Ⅰ∮魔術師の謀
自分に眠る可能性を無視して
ありふれた何かを手にしたくて
僕は普通という魔法を学んだ
指先から虹は描けないし
天変地異は神さまの気まぐれ
君と笑い合うという魔法の時間を続けたかった
そのうち心を掴みたくなって
僕は君に魔法を使うんだ
近付いたり離れたりを繰り返して
君の今に刻みつけていく
君が疲れたというその瞬間まで
僕は悪魔のフリをしたいよ
蓋を開ければただの弱気な魔術師
媚薬なんて使えないさ
距離を取ったのは僕なのに
気付いたら君が遠ざかってる
それがどうしようもなく寂しくなって
抱き締めるという奥の手を使うよ
傍にいたくて距離を飛び越える
“その手に掌握したものは?”