交戦・盾剥がし
《雷撃の槍》。
生成。
導電性魔素を弾頭として長さ約40cmの槍状飛翔体を生成。
……魔力消費:約0.45MJ(36%)
投射。
初速:約120m/s
……魔力消費:約0.25MJ(20%)
着弾効果。
- 命中直後に魔力で電位差を自動展開。
雷撃が着弾点へ誘導するように設定。
……魔力消費:約0.56MJ(44%)
電圧:約0.5メガボルト、
電荷:約0.5クーロンになる。
人体ならこれは完全に即死級だ。
人体ならだが。
まあ、たんぱく質ベースではない生物だとしてもダメージは入るはずだ。
発射。
……フォーには……躱された。
「あはは、隙大きすぎでしょ。派手でいいね!
それが君の名前かなあ!」
煽られた。挑発には乗らん。
フォーの挑発は無視、脳裏に浮かぶのは分析。
余計な力を使って、こちらの魔力量を削らせるつもりか。
雷撃弾の一発は確実に致命傷を与えるはずだが、
それを躱すフォーの余裕は、敵の戦力の高さを物語っていた。
◇◇
0.56MJを半分ずつに分割。
電子の対生成、その電子への加速エネルギー付与に充てる。
0.28MJからは3.4×10^18個の電子が作れる。
q = Ne
= 3.4×10^18 × 1.6×10^-19
= 0.544 C
E = qV
V = E / q
= 0.28×10^6 / 0.544
= 515,000 V(約 0.5 MV)
よって、
電圧:約0.5メガボルト、
電荷:約0.5クーロンになる。
人体直撃の際はこれ、タンパク質変性ラインを超える?
結論:
完全に超える。
むしろ生体は一瞬でプラズマ化する。
タンパク質変性する電流密度は:
数 mA/cm² で火傷レベル
数 A/cm² で組織破壊
kA/cm² で焼損・炭化
MA/cm² では瞬間的蒸発
今回:
電子団が人体に入る場合の電流密度は G〜T A/cm² レベル
(導電経路が狭いほど高密度)
実際は、
接触した瞬間に表皮・水分がプラズマ化
アーク放電による爆裂
内部組織が蒸散
神経系は10⁻⁶秒で完全機能喪失
という挙動になる。
◇◇
さて。
──先の雷撃の槍で形成された電解質の領域には無頓着か。舐められている。
《プラズマ発振》。
とりあえず数百発を同時射撃。
過剰な気もするが、無意識に挑発に乗せられたかな。
その光の雨は導火線、高誘電率の空間を通ってフォーに迫る。
……電磁場確認。電磁バリア?
過剰に出力が高い。
高エネルギー反応。直後に艦隊より発射炎。飛翔体を確認。
拡張脳のアラートが耳朶を突く。
(接近中:0.9c(光速の0.9倍)、相対速度:衝突コース)
(プラズマ弾接近中)
戦術が一致した。気持ち悪。
素粒子オーダーで手動ベクトル干渉。
──俺たちにとって、魔法の本質はベクトル干渉だ。
分子~素粒子レベルのいずれかで干渉して望む現象を引き起こす。
……奇蹟は自らの手で干渉して起こすものだ。
まあいい。艦砲射撃、プラズマ砲を漏れなく逸らしていく。
恒星風防御用の電磁シールドには当てないように最低限の回避はするが。
飛行術式、急制動。
──見られている。フォーの眼がこちらを穿っている。
分析されている?
飛行術式ですら伏せるべき手札だったか?
戯れにフォーに向かってプラズマ砲を偏向させてみるが、
電磁バリアに逸らされる。
「はい、無駄無駄!」
まあ、今もこちらに熱視線浴びせてきてるからな。
焦ってすらいない。余裕そうで癪に障る。
魔力成形、砲弾生成、時限信管・榴弾・銅弾殻
導電体の導火線を作って電磁バリアを剥いでやる。
フォーの機動力を考慮して広範囲に拡散、空間制圧。
爆炎とそれに照らされる銅の飛散効果の花が周囲に咲く。
加えて恒星系主星に照らされて鈍く輝く。
フォーの電磁バリアは歪んで、消えた。
さすがに導電体の粉体は電磁バリアにとって荷が重い。




