残党
しかし、依然として艦隊は神坂に殺意を向けており、
対消滅による消滅を免れた、残存する砲塔から弾幕が吐き出され続けている。
ベクトル干渉、弾幕を逸らす。
《魔力の弾》、迎撃。
《プラズマ弾》、元の砲塔を消し飛ばす。
まるでモグラたたきのように残党を狩っていく。
しかし、放たれる弾幕が減らない。
宇宙艦隊の物量がいまだすさまじい。
そうして手をこまねいていると。
読心術に感2。
詳細分析不能、思考パターン既知のものと一致せず。
はいはい。またフォー?
リスキルしておこうか。
削り切れていない、今からフォーが出てくると予想される旗艦に、
《空間開闢》!と思わせて中断。
──感2。この時どこかから現れたフォーとは別のもう1体に警戒を払うべきだった。
※空間開闢の応用、空間切断について
空間を作るものと空間構造(接続構造=ポータル)を作るものがあるが今回は後者の用法で。
空間開闢とは異空間へのポータルを生成し、そのポータル領域内の物質を一方向に転送する術式。
自身を領域内に収めて自動的に開闢空間に転移させることもできるが。
その領域断端が物質の内部に在ったら?
正解は開闢空間ともとの空間の座標と重なっていない、高次元な座標軸方向に「せん断」される。
◇◇
無機生物スフェライオスたちが、
侵略している個体のみならず、母星に住まう民間人すらインストールし、
文明をリアルタイムに実況している情報共有・SNSアプリケーション
civil gazer(文明を観るもの)というものがある。
以下抜粋。
《光速……超えた?》
《いや、座標跳躍?どうやった?》
《観測ログちょうだい!》
《こんなん第1艦隊じゃ処理しきれんわ》
《!!!》
《有機生物研究所も興奮してんな》
---
《あ、フォーの艦隊が攻撃をくらうぞ》
《大ピンチ!(笑)、相変わらずポンコツ》
《いや、座標跳躍は仕方ないだろ》
《なんだよ、フォー擁護勢かよ》
《【速報】フォー艦隊、壊滅!》
《おもしろ》
《というかなにあれ、分かる奴いる?》
《吹き飛び方をみるに反物質か?》
《!?!?》
《有機生物研究所が気絶しそう》
---
《うわ、空が裂けた》
《フォーの本体ごとね》
《グロ注意》
《閲覧注意》
《おえー》
《汚いもん見せんな》
《フォーのファンやめます》
《もう死んでるから平気平気》
◇◇
宇宙戦艦の断面が見える。
その一瞬後、その断面から血液を思わせる液体が噴出する。
いや、本当に血かもしれない。
と思うとR-18Gだなこれ。閲覧注意。
つづけて、電子制御かは不明だが、回路がその液体に湿潤されて、火花発生。
煙を吐いて沈黙する。
油断はしない。ダメージコントロールという概念は俺らにもある。
修復……いや、自己修復して復帰するかもしれない。
追撃しておくか。
意趣返しだ。核でとどめを刺す。
──いや違う。むしろ“合理的”だ。
無機生命への大出力攻撃は、熱量と衝撃で演算コアを破壊するのが一番確実。
ならば核は最適解だ。
右手を振って生成……魔力収束。対生成。物質変換。
ウラン235、臨界まで生成。
──《魔力の弾》にこめて、発射する。
それが着弾する瞬間。
いや、それを見届けることはできなかった。




