番外編Ⅴ 友よ
瓦礫と血の匂いが、戦場の記憶を呼び起こす。アストルフォは、破壊された街を静かに眺める。目に映るものすべてが、かつてオルランドが駆け抜けた跡だった。
足元に、ひっそりと置かれた剣───ドゥリンダーナ。その鋭い刃先は、今は静寂の中で光を帯びている。アストルフォは、膝をつき、剣を手に取った。
「お前の分の戦いは、もう終わったんだな……」
静かに語りかける。剣先に触れる手には、悲しみと敬意だけが宿る。
思い出すのは、過去の戦い、笑い、そして、狂気の中で見せた一瞬の正気。
「俺は、お前が守ろうとしたものを忘れない」
アストルフォは、ドゥリンダーナをしっかりと握り、周囲を見渡す。戦場の瓦礫の中に、命を失った者たちの静寂がある。その中で、オルランドの存在は、ただの“暴走者”ではなく、守ろうとしたものがあった男として、アストルフォの心に残る。
アストルフォは剣を肩に担ぎ、立ち上がる。
「お前の剣は、俺が責任を持って回収する。……お前の魂は、もう安らかであれ」
彼は街を後にする。瓦礫の中に沈む日差しが、オルランドの記憶を淡く照らす。そして、静かに心の中で祈る───。
「もう二度と、誰も、こんな道を歩まなくていいように」
ドゥリンダーナは、ただの武器ではない。それは、愛と狂気、そして贖罪の象徴として、アストルフォの手の中で次の時代へと運ばれる。
静寂の中、戦いの余韻と共に、オルランドの物語は終わりを告げる。




