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事故死したので異世界に転移しますが、管理者のミスなのでアメリカの店ごと持っていくことにしました  作者: だい


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第45話:USA! USA! 南国ビーチと星条旗

南国の朝。

 窓を開けると、

 視界いっぱいに青い海が広がっていた。


 幽霊騒動(リフォーム大作戦)から一夜明け、

 俺たちは早速、

 海へ繰り出す準備を始めていた。


「オーナー、水着がありません」

「まさか、下着で泳ぐわけには……」


 レオナが困り顔で言ってくる。

 確かに、鎧やメイド服で海は無理だ。


「安心しろ」

「ウチの店に死角はない」


 俺は『揺らぎ』を開き、

 店舗の倉庫エリアへと足を踏み入れた。


 ボブ爺の店は、

 ただのミリタリーショップじゃない。

 テキサスの風を感じる、

 雑貨とロマンの殿堂なのだ。


 アメリカ人や道民にとって、

 100キロなど「近所」だ。

 だから当然、

 バカンス用品も完備されている。


「あったぞ……これだ!」


 俺は「サマー・バケーション」と書かれた

 段ボール箱をひっくり返した。


 出てきたのは、

 布面積の極端に少ないビキニの山。

 そして、ド派手な星条旗柄!

 デニムのホットパンツ!


 目に浮かぶようだ。

 テンガロンハットを被り、

 ダイナマイトなボディを揺らして

 洗車をするお姉ちゃんたちの姿が!


「USA! USA!」

「フォーッ!!」


 俺は思わず拳を突き上げた。

 ありがとうボブ爺。

 あんたのスケベ心は、

 異世界で俺たちを救ってくれるよ。


   ◇


 数十分後。

 屋敷の下にあるプライベートビーチに、

 悩殺部隊が降臨した。


「……オーナー」

「この布、少なすぎませんか?」

「防御力が皆無なのですが……」


 レオナが顔を真っ赤にして、

 自分の体を隠そうとしている。


 彼女に渡したのは、

 よりにもよって星条旗柄の極小ビキニだ。

 鍛え上げられた腹筋と、

 豊かな胸のラインが強調されている。

 健康的な太ももが眩しい。


「似合ってるぞ、レオナ!」

「それが『自由の国』の正装だ!」


「そ、そうですか……?」

「ブンペイ殿がそう言うなら……」


 満更でもなさそうだ。チョロい。


「ふふ、開放的でいいですね」


 シキは黒のシックなビキニだ。

 だが、ハイレグの角度が鋭い。

 大人の色気が凄まじい。

 フィリアも白のパレオを巻いて、

 清楚ながらも抜群のスタイルを見せつけている。


 アリスはエマが見繕ったのか、

 フリルのついた子供らしいやつだ。

 まあ、そこは保護者としてスルーだ。


「海だー!!」

「水! しょっぱい!」


 ミケとサンが、

 水飛沫を上げて海に飛び込んだ。

 

 ミケは猫だが、水は平気らしい。

 というか、

 浅瀬の魚を追いかけるのに夢中だ。


「捕まえる! 今夜のおかず!」

「待てー!」


 バシャバシャと暴れ回る獣人たち。

 それを見て、レオナたちも

 恐る恐る足をつける。


「つ、冷たい!」

「でも、気持ちいいですわ!」


 キャッキャと水を掛け合う美女たち。

 背景には青い空と白い入道雲。


 ……ここは天国か?

 俺はパラソルの下で、

 冷えた缶ビール(バドワイザー)を開けた。


「プシュッ……ゴクッ、ゴクッ」

「くぅぅぅーっ!!」

「最高だ!!」


 これまでの苦労が、

 炭酸と一緒に喉を流れていく。

 昼間から飲むビールの背徳感。

 たまらない。


「さて、と」

「男(俺)は仕事をしますか」


 俺は『揺らぎ』から、

 厚手の鉄板とプロパンガスを取り出した。

 

 海の家といえば、これだ。


 豚バラ肉をジュッ!と焼く。

 脂の焼ける香ばしい匂いが、

 潮風に乗って漂う。


 キャベツ、もやし、人参。

 そして、市場で買ってきた

 プリップリのエビとイカを投入!


 ザッ、ザッ、とコテを振るう。

 最後に中華麺をほぐし入れ、

 特製の濃厚ソースを回しかける。


 ジュワァァァァァ……!!


 ソースが焦げる、暴力的な香り。

 これに抗える日本人はいない。


「んんっ!?」

「なにか、凄い匂いがします!」


 海で遊んでいたサンが、

 鼻をひくつかせて走ってきた。

 続いてミケ、レオナたちも集まってくる。


「ブンペイ、それは?」


「日本の海のソウルフード」

「ソース焼きそばだ!」


 俺は熱々の焼きそばを、

 紙皿に山盛りにした。

 紅生姜と青のりを散らせば完成だ。


「黒い……麺?」

「頂きます!」


 レオナが豪快に麺を啜る。


「んぐっ……!!」

「なんだこれは!」

「味が濃い! でも、美味い!!」

「野菜の甘みと、この酸味のあるタレ!」

「ビールが進む味だ!」


「美味いニャ(ぞ)!」

「イカ! エビ! 最高!」


 ミケが口の周りをソースだらけにして

 ガツガツ食べている。


「皆様、お行儀が悪いですわよ」

「……んむっ、美味しい」


 アリスもフォークが止まらない。

 鉄板の上にあった10人前の山が、

 あっという間に消えていく。


「おかわりだ!」

「ジャンジャン焼くぞー!」


 俺はTシャツを脱ぎ捨て、

 焼きそば屋の親父と化した。


 食べて、飲んで、泳いで。

 

 日が傾き、

 空が紫色に変わる頃には、

 みんな砂浜で大の字になっていた。


「……幸せね」


 隣でニナが呟いた。

 その顔は、

 今まで見たことのないほど穏やかだった。


「ああ」

「生きてて良かったな」


 俺はニナの肩を抱いた。

 反対側からは、

 フィリアが寄り添ってくる。

 足元ではミケとサンが丸まって寝ている。


 長い旅の果てに辿り着いた、

 束の間の休息。


 明日からまた忙しくなるかもしれない。

 この街での生活基盤も作らなきゃいけない。


 でも、今だけは。

 この波の音に身を委ねよう。


 USA! USA!

 ありがとう、ボブ爺。

 俺の異世界生活は、

 間違いなく最高に充実しているよ。

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