第1話:天使な悪魔が唐突登場!
「うん、良い天気だ。洗濯物が良く渇くのは素晴らしい事だな。」
最近雨続きだったからなぁ、そろそろ晴れてくれないと困る所だった。
「天気予報も降水確率0%だし、取り敢えず今日の所は安心してよさそうだな。」
俺の名前は、月村 玲16歳、高校生とかやってる。容姿? 眼と髪は黒で身長は175,2cm。ちなみにレイじゃなくてタマだぞ? 片仮名で書くと猫みたいだけど、猫の名前でもないからな!
「よし、洗濯物の処理完了!! あ〜洗濯物が青空の下に並ぶと心まで洗浄されるなぁ。これが人間の生活ってやつか。」
風邪になびく洗濯物。やっぱりこうでなきゃいかん。部屋の中に寂しく干される洗濯物はダメだ。鬱になるし。
「さて、そろそろ昼飯を作り出すか。」
さって、今日は何にするかな。毎日献立を決めるのは疲れるよっと。
「……なっ!! ざ、材料が……ない……だと。」
そう言えば昨日の夜に冷蔵庫の方から大家さんの声が聞こえて来てたような…。……大家さんめ、冷蔵庫を漁ったな? くそっ、不法侵入だけじゃなく盗難までしやがって! 自分で買ってきやがればかやろー。
「仕方ない、買い物にでも行くか……。はぁ、日曜はゴロゴロするって決めてたのに……。」
大家さんのばかやろー……。
ザァァァァ♪
「ああああああ!! や〜く〜び〜だぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!今日の予報士の阿呆ぉぉぉぉぉぉっ!!!!」
今? 買い物帰りの住宅街を全力疾走中だよ? もうあの予報士信じないからな。そして今の状況も信じたくない。洗濯物が洗濯物が洗濯物があああああああああああっ。
「降水確率0%じゃなかったの? 10%ならまだしも0%で降るの? 調子にのるなよ雨降してる奴っ!!」
ドザァァァァァァァ!!!!
「強くなりやがったぁぁぁぁぁっ!? ごめんなさい、ごめんなさい、雨を降らしておられる御方!! お願いですから弱めて下さいっ!!」
ザァァァァ♪
「良かった、弱まった…。って良くねぇよ!! 洗濯物がぁぁぁぁぁぁ!!!」
グスンッ…
「…ビショビショだよ……はぁ…。」
中に入る前に外から濡れまくった洗濯物を確認…。まぁ俺自身もビショビショだけどね?俺の住んでる2階建て4部屋のアパートの名前は『松竹梅』、いや本当だよ? 昔はもっと良い感じな名前だったらしいんだけど、大家さんがダサいの一言で変えたんだってさ、かなり意味分かんない名前だけど。ちなみに俺の部屋は2階の一番左、つまり一番奥だ。故に門の外からでもベランダの様子が分かったと言うわけなんだ。
「大家さん……取り込むくらいしてくれてもいいじゃん。買い物の理由作ったんだし……。」
もう鬱だ。死のう。いや、死なないけどさ。テンションガタ落ちだよ。さっさと部屋入ろ……。
ガチャ
「ただいまー。」
挨拶は誰もいなくてもするもんだ。これ、一人暮らしで寂しくならない為の鉄則。そう、一人暮らしなんです。今更だけど。
「おかえりー、凄い雨だよねぇ〜? テンションガタ落ちだよ〜。」
「だよなぁ。洗濯物とかもうグシャグシャだし。」
「ねー。私ももうびしょびしょだよー。」
そうだよなー、あんな雨予想できないよなー……って、……え…? アナタ、ダレデスカ?
「ちょ、お前!! 何を勝手に人ん家には入ってっ…!」
「あ、お風呂借りるね? 風邪引いちゃうから。」
「え? ああ、そこの仕切りの向こうに……って違うだろ!? 何勝手に風呂まで使おうとしてるんだよ!? てへっとかいらないつーの!! いいから取り敢えずそこに座れ!!」
全く、最近の子供は……不法侵入して悪びれた様子もないなんて……。それにしても、なんだこいつの格好、コスプレか? でも外国人がこんな所でコスプレ? 金髪の長い髪に、右が紅、左が碧の瞳は外国人ならいるのかも知れないけど、カラーコンタクトって所だろう。フリル付きの黒いヘアバンドと黒いワンピースっぽい服もまぁ……いいだろう。でも背中に付いている黒くて小さい翼と後ろで動いてる先端が尖ってる尻尾はどうみても……コスプレだよなぁ……。
「取り敢えず………君の名前は?」
「エクシュルーナ・ミュウ・ダマスカマス、15歳だよ♪ ちなみに趣味はフィギュア収集、アニメ観賞とマンガを読む事♪」
聞いてない事まで言いやがった。てか名前メッチャ長い……だが覚えたぞ。やっぱり外国人だったか。
「取り敢えず、エリクシューナ・ミュウ・ダマ……。」
「長いからミュウで宜しく♪」
「ああ、そう……。」
まぁそれは助かるよ、エリクシューナ・ミュウ・ダマスカマスな不法侵入者さん。
「ミュウ、君は何でここに居るのかな? ここは俺ん家なんだけど……。」
「いやぁー、ちょっと家出して来ちゃってね? この国の首都のフィギュアとかマンガとか大量に売ってる某町からそう遠くない場所に良い物件ないかなぁ? って飛び回ってたらいきなり雨が降って来ちゃって雨宿りしてたんだよ♪ ベランダ開いてたから丁度よくて♪」
なるほど、家出少女か…それにあのコスプレも頷ける発言だ……ん…?
「……飛び回って、ベランダから入った?」
「うん、こんな風に。」
フワッ
「うお! 浮いた!?」
「どおよ、凄い? 凄い?」
ファンタスティク!!…いやいやいやいや、待て待て待て待て
「その翼と尻尾ってコスプレじゃなかったのか!?」
「ああ、これ? ほ・ん・も・の♪ 私コスプレレイヤーじゃないもん♪」
マジですか…。てか唐突過ぎるだろ!!なんつーか、もう少し順序を経てから来てくれよ!!いや来なくて良いけど、いきなり不法侵入して来てそれが…あれ天使?悪魔か?
「ミュウは天使なのか?悪魔?」
「私はハーフだよ♪」
ハーフだなんてっ!!ってええー…ハーフ!?
「天使と悪魔って仲良いの…?」
「うーん、まぁ普通に一緒に暮らしてるし、良いんじゃない? 結構最近の事らしいけど。」
へぇ…仲良かったんだ。てっきり、『悪魔の分際で天使にたて突くか!!』『ふん、天使ごときが歯向かうとはな!!』見たいな敵対関係かと思った。というか信じてもいいのかこの話は。
「ところで……。」
ん、なんだろう。
「お風呂借りて良いかな? もう寒くてヤバイんだけど」
「ああ、そういやそんな事言ってたっけ。」
なんだか凄く自分勝手な奴だな、こいつ……。
「はぁ、まぁそれくらいなら良いか。」
「やったね♪」
なんか俺甘くないか?まぁ良いか。俺も早く着替えよ…