表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

35/40

第十六章 贖罪の道

 戦場は、まだ炎と硝煙に包まれていた。瓦礫の山、血に染まった地面、そして数千の兵士───すべてが、オルランドを中心に回っているかのようだった。彼は、ドゥリンダーナを握って立ち止まる。剣先には、まだ狂気の残滓が宿る。だが、今の彼はわざと、兵士たちの怒りを買うように振る舞う。

「おい、こっちを見ろ!この程度で止まると思ったか!」

 刃の動き一つで、兵士たちの眉間に緊張を刻み、数千の憎悪を自らに向けさせる。兵士たちは咆哮し、怒りに満ちた足音が迫る。その真っ只中、アストルフォが駆け寄る。

「オルランド、やめろ! まだ止まれるんだ!」

 必死の呼びかけに、オルランドは微笑む。しかしその微笑は、悲しみを秘めた決意のものだった。アストルフォは友を止めようと槍を伸ばすが、オルランドの速度と距離感を前に、あっという間に気絶させられる。彼の体が瓦礫の上に崩れ落ち、息をつく暇も与えられない。オルランドは静かに、ドゥリンダーナを地面に置く。それは、もはや自分の戦いのための武器ではない。託された愛の象徴を、今、自らの手で返す瞬間だった。この剣は、アストルフォが受け継いでくれ、そう願った。

「……これで、終わりだ。」

 低く呟き、剣から離れる。彼はそのまま、怒れる兵士たちの中へと踏み込む。注目を集め、大勢の兵士が彼を取り囲み、突き刺す、切り裂く、殴打する───剣も槍も、銃も、すべてがオルランドを斬る。だが、彼は避けない。受ける。耐える。一撃一撃が体を打ち抜き、血が滴り落ちる。骨が砕け、筋肉が裂け、血の感覚だけが残る。怒りと憎悪に満ちた兵士たちは、次々と刃を振るい、撃ち、投げる。だがオルランドは歩みを止めない。一歩、一歩、自らの罪を背負うように前へ進む。最期の瞬間、彼は微笑む。狂気も、怒りも、破壊も、すべてを手放すように。目の前には、彼を憎む者たちの顔。だがその顔のひとつひとつに、彼は謝罪の思いを送る。そして、最後の一撃を受けた瞬間、体は瓦礫と血の上に崩れ落ちる。オルランドは死んだ。背中に刺さった何本、何十本の武器は、彼が背負って旅立った罪を表しているかのようだった。彼が倒れたことで、兵士たちは歓声を上げる。

 だが、アストルフォの周囲で、血に塗れた瓦礫の中で、空虚だけが彼を包む。ドゥリンダーナは、そこに静かに横たわる。かつて託された愛と、そして最後の贖罪の証として。世界は変わらない。だが、彼の罪を背負った者の物語は、ここに終わった。オルランドの影は、もはや誰も恐れない。ただ、悲しみと静寂だけが、残された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ