美味しいよ玲君♪」


そうかそうか、そりゃあ良かった。所でハディムさん?そろそろ睨むのを止めて欲しいのですが



松竹梅日誌 アラナ         こんにちは、アラナです♪今日は朝から忙しかったんですよ?荷物の事で天界まで行って、向こうでいきなりミューのお母さんに呼び出されたんです。なんだか良いタイミングで手紙を玲さんに渡す事が出来ました♪ハディムさんのミューへの溺愛っぷりは知ってましたけど、玲さんを襲うなんて神を襲うよりも罪が重いです!!玲さんはもっとも尊い存在です!!…ふぅ。なんだか熱くなってしまいました。今日はここで筆を休めます。おやすみー

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ