番外記録Ⅴ
暴走者鎮圧マニュアル(抜粋)
1. 定義
本書における「暴走者」とは、精神的・技術的要因により社会的統制から逸脱し、継続的な人的被害を発生させる個体を指す。
原因は問わない。同情は判断基準に含めない。
2. 基本原則
* 暴走者は交渉対象ではない。
* 暴走者は治療対象でもない。
* 暴走者は速やかな排除対象である。
感情的判断は作戦失敗の主因となる。対象を人間として認識しないこと。
3. 初動対応
1. 接触距離を取る。
2. 退路を確保する。
3. 周囲民間人の生存率を優先する。
4. 排除可能と判断した場合のみ戦闘を開始する。
会話の試行は禁止。説得行為は時間的損失とみなす。
4. 危険度分類
第一種:単独行動・限定的被害→ 標準装備で対処可能。
第二種:複数殺害・高機動→ 重装部隊を投入。
第三種:継続的虐殺・鎮圧失敗歴あり→ 地区封鎖後、殲滅作戦へ移行。
第四種:災害級被害想定→ 民間区域ごと処理を検討。
被害規模が拡大した場合、倫理基準は段階的に解除される。
5. 心理対策
対象が知人・親族である場合、当該隊員は直ちに任務から除外する。
躊躇は死亡率を上昇させる。情動は感染する。
6. 排除手順
* 四肢機能の破壊を優先。
* 行動不能化後、即時致死処置。
* 死亡確認は三段階で実施。
呼吸停止のみでは不十分。再活動例が複数報告されている。
7. 記録処理
暴走者の個人情報は最小限のみ保存。経歴・関係者の詳細調査は不要。
社会的不安の拡大を防ぐため、報道は単独事件として処理する。
8. 例外規定
極めて高い戦闘能力を持つ暴走者に対し、通常戦力での鎮圧が不可能と判断された場合――
特別処理権限を発動する。
内容は本書に記載しない。閲覧権限:上位指揮官のみ。
9. 終了条件
対象の完全死亡。または対象存在領域の消失。
いずれかが確認された時点で、作戦は成功と定義される。
付記
暴走者は例外なく、かつては市民であった。
この事実は任務遂行に不要であるため、記憶する必要はない。




