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反撃、敵の声

俺はいつ終わるとも知れない光の雨のなかにいた。

実体弾、物理法則にしたがう脅威度の低い攻撃だが、数で来られると厄介だ。

迎撃網はまだ保つ。けれど——


「……キリがない」


砲塔を潰すべきか?

それは宣戦布告に等しい。

未知の勢力との全面衝突の引き金を引いてよいものか?

だがこのまま撃ち続けさせれば、軌道の外れた弾が背後の惑星系を傷つけるかもしれない。


指先に電流を走らせる。

【雷撃弾】。

電荷の塊の投射によって高誘電率の空間の通路を作り、

直後(ミリ秒単位)にそこへ雷撃を叩き込む術式だ。


斬撃にも近い速度で、数本の雷の矢が空間を貫く。

直後、何基かの砲塔が発火し、外殻を焼かれて沈黙した。内部機構のEMP遮断が追いついていない。


「最低限。これでやめてくれればいいが……」


けれど、それは“呼び水”だった。

警告としては、十分すぎたらしい。


——次の瞬間。空間の雰囲気が変わる。

空間そのものごと引っ張られる感覚。

空間管理者としての感覚によると。


「……ワームホール、再展開?」


……その直後、CICから通達。

「別艦隊のワープアウト予兆!対処許可を!」

「天球座標、距離2万AU、赤経30度、赤緯60度に空間歪曲!」


恒星系内の別の座標に別の艦隊がワープアウト。

──つまり、増援か。


「転移管制解除。対処してくれ。」

通信が途絶えると同時、宙域に“断層”が生まれた。


空間の継ぎ目が剥がれ、声が流れ込んでくる。……通信か?


「(周辺及び文明惑星の通信電波から言語モデル推測……終了)

……興味深い。有機生命の領域にしては、非常に“整っている”

できればここも、是非観測したい。

しかし──まずはこの個体だね」

高エネルギー反応。拡張脳のアラート。


(接近中:0.80c(光速の0.8倍)、相対速度:衝突コース)

(質量・形状分析:多層構造体、中心核に高密度物質……核弾頭)


核……?

そんなもんを撃ち込んでくるか。

対人に放つ威力じゃねーぞ。対処を間違えると放射能を浴びるな。

まあいいか。指先に思念が、魔力が集束する。


《空間開闢》!

「創出空間に追放してやる」

生成した隔絶空間へ、飛翔体ごと追放。 この座標系には、一片の残骸も残させない。


◇◇


※空間開闢について

空間管理者が扱う高次元空間操作の一種。

三次元の基底空間の周囲に、高次元座標をずらして新たな空間を“開く”ことで、

物理的・魔法的な干渉を受けない独立した領域を創出する。


イメージとしては、

一枚の紙(三次元空間)のさらに上下方向(高次元座標)

に別の紙を貼り付けて広げるようなもの。


この“貼り付けられた別の紙”が「開闢空間」と呼ばれ、

二つの空間はテープで繋がっているように不可視の結界(空間開闢術式)で接続されている。


この技術によって、個人用の切り離された空間(例えば武器庫や隠れ家)、

戦闘用の隔離領域などが瞬時に生成可能になる。


開闢空間は基底世界とは異なる物理法則や防御結界を設定でき、

敵の攻撃や観測から隠蔽することもできる。

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