表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

第3話 経費削減

 僕は心に決めた。仮に詐欺の片棒を担がないと給料がもらえないのだとしても、子供を死なせたくはないじゃないか。


(社内だと誰が聞いてるか判らないから、異世界に行ってから)


 これまでは、無事の到着を見届けたら契約の記憶を消してから、アフターフォロー。金額次第だが、短くても十日、長ければ一年ということもあった。それがこの体験ツアーでは、ほんの数時間。何と見事な経費削減!


(転生先はベータ系、世界に危機が迫るタイプか)


 装置を操作しながら、僕は考えた。魔王という場合もあるが、世界を滅ぼす災害というようなこともある。転生者はたいてい、それらの問題を解決することができる能力を与えられるのだが――体験の場合は、そうしたものはない。何しろ、「体験」なんだから。

 今回の行き先は大都市の繁華街。体験ツアーでは安全できれいなところを案内するように指示されている。僕だってわざわざ危ない場所に連れてく気はないが、真実はきちんと伝えなくては。

 少年はわくわくが押さえきれない様子だ。いままでなら、僕も一緒になって、これからのプランをいろいろ話すのに。僕はため息をこらえながら、転生装置を稼働させた。


「ええと、お客様……シフォン様」


 資料を思い出しながら僕は呼びかける。転移が済むまで少し時間があるから、ここで少し親しくなっておこうと思った。


「シフォンって呼んでください!」


 まるで少女のような甲高い声がきて、僕は目を見開いた。向こうから距離感を詰めてきたことに驚いたのだ。


「ええと、あの、添乗員さんは一年くらいサポートしてくれるって聞いたので、あの、仲良くできたらいいなって」

「え」


 僕はぽかんと口を開けた。ちゃんと契約書を読んでいないのか!?


「あの……シフォン様は何故、当社の体験ツアーをお望みなんですよね……?」


 おそるおそる僕は尋ねた。


「何をご覧に、なったのでしょうか……?」

「勇者になった少年が表紙のパンフレットです!」

「あー……去年の」


(去年! まだうちが、詐欺に走るまで堕落してなかった頃! アフターフォローに金をかけ、それを最前面に押していた……)


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ