解析
フォーの電磁バリアを剥いだ。
しかし、その直後、さらにミサイル接近警報。
(接近中:0.6c、相対速度:衝突コース)
(質量・形状分析:多層構造体、中心核に高密度物質……核弾頭)
またかよ。
核しかレパートリーを持っていないのかあいつら。
物質同定、終了、ウラン235と解析。
炸薬量から熱量と放射線を推定、50キロトン。熱量:210TJ、放射線量:10Sy。
半径1.5kmにいれば致命的な量だ。殺意が高い。
……あえて起爆させてみるか。
眼前で核ミサイルが炸裂。
火球と放射線をばらまく。
それと同時に《短距離転移》。
座標を繋げてフォーのすぐ背後に移動。
すぐに飛行術式で急加速。
とりあえずドロップキックで核ミサイルの爆風に蹴りだす。
蹴ると同時にフォーの体組織にアクティブソナーのノリで超音波を撃ち込んで分析してみる。
と、いうよりわざわざ近接戦闘に入ったのはこのためだ。
構造を解析。
(構造分析:アクチュアルブレイン:検出不能)
(思考パターン確認……失敗・人間のそれに非準拠)
生体脳がない?
なんだそれ。ロボットか?
いや違う。
──無機生物か。
その返答かのように通信が響く。
やはり無力化できていない、と。
「あー……脳が震える……。
まあ脳なんてないけどね。
気づいてなかったかもしれないけど?
どう?僕について何かわかったかな?」
うっせ。発言するごとに煽ってくんな。
しかし情報分析としては十分。
1.DNA、たんぱく質ベースの部位は全く存在しない。
2.思考を司るCPUは胸部に存在する。
3.艦隊の内旗艦と思しき艦とリアルタイムで何やら通信している。しかもこいつのほうから。
おそらくリモート操作。
旗艦の乗組員が操作しているとかかもしれんが、
最有力候補は、
──こいつ、旗艦の人格そのものじゃね?
だからこそ、EMP(電磁パルス)で殺す。
無機生物ならばこれが弱点だろ。
電子励起、固定、収束。
EMP弾頭、《魔力の弾》2連発、フォーに当てる。
◇◇
《キターーーEMP!》
《枝端末ならワンチャン耐えるっしょ》
《いやこれ普通に死ぬ威力じゃね?》
《データ吸い上げろー》
◇◇
妨害範囲:半径5メートル。
フォーの体表に瞬間的にノイズ。外殻が青白くフリッカーした。
機械生命への殺意を伴った強烈な電子の波がフォーの演算回路、
仮初の命をショートさせた。
「さて、残りは宇宙艦隊か……?」
というや否や、艦隊から砲弾の雨が降り注ぐ。
プラズマ弾、TNT弾頭砲弾、戦術核砲弾。
恐らく旗艦にフォーの人格のバックアップが残っている。
というよりフォーが旗艦そのものなら何度でも蘇ってくる。
──残基ありかよ、めんどくさ。
復活前に叩かないと状況が面倒になる。
短期決戦だ。
艦隊近傍に《短距離転移》。弾幕ごと15光秒の距離を跳ぶ。
オールトの雲の小惑星たちに弾幕が当たるが……。
もう後で対処しよう。
さて。敵艦隊の背後に転移してきた直後に右手を振り払う。
前方に生成されるのは艦隊を穿つ陽電子砲弾。
対生成を促し散らかしてくれたおかげで貯蔵は十分だ。
原子内の電子との対消滅で消し飛ばす。
投射。
ようやく俺を発見したのか、砲塔がこちらを向いて弾幕を吐き出し始める。
が、迎撃も攻撃も能わずに立て続けに複数の艦が陽電子塊に被弾。
対消滅、弾薬庫誘爆、大爆発。
陽電子が走り、艦体の金属光沢が一瞬だけ白熱する。
対消滅の閃光は、音のない雷鳴のように宇宙を震わせた。
そこには、艦体を抉られるか、ボロボロになった戦艦しかいない艦隊が残った。




