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娯楽侵攻文明"スフェライオス"  作者: なー
リライト前
16/22

降下作戦

《降下作戦開始。標的空域への進入を確認》


超高空より、神坂と法術師部隊が降下する。

空間は捩じれ、空の一点から流れ星のように輝く。

いや、起こっている現象は流れ星と同じだ。


大気圏上層、秒速40km。

法術師部隊の体を包む結界が、突如として灼熱の白に染まる。

大気は逃げ場を失い、前方で高密度に圧縮され、

電子軌道すら歪める高熱プラズマへと相転移する。


これは単なる摩擦ではない――断熱圧縮。

逃げ場のない空気が、力の壁に叩き潰され、逃げる時間すら与えられずに自らを灼き尽くす。

結界表面温度は6000Kを超え、雷鳴にも似た音が虚空でうねった。


敵地上艦隊の自動防衛網が反応。

「迎撃態勢──高エネルギービーム、対空ミサイル群、粒子加速砲、起動!」

無数の閃光が宙を裂く。が、


「……遅い。制御点が粗すぎる」

神坂は、空間ベクトルを一撫でする。

空間が曲がる。

敵の砲弾が軌道を外れ、互いに衝突し爆ぜた。

「そもそも狙えてすらいないのに、“撃てば当たる”と思ってるのが浅はかだよな」


隊列を維持したまま、法術師たちは空中を降下する。

周囲の防衛砲台が空間異常を感知し、意味のない追尾演算を繰り返している。

「……“対空迎撃”という名の、敗北確認儀式だな」


◇◇

~スフェライオス軍・母星大気圏・防空指令室~


……母星直轄防衛・迎撃実況構造体が敗北した。

しかしまだ盾は残っている。


星間ミサイル迎撃レーザー砲台エクスキャリオン

惑星高軌道上に配置された、超遠距離ビーム迎撃システム。


反射ユニット《ソリスミラー群》

第2艦隊旗艦にも配備されていた光学反射ドローン。

神坂への有効弾も確認している。


反射ユニット《デュプリケーター》

ソリスミラー群の補助ユニット。光学拡散ドローン。

光学兵器を拡散。檻を強化する。


これらで、宙から光の檻で、奴らを圧殺してやる。


まだ負けていない。


「まだ盛り上がるぞ!

“スポットライト”、敵機に照射ぁ!」


標的は──


◇◇


魔力場に感。

見覚えがあるな。

小型端末。50……70……80……。

第2艦隊旗艦・アインとの交戦で見た。

反射ドローンだ。


……おそらく、反射する媒体である光学兵器も差し向けてきているはずだが……。


周囲に候補は無し。


「法術師部隊へ!反射ドローンを確認。

光学兵器、および反射ドローンによる軌道変化に警戒!」


どこだ。どこから来る?

警戒していると、宙が光った。


次の瞬間。0.01秒以下で周囲に光の雨が降り注ぐ。

上からきたか!光学兵器!

観測。ドローン把握。レーザー軌道演算!


上から。前後左右から。遅れて下から。

レーザーの嵐が我々法術師部隊を取り囲む。



光の雨の中で上方向を見る。レーザー発射体……捉えた。

星の光程度しか見えないが。

共有。

「法術師部隊!おそらく、レーザーの発射源は大気圏外、静止軌道上だ

余裕があれば、対軌道攻撃術式を試みてくれ」


「了解!」

隊長の声が瞬時に無線に乗り、各隊員の耳元に響く。

空間ベクトルを鋭く収束させ、神坂の指示通り、彼らは視線を見上げる。


大気圏の彼方、静止軌道上の敵兵器は小さな光点にすぎない。

だが、その一点が何千キロも離れた場所から容赦なくビームを降らせているのだ。


「対軌道攻撃術式、展開!」

数名が同時に手を掲げ、掌から無数の微細電子群を放出。

それらは軌道上の敵発射源を標的に、超高精度の電磁場操作を開始する。

電子の弾が光の雨を逆流する。


術式は惑星大気の層を突き抜け、軌道上の敵兵器の外殻を狙い撃つ。

途端、空間に微細なひずみが生じ、敵のレーザー発射装置が揺らぐ。

レーザー発射機構のレンズ系に、微細な空間歪みが生じた。

高精度を要する光学兵器にとって、それは致命傷だ。


攻撃が緩んだ。

今だ。


反射ドローンを撃ち落とす。

《魔力の弾》。

質量5kg。

アクティヴレーダー誘導。 3秒誘導。3kJ。

マッハ30。

Vec(0,0,10290)[m/s]

着弾効果は放熱。1.3MJ。

一応残存ドローン……85に対して2発ずつ発射。


170*((10290*5)+1.3*10^6+3*10^3)

発射数*((速度*質量)+炸薬エネルギー+アクティヴレーダー誘導機構)


消費魔力量。約 230MJ。 えぐ。


発射。だいぶ魔力を使った。全滅してくれ。

蜘蛛の巣のように拡散し、それぞれの目標へ突き刺さる。


白熱光が空に編まれたように閃き、次の瞬間、虚空が静寂を取り戻した。

……反射ドローンの全滅を確認。しかしまだ終わっていない。


静止軌道上の本丸が残っている。

敗け筋はまだ残っている。


法術師部隊が電子弾やレールガンを放っているが……。

距離と大気圏による減衰に阻まれている。


と考えていると。また宙が光った。

今度は極大の光の柱。

直接射撃で仕留めに来た。


それまでとは格の違う輝き。

眩しさが、空間を白で塗りつぶす。


観測。エネルギー概算。

前提条件:

ビーム径:30 m(半径 r = 15 m)

出力密度:仮に10 MW/m²(現代兵器の数千倍。宇宙兵器として破格)

出力時間:1秒間

A=πr^2=π×15^2≈706.9m^2

P=706.9m^2×10^7W/m^2=7.069×10^9W=7.07GW


1秒で7.07GW。水1リットルを170万度に加熱できるエネルギー。


笑いが漏れる。


「……おいおい、マジかよ」

「見えたか? あのビーム径。30メートルはあるぞ」

「照射時間……継続。秒間出力、推定7ギガジュール。おい、地表焼けるぞ」

「はは、入ったら“蒸発コース”ってやつか」

「骨どころか影も残らんね。レーザーの熱で空気が光速で土下座してる」

「そのうち“大気が先に逃げ出す”とか言い出すな」

「むしろお前が先に逃げ出すだろ?」

「逃げねぇよ。逃げねぇけどよ、アレ、“地獄の懐中電灯”だぞ?」

「……やべぇな。あれで虫探すやつとは友達になれんわ」

「よし、そろそろ誰か言えよ。“当たらなきゃどうということはない”って」


「黙れ。言ったやつが当たれ」

「あのビーム、地面に刺さったらどうなる?」

「……大地が『解像度足りません』ってバグる」

「で、地図に“穴”が開くのか」

神坂が見下ろすと、地表が白熱していた。

遠距離のはずなのに、頬を焼く熱風が届く。

「おーい、今の地面、“固体”やめたぞー」

「生きてたら怒られんな、あれ照射された区画の予算担当に」


爆笑は無かった。

でも誰も顔を伏せなかった。

それぞれが魔力を巡らせ、迎撃準備に入る。


「さあ──地獄の懐中電灯を、天井ごとへし折ってやるか」


ところで。こいつらは失敗した。

俺たちにわざわざ静止軌道に届く矛を渡してくれた。


次の照射。来たか。


ビームが眼前に到達する直前、《ワームホール開闢》!

ポータル径30メートル。

円状。

眼前に入口。横に出口を宙に向けて開闢。


ワームホールに吸い込まれたレーザーは時間差を空けずに横から排出。

空間の横に、白熱の柱が“出現”した。

親元に帰ってゆく。


本来ならば地表を貫いていたはずの光。

それが、ワームホールによって軌道を180度転換し、

敵衛星のすぐそばに、自己照射のかたちで放たれた。


「どうぞ、お返しだ。熱々でな」


レーザー発射母体に直撃。

撃った本人たちは回避も反射もできない。

精密光学機器は焦点収束のまま固定されており、

逃げ場のないビームはそのまま自分の脳天を焼いた。


次の瞬間。


軌道上に配置された巨大鏡群が、爆ぜるように四散した。

遅れて届いた爆風が、レーダー信号の死域を作り出す。


「あっはは! 本当に返ってったぞ」

「あれじゃ“反射”じゃなくて、“自殺未遂”だな……」

「空間管理者ナメた報いだよ。……宇宙で焼かれてろ」


◇◇


~スフェライオス軍・母星大気圏・防空指令室~


「第1射、外れました」

「初弾で命中するとは思っていない。

……何より拍子抜けだ」


管制塔は沈黙していた。

緊張ではない。むしろ“確信”が空気を支配していた。


「あの出力。地表ごと吹き飛ばせます」

「敵部隊の落下速度からして、もう回避は不可能でしょう」


星間ミサイル迎撃レーザー砲台エクスキャリオン

反射ドローンが全滅した今。最大出力を遠慮なく叩き込む。


出力は200MW。直径30メートル、秒間のエネルギー収束は爆弾を超える。

迎撃など、ありえない。命中すれば、ただ“消える”だけだ。


――発射準備完了。ビーム照射、10秒前。

「第2射、補正完了。修正照準、固定」

「……《エクスキャリオン》、照射開始」


管制官たちは巨大モニターの中央、地表を見据える。

一瞬で大気が焦げ、柱状の白光が地上に突き刺さる――


……はずだった。


「……なっ……」

一人の管制官が、硬直した喉から声を絞り出した。


ビームの軌道が、あり得ない角度で逸れた。


「なにか、空間歪曲のような……」

「違う! 入力座標が、変化して……!? 再出力!?」


「警告! 出力方向と入力点の不一致! 座標重複――自己照射の可能性!」

「冗談じゃない! どうやって反射した!?」


次の瞬間、警報が鳴り響いた。


「……来るぞ。外に出るぞ!」

「どこにだ! ここは軌道上だ、逃げ場はない!」


スフェライオス軍が誇る“最強の矛”は、

そのまま、自分たちの喉元を貫いた。


それは、単なる撃墜ではない。

「信頼していた兵器が、最悪の敵に変貌した瞬間」だった。


誰もが見上げていたその光は、

今、自分たちの“天”を焼き落としていた。

◇◇


さすがに……終わったよな?

いや、気を抜くな。何か来る前に終わらせる。


「法術師部隊各員。割り当て通りに救出ポイントへ急行!

派手にやりすぎた。何が来ても不思議じゃない。

一刻も早く終わらせるぞ!」


「「「了解」」」

ブレイク。

無言のまま、各部隊が空へ飛び立った。

空にはまだ、焼け焦げた白い痕がわずかに残っていた。


俺は……ここから200kmか。

担当は、穏健派の政治代表・セファル。

彼を保護するまでは終われない。


全力飛行。空気抵抗は力学結界で防ぐ。


やがて、到着。……救出対象は、っと。どこだ。


広場の隅。瓦礫の影に、かすかな気配。

読心。敵意なし。……よし、間違いない、穏健派。


「ああ……やっとだ。

やっとこの目で、“この光景”を見られた。

やっと、この星で異星人と会えたよ」


少し微笑んで、彼は立ち上がる。

「……セファルだ。護衛を頼む」

「ああ」


◇◇


広場の一角で、セファルはわずかに膝を折っていた。

外見上の負傷は少ないが、精神疲弊は隠しようがない。


「具合が悪いか?」

「ああ、問題ない……と言いたいところだが、

正直、背中を貸してくれると助かる」

「了解」


神坂は結界を展開し、セファルの体を浮かせると、

片腕で保持したまま再び上昇を開始する。

空気との摩擦はベクトル結界で撥ね、

熱は魔力で分散する。仲間たちも各地で救出を終え、

再集合地点へ向けて飛行中だ。


「……本当に、こんな形で終わるとはな」

セファルが小さく呟いた。


「まだ終わってねえよ。あのレーザー砲台をワームホールで返したのは、

あくまで“意趣返し”だ。スフェライオスの中枢はまだ生きてる。

政治的反動が来る」

「……そうか。けど、君らが空から現れた瞬間、

もう勝敗は決まってた気がするよ。

あれを見て動かなかった民衆はいない。

私たち穏健派に流れが来る。たとえ抵抗が残ろうと」


神坂は無言で頷いた。


――目視外の高度で、隊員たちが一点に向かって集結していく。


「全員、救出完了。対象確保済み」

「よし、帰還ルートに移行する。

目標:脱出座標《グレイポイント03》。

時限ワープゲート、起動まで残り180秒」

「了解」


重力井戸の縁を目指し、部隊は速度を上げた。


そのとき、背後で空が割れるような音が響いた。

「……来たか」

神坂は即座に空間認識を展開。


高軌道上に、残存艦隊のデブリを盾にした砲門が見える。

レーザーの残党ではない。質量兵器、リニアレール弾。しかも散弾仕様。

「最終迎撃、来たぞ! 全員、回避を最優先しつつ移動継続!」

「ここまでやって、まだ足掻くかよ……!」


空が赤く染まり、低空に向けて数百発の超高速弾が弧を描いた。

敵はもはや命中よりも、「偶然当たれば潰せる」戦術に切り替えている。


直後、上空から降る散弾の一部が自分たちの進路に重なる。

「通さねぇよ」

力学結界、出力強化。


数発の弾頭が一瞬で解体され、破片は安全な角度で分散する。


残り距離50km。だが照射座標《グレイポイント03》はもう視界に入っている。


「ワープゲート、座標安定。出力充填、完了」

「最終確認。全員、離脱圏内に入れ!」

「後は逃げるだけだ!対処しなくていい!」


レーザーとは違い、リニア砲弾は時差がある。

見えてからでも回避は可能。全員がそれを読んでいた。


そして――


ワープゲートが開いた。


空間が瞬時に折りたたまれ、視界の中心に光の楕円が現れる。

一斉に加速。空間に歪みの余波が走り、雲を裂き、風を捻じ曲げる。


――突入成功。


直後、ゲートが崩壊し、跡形もなく消えた。迎撃弾は空をただ虚しく裂くだけだった。


◇◇


帰還先は、第1広域空間群・第1空間。

ここからCICに転移する。


「全員、転送完了を確認」

「救出対象、生命反応安定」

「被弾者、軽傷のみ。機能的損失はゼロです」


静かな報告が流れる。終わった。


神坂は、セファルを支えたまま、重力の戻った床に着地した。


「……やっと帰ってきたな」

「いや、まだ帰り道の途中だよ。

私たちは、この星の明日を運んできただけだ」

セファルが、わずかに笑っていた。


報告を終えた神坂は、一人、観測窓のそばに立つ。

スフェライオス母星への超空間ワームホールの残滓が静かに波打っていた。


今はまだ敵地。だが、今日を境に「敵」ではなくなるかもしれない。

人類に似て、しかし異なる彼らと、

未来を共有するための第一歩――それが、この「救出作戦」だった。


そして、ようやくその幕が下りる。


「次の戦場は……話し合いか」

神坂は静かに呟いた。


背後には、無数の報告と、新たな命令と、束の間の休息が待っていた。


彼は一歩、未来へと歩み出した。


◇◇


回収、報告、診断、そしてようやく静寂が訪れた。


再重力化された艦内の奥。

モニターも通知音も遠ざかった指令区画で、神坂は姿勢を崩していた。肩を預ける場所などない。ただ立っていた。


「お疲れ様です、神坂」


声がした。振り返らずとも誰かは分かった。

「……xectか。今回も“出る幕”なかったな。総帥」


「いえ。出る幕は、ありましたよ。悲しい形でしたが」


「……別の“俺ら”は失敗した、ってことか」


「ええ。通算2,048回。ほとんどは初期段階での分岐消失でした」


ゼクトは、映像ではなく、神坂のすぐ隣にいた。

人間とは少し違うその目が、淡々と記録を口にする。


「ワームホール転移後の法則変化に対応できなかった。

実況構造体に敗北した。

大気圏突入に失敗した。

レーザーの檻に対処できなかった。

光の柱で蒸発した」


「……」


神坂は沈黙したまま、視線を落とす。自分の胸の奥に、別の自分たちの死が静かに堆積していくのを感じていた。


「しかし」

ゼクトは言った。

「最終的には、成功しました」


「喜んでいいのか? いや、いいんだろうな。

……確かに、成功した。俺たちの“本線”では」


「収束確率は極端に低かった。けれど、ゼロではなかった」

「それを、積み上げるしかなかったわけだな」


「それが“演算可能な勝利”というものです。

神坂。あなたは、成功体です。今後は“先例”となってもらいます」


「……誰かの模倣対象になるのは、好きじゃないんだけどな」


「わかっています。ですが、模倣される者は常に少数です」


ゼクトは、わずかに微笑んだように見えた。


「一つだけ確認させてくれ」

「どうぞ」


「……この成功、“俺”だけの意思で掴んだわけじゃないよな?」


「ええ。あなたは因果座標上の“焦点”ですが、同時に“結果”でもある。

仲間たち、敵たち、あらゆる選択が、あなたという確定値を導き出した。

それを、あなたは知っている」


神坂は、少しだけ笑って、うなずいた。


「そうか。じゃあ――また続きがあるわけだな」


「はい。穏健派との政治交渉、降伏派との内戦調整、

スフェライオス中枢の再構成……」


「わかった。じゃあ――風呂くらい入らせろよ、総帥」

「承知しました。転送浴槽、温度は?」

「お前は本当に無駄がないな……適温で頼むよ」


歩き去る神坂の背に、ゼクトは静かに言った。


「……ありがとう。成功体・神坂」


返事はなかったが、ゼクトはそれでよかったと思った。


それで、世界が一つ、進んだのだから。


◇◇


さて、さっぱり。

穏健派を救出できたし。

風呂にも入ったし。どうでもいい?


じゃあ、会議を始めよう。


◇◇

参加人員。


胞構造空間側。

法術師連合総帥・xect

第1広域空間群管理者・俺

スフェライオス穏健派救出部隊・法術師25名(第1広域空間群・第1空間所属)


スフェライオス側。

スフェライオス管理者・空間創生者「創生者プロトアーカ

穏健派代表・セファル。

穏健派25名。

第2艦隊所属個体・6隻。


以上。

◇◇


司会役・老齢法術師

「さて?残りのスフェライオスをどうするか、だ」


場の空気が一段階重くなる。


殲滅派法術師

「殲滅するか?」


穏健派法術師

「いや、むやみに滅ぼしては、我々が“スフェライオス過激派”と同じ穴のムジナになってしまう。

彼らを止めた意味が消える」


殲滅派法術師

「しかし、あの実況映像を見た以上看過できない

見ただろう。地球に似た文明をあざ笑いながら侵攻していた映像を」


大型投影モニターに、スフェライオス側が過去に各文明を“観察”し、

“嗤って”いた記録が静かに映される。

数百の異星文明に干渉し、支配し、

そして滅ぼした――スフェライオスの“遊戯”。


第2艦隊旗艦・アイン

「我々は、もう自らの手で正しき答えを出せるところまで来ていない。

……結論は、あなた方が出してくれ」


第2艦隊個体

「我々には軌道上からの火力支援能力がある。

……使用は望まないが、命令には従う。

だが、それでも問いたい。この火力を向けるべきは“誰”か?」


セファル

「いえ、もう我々は救えないところまで来ている。

あなた方の結論を尊重する」


(第2艦隊間通信)

「協力したい。が、同胞を撃ちたくもない。

……しかし、我々がこれを選んだんだ」


司会役・老齢法術師

「だが、そもそも“殲滅”とは何を指す?

都市の消失か?

思考構造体の崩壊か?

“思想”の終焉か?」


穏健派法術師

「スフェライオス母星軌道上から地表を丸焼きにするのか?

紙に等しい力を持つものとしてはしたないぞ」


誰かが呟く。


「環境汚染を引き起こす?

ナノマシンを放つ?

火力で版図を消す?

反物質を使うか?……それもまた破壊だ」


「われわれに、任せてくれ」

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