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ARTS  作者: 白金 薊
VSchemitry編
9/16

第九話 探索と妨害

前回のあらすじ!

弦は元同僚の刃 光莉を新能力と共に撃破する。

一方ほまれと壮真はリドーの居場所を突き止め、リドーの研究所へ乗り出す!

 「な、なんだこれ…。私たちが暮らしていた街の下にこんなモノが作られていたなんて…。」

眼前に広がる光景に、二人は息をのんだ。

土竜ぐらいしか住民はいないであろう地下に、巨大な研究所がそびえ建っていたのなら、誰だって目を疑うだろう。

しかし、今は進むしか道はないのだ。なぜなら、この街をめぐる悪事を止められるのは俺たちしかいないから。

そう壮真は割り切り、気持ちを切り替えた。

「ほまれさん、行こう。たじろいでいても仕方がない」

壮真は建物の気迫に圧倒されているほまれを奮い立たせた。

「おっと、すまない。異様な光景に気を取られていたようだ。私を律するようにまでなるとは、君も立派な

 戦士になったものだな」

ほまれは少しほほ笑んだ。

二人は未知が潜む研究所へ歩みを進めた。


 リドーの研究所、1F.

入り口から入ったのちに姿を見せた空間は、あまりにも無機質だった。

壁と床はコンクリート打ちっぱなし、レーザーや機械の類も見当たらない。

その空間は一見なんにでもないように見えて、何か魂胆がありそうに感じた。

「な、なんだよ…。この何にもない空間は…。」

「これはうかつに踏み込むのはタブーだな。何が隠れているか分かったものではない。

 もしかしたら、ここのトラップをどう切り抜けるかを問う、彼なりの挑戦状なのかもしれないな…」

ほまれは制服のリボンを取り出し、放り投げた。

その瞬間、リボンは多方向から槍で串刺しになり、見るも無残な姿になった。

「ほら。どうやら彼は私たちを本気でお迎えするようだ。私たちも本気で迎え撃ってやろうではないか」

ほまれは罠のレベルに引いている壮真をよそに、意気揚々と臨戦態勢だ。

ほまれは壮真の前から一瞬で消えたかと思うと、部屋に爆音が響いた。

爆音が晴れた先には、ほまれの姿があった。

「おそらくこの部屋のトラップはすべて起動させた。安心して進みたまえ」

ほまれは壮真の手を取り、階段のほうへ進んでいった。


 リドーの研究所、2F.

階段を上ると、そこには一階とは180°違う景色が広がっていた。

一階はコンクリート打ちっぱなしの武骨な空間だったのに対し、二階はパイプや煙が飛び交うスチームパンクな光景が広がっていた。蒸気機関が働いているせいか、部屋は蒸し暑い。

部屋の奥のほうから、重厚な金属音が聞こえてきた。

それは二人に迫ってくる。

二人の目の前に現れたのは、剛腕を携えたロボットだった。

「良ク来タナ二人トモ、シカシココカラ先ヘハ行カセナイ」

ロボットは合成音声で喋った後、大きな腕を振りかざして攻撃を仕掛けてきた。

二人は間一髪で避けたが、その一撃は床に穴が開くほどだった。

「まずいぞ。このペースで穴をあけられたら、次第に動ける場所がなくなってくる。しかし、

 まともにやりあっても太刀打ちできない。いったいどうすれば…。」

暗中模索していた彼女は、ロボの攻撃に気づかなかった。

「ほまれさん、後ろ!」

壮真はロボの攻撃をアーツで受け止めた。しかし、そのパワーはいなしきれず、後ずさりをして壁に

ぶつかった。壮真は耐えきれなかったのか、その場にうずくまった。

「これで初日の借りは返した。しばらく動けそうにねぇ…。ほまれさんだけでもリドーのところへ…。」

壮真はボロボロの姿で言った。

「すまない…。私のせいで…。私のせいで…」

ほまれは大粒の涙を流した。自分のせいで仲間が傷つくのが悔しくて悔しくてたまらなかったのだ。

「君は休んでいてくれ。オトシマエは私がつける」

ほまれは回復用の薬瓶のアーツを壮真に投げた。そして涙を拭い、

「貴様は私が粉々に砕いてやる!」

と激昂した。

しかし、ほまれは冷静に今までの戦いからくみ取った情報を基に戦法を分析する。

「生半可な攻撃ではあの鋼鉄のカラダに傷一つ付けられない。ならばここは少し脳筋になってみても

 いいかもしれないな」

ほまれはジャブ程度にいつもの力で弓を引き絞り、ロボに当てた。

しかし矢は甲高い音を立てて弾かれ、床に落ちた。

「ドウシタ、ソンナモノカ?ソンナ攻撃デハ、私ハ倒セナイゾ」

ロボはほまれを挑発する。

「そんなこと、百も承知だ!しかし、今は前で戦ってくれる人はいない。だが、その先へ進むためならば、

 私は前衛にでもなろう!」

ほまれは弓に矢を番えず、剛腕を避けつつロボへ迫る。

ロボに最接近したほまれは、弓の本体で何度もロボを切りつけた。

その気迫にロボが態勢を崩したのを見て、ほまれは零距離で炎の矢をくらわせた。

ロボは後方へ吹っ飛び、炎の包まれた。

「ガッ、燃エル!燃エル!」

「とどめだ。これは私のやるせなさと彼の闘志がこもった儚くて強い炎だ!」

ほまれは風のエレメントメダルを装填し、風の力が秘められた矢を飛ばした。

ロボは紅の竜巻に包まれて黒焦げになり、鉄くずと化した。


 ほまれは倒れこんでいる壮真に近寄った。

問いかけても返答がないのでほまれは顔を覗いた。

壮真は目をつぶっていたが、傷は癒えて気持ちよさそうに眠っていたままだった。

「ふふ…こんな敵の根城で寝るなんて、君は肝が据わってるな…。」

ほまれは壮真が起きるのを待った。


 10分後。

「ふぁっ、あれ、ロボは?俺は確か、ほまれさんをかばって…。そっからの記憶がなーい!」

壮真は起きたかと思うと、せわしなくほまれに問いただす。

「大丈夫だ。あいつは私が倒したよ。少し苦戦した点もあるが…。しかし、倒せたのはキミのおかげでも

 あるんだ。感謝している」

壮真は思い当たりがなかったので、不思議そうな顔をした。

その顔を見て、ほまれは笑い、壮真もそれにつられて笑いの連鎖が起きた。








次回予告!

遂に二人とリドーが激突する。Arts Labの科学と、chemitryの科学。果たして勝利するのはどっち?

次回、ARTS第十話「科学と科学」お楽しみに!

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