空間管理中枢(space administration core)《SAC》
閉鎖空間でホログラフと電子音が交錯する——
星空が大きくモニターに映っているが、実際にはその星空とは隔絶した空間、
すなわち亜空間にここは位置している。
光壁とホログラフに映し出された数百層の空間マップが、かすかにノイズを走らせていた。
その様相は、さながら水族館のような印象すらある。
ここは、第1広域空間群・第1空間・開闢空間に位置する、
空間管理中枢(space administration core)《SAC》。
その薄暗い闇の中を法術師のオペレーターの報告が飛び交っている。
自らの存在理由を空間管理だと位置付けた転生者たち。
──「法術師」。
そして開闢空間とは、法術師が、空間のエキスパート、魔法使いが展開した異空間を指す。
彼らはこの異空間から自身の管轄空間、
「守るべきだと見定めた空間」を保全、管理している。
しかし、この空間に異常が発生する。
◇◇
「空間歪曲を確認」
空間歪曲。空間異常の初期挙動だ。
そのオペレーターの報告に司令官が応じる。
「法術師の転移か?」
──彼らはその科学知識と魔法に対する発想力で、
生身での空間転移を可能とするほどの技術を身に着けている。
それによる空間歪曲ととらえてもおかしくはなかった。
「……にしては、出力が規格外。歪曲時間、異常に長い」
「対象座標への転移は、予定も予告もありません」
いったい原因は何だ?胡乱げな空気に満ちる。
「まだ続いてます」
「転移先は……基底世界。恒星系内——外縁部」
「天球座標、距離9万AU……!?赤経150度、赤緯0度……!」
明らかな異常。
その座標は「オールトの雲」の領域だ。
恒星の重力にかろうじてひっかかっている小惑星群。
そこに用なんて普通は無い。
空気が止まった。
誰もがその転移座標の異様さに、言葉を失う。
「転移元は…………?」
「…………」
オペレーターが困惑で固まる。
それの報告を促した司令官だが、直後、彼すらも同様の困惑を味わうことになる。
「どうした」
「形式エラー。特定不能」
「は? おい、モニタを拡大——見せろ」
通信士が指を走らせる。表示が切り替わる。
光の輪郭が、波打つ空間のただ中に、重力干渉波のように現れていた。
その中心に表示される、
《空間座標、現空間座標と一致》
《7次元座標(*,*,*,0,0,0,1.97*10^16)→(*,*,*,0,0,0,1.97*10^16)》
「同じ空間から……?
──そんなわけあるか!」
「空間曲率、増大」
「これは……ワームホール? 人工開闢の……」
「観測波長、全帯域で干渉。中心に……何かいる」
「何だ? ……何が来る?」
"それ"は先行きの不穏さをあらわすように、
暗く、揺らいでいた。
◇◇
※座標はすっごい適当。
3次元空間であるのでxyz座標は*で表示。
残りは並行世界群の中の一空間としての座標、とりあえず原点。
最後は時間軸。150億年を秒換算。




