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ARTS  作者: 白金 薊
VSchemitry編
8/16

第八話 因縁と突入

前回のあらすじ!

chemitryとArts Labの戦いが始まった!

手始めにchemitryはミスト100体を武島町に解き放つ。

三人の活躍により、大半のミストは倒された。三人はchemitryのアジトを見つけるための手掛かりを探す壮真・ほまれグループと、残りのミストを撃破する弦に分かれる。弦の前には、弦のことを

「裏切り者」と呼ぶ女性が現れて…?

 「裏切り者、かぁ…。あながち間違っちゃいねぇかもな」

弦は光莉の想像とは裏腹に、納得した様子を見せた。

「ははっ、あなたはやっぱり馬鹿ですね。『裏切り者』を認めるということは、私たちを敵に回すことを

 認めることになるんですよ?今ここで認めなかったら、まだ機会があったかもしれないのに」

光莉は弦に軽蔑の視線を送る。

「覚悟はよろしいですか?私は今からあなたを敵とみなし、任務遂行のため、排除させて頂きます。

 アーツ、解放」

光莉はアーツを掲げた。そのアーツは光に包まれ、長い鎖分銅が現れた。

それを見た途端、弦の顔が青ざめた。

「おっ、思い出した…。お前、俺が頭に血が上ったら頭ひっぱたいてきた奴だ…。

 お前はchemitryの中でも特に気にくわなかった」

「あら、やっと思い出してもらえましたか。それにしても、気にくわない人に殺されるとは、なんて屈辱  的で、無様でいい気味なんでしょう。今からあなたは、世界一滑稽な死に方で死にますよ。私の中でだ  けですけどね」

光莉はアーツを持ち、足で地面を蹴った。

弦にはその後が見えなかった。

瞬く間に弦の体は鎖でぐるぐる巻きにされ、地に伏せられた。

「ぐっ、なんて速さだ、動けねぇ…」

「本当にあなたはまだ何も学びませんね。以前あなたが私に逆らった時も、このようにして拘束させて頂き

 ました」

弦は必死にもがくが、光莉はその華奢な体からは想像できないほどの力で弦を押さえつけた。

「最後に、もう一度聞きます。あなたはchemitryに戻る意思はありますか?」

光莉は弦を分銅で痛めつけながら問いを投げかける。

「さらさら…無ぇな…」

弦はボロボロの姿で言う。

「なぜあんな三人余りの小規模集団にこだわるのです!?どう考えたっておかしいでしょう!」

光莉は取り乱し、殴る速度を速める。

弦は呼吸がどんどん荒くなる。

「あいつらは…敵対していた俺をチームメイトとして…ともに戦う仲間として受け入れてくれた…。

 たとえ立場が低くても…、たとえ人数が少なくても…、俺は壮真達あいつらといるほうが

 100倍楽しいぜ」

「ははっ、戯言を言わないでくださいよ!今その口、きけなくさせてあげます」

光莉は完全に頭に血が上っていた。

目はギラギラとたぎり、身体能力はさらに上がる。

見えない攻撃に、弦はただ受け続けるだけだった。

しかし、その立場は一瞬にして一変した。

弦はものすごいスピードで移動している光莉を掴み、そのまま地面にたたきつけた。

「しつこいですね…。まだ投げ飛ばすほどの力が残っていたんですか」

「そうだよ、俺はタフだからな。あと、一つだけ忠告しておく。俺は今までの俺とは違う」

弦はアーツについていたピンを取った。

「これが俺のアーツの新能力、痛みからの解放ペイン・リベレイション。今まで受けたダメージを自分のステータスに上乗せする」

弦はその巨躯とは打って変わって、光莉に勝るスピードで翻弄する。

光莉は速度が乗った重い斧の一撃を食らい、気絶した。


 30分後。

光莉は目が覚めた。

その眼前には、弦の姿があった。

「…ははっ、私の完敗ですね。とどめを刺さないのですか?」

光莉は全身が動かなかった。

抵抗する術もないまま、弦と会話をする。

「お前とは軋轢があれど、元の仲間だからな。敵対したからって躊躇なく殺すなんて残忍な真似、

 俺にはできないんだ」

「ははっ、あなたは本当に馬鹿だ。…けど、優しい。リドー様が命を弄ぶ計画を立てたら、あなたは

 必死に抵抗していましたね。もしかしたら私は、あなたの優しさに嫉妬して、きつい当たりをして

 いたのかもしれません。」

光莉は戦う前の優雅なふるまいを取り戻し、穏やかにほほ笑んだ。

「リドー様は、この街の地下に拠点を設けています。あなたはワープホールのアーツを使って移動して

 いたから、細かい場所は知らないんでしたよね」

光莉は小さな紙を弦に渡した。

「私はこの町を離れます。拠点の場所を教えてしまった以上、chemitryに私の居場所はありませんしね」

「何故、自分の居場所を無くしてまでそんなことを…?」

「ははっ、感化されたんですよ。優しさに触れてみようと、誰かさんにね」

光莉は、ふらふらとした足取りで武島町を後にした。


 場所は変わって、倉庫。

壮真とほまれは、一体ずつミストを相手取っていた。

「二人まとめて倒すぞ、ほまれさん!」

「ああ、分かった!」

壮真が二体のアーツに猛ダッシュで攻め込み、勢いよく間合いを近づける。

「壮真!奴らの腹を蹴って後方へ跳べ!」

壮真はほまれの指示を聞きミストの腹を蹴り、後方へくるりと宙返りした。

二体のアーツはほまれの矢に貫かれ、溶けて消えた。

「よし!撃破撃破!」

「そうだな。君とのチームプレイも、板についてきたようだ」

『壮真クン、ほまれクン!』

トランシーバーから、春希の声が聞こえた。

「敵の根城の場所が掴めたよ。どうやらそこは地下にあるらしい」

「「ち、地下ァ⁉」」

「敵の幹部に勝った弦クンがくれたんだ。たぶんエレメントメダルを使えば地面は掘れる。

 弦クンは大けがだから、行けそうにない。君たちのコンビネーションで、リドーの野望を

 打ち砕いてくれ」

「「了解!」」

二人は土のエレメントメダルを装填し、地盤を破壊した。


 場所は変わり、リドーの研究所。

「うあーーーっ、光莉ちゃんもやられちゃったぁ!でも、僕の発明品がいーっぱいあるから、

 まだ時間は稼げるんだー!やっぱり、最後に信じられるのは自分の頭脳ってコトだねぇ!」

リドーは高らかに笑い、ひとりで余裕そうにしていた。

次回予告!

ついにchemitryのアジトへたどり着いた壮真とほまれ。そこには、リドーのトラップや刺客が待ち受ける。二人はそこをかいくぐり、研究室にたどり着けるか?

次回 ARTS 第九話「探索と妨害」お楽しみに!

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