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ARTS  作者: 白金 薊
VSchemitry編
7/16

第七話 防衛と進撃

前回までのあらすじ!

春希が作り出したアーツ訓練用ソフト、「アーツ・クエスト」。

三人はそのソフトを使って、エレメントメダルの使い方を学ぶ。

三人がソフトから出てきた途端、Arts Labのサイレンが鳴る。

アーツ密売組織「chemitry」が、Arts Labに向けて総攻撃を仕掛けたのだ!

 三人は町に繰り出した。

町には暗雲が立て込み、ミストに恐怖する人々の悲鳴がこだまする。

その風景は地獄絵図と呼ぶにふさわしかった。

「なんだよ、これ…。思ってたより三倍ひでぇじゃねぇか…」

壮真はこの光景を見てたじろいだ。

「あっけにとられている暇はない。救える命を一つでも多く救うんだ!」

ほまれが力強く宣言した後に、三人はアーツを構えた。

「「「アーツ、解放!」」」

三人が町中で見た光景は、想像を絶するほどだった。

ミストが目についた人間を養分にしようと襲っている。

大人でも、子供でも、老人でも。

ミストの脳の中に、容赦という言葉はなかった。

その時、一人の子供が追い詰められた。

ミストはじりじりと子供に詰め寄る。

子供は恐怖に駆られて、声も出せなかった。

ミストが子供に切りかかろうとした瞬間-…ミストはバサリと横に切断された。

「大丈夫か?」

壮真は子供を安全な所へ逃がした。

「春希先生のトレーニングで戦いなれたからいいけど…。このペースじゃ骨が折れるな」

壮真は学ランの袖で汗を拭った。

すると、見慣れた

「おう壮真、どっちがミストを多く倒せるか競わねぇか?」

弦は壮真に向かって勝負を持ち掛けた。

「おい、これは人の命がかかっているんだぞ、真面目にや…」

ほまれが嗜めようとしたが、無駄だった。

「望むところだ、効率上がってwin winじゃねぇか!」

二人は猛ダッシュで別の場所へ駆け抜けていった。

そのあとからは、ミストの悲鳴がこだまする頻度が高くなった気がした。


 2時間後。

ミストの雄叫びは少なくなった。

しかし、地面は割れ、建物にはひびが入ったり、穴が開いたり。

町は半壊して、昨日までの賑わいを取り戻すにはかなりの時間を要するだろう。

三人はそれぞれのトランシーバーから春希の声を聞いた。

『みんな、お疲れ。幸いにも被害者はいなかったみたい。これは君たちのおかげだ、ありがとう。

 悪いんだけど、まだ敵の本拠地は見つけられてない。もしかしたら、弦クンと戦った廃工場に何かヒント

 があるかもしれないな。それなら、弦クンは残りの数体のミストを、二人は弦クンと戦った工場へ向かっ

 て、手がかりを見つけてほしい』

「「「了解!」」」

三人は、混沌とした武島町に散らばった。


 ほまれと壮真の二人は、あの戦った廃工場へ一心不乱に駆け抜けた。

この前の記憶を頼りに、街はずれへ繰り出す。

一か月前には敵対していた人物が今や頼れる仲間だ、世界はどう転ぶかわからない。と、壮真はしみじみ

思った。

二人は30分ほど走り続け、廃工場へたどり着いた。

その様子は、以前来た時よりも人気がなく、不気味だった。

しかし、よく耳を澄ませてみると、複数名のうめき声が聞こえる。

「何だ?工場の中でだれか殴られてる!」

「扉は中からカギがかけられてて開かないな。だが、爆発を起こしてこじ開ければ、簡単に突破できる

 だろう」

ほまれは淡々と言った。

「?どういうこと?」

「エレメントメダルに頼ればいいのだ。水と炎を装填して…、壮真も離れていろ。只では済まない」

「…えっと、これは、何をしてるんだ?一応、鬼気迫る状況なんじゃないのか?」

「簡単だ。水素にマッチを近づけると破裂音がする。理科でやっただろう?あれのスケールの大きいものを

 やる」

「おい、待て、心の準備が…」

「吹き飛べ!」

この瞬間、廃工場の中をけたたましい爆音が包んだ。

扉は塵のごとく吹きとび、大きな穴が開いた。

「おい!中にいた人、大丈夫か!」

壮真は爆発の中から、大声で呼びかけた。

やがて煙が晴れて見えてきた光景は衝撃だった。

人型のミストがヤンキーの胸ぐらを掴んでいる。

掴まれているヤンキーは所どころで出血しており、生死の境目にいる感じだった。

「お前ら…何やってんだよ!」

壮真は激昂し、ミストの腕ごとアーツで切り裂いた。

ヤンキーは解放され、地面に倒れこんだ。そのヤンキーは見覚えがある顔だった。

「大丈夫か?」

ほまれはヤンキーのもとへ駆け寄り、安静な所へ連れて行った。

「す、すまねぇ…俺ら、弦の旦那にここを守れって頼まれたのに…。どこからともなく出てきたあいつら

 に、手も足も出なかった。弦の旦那に見せる顔がねぇよ…。」

ヤンキーは泣きじゃくった。

「安心しろ。後は私たちがやる。君たちは未知の生命に勇敢に立ち向かったのだろう?弦さんなら、

 そんな人を責めるような真似はしない。今から救護班を呼ぶから、それまでは安静に待っていてくれ」

ほまれはヤンキーを安全な場所へ連れて行き、その後壮真と合流した。

「壮真、すまない。少し事情を聴いていたんでな、少し時間がかかってしまった」

「事情?」

ほまれはヤンキーから聞いたことを耳打ちして壮真に伝えた。

「なるほどな。そういうことがあったのか。なら俺らがあいつらの代わりに仕返しするか」

「いいだろう。エレメントメダルの最高のコンボをお見舞いしてあげようではないか」

「1体目にはこれだ、水の矢!」

ほまれはミストに水の矢を突き刺した。

ミストはずぶぬれになり、その上から壮真が雷の斬撃を叩き込んだ。

ミストは感電し、黒焦げになってしまった。

「よっしゃあ、まずは瞬殺1体目!」

二人は高らかに勝ち誇った。

 

 そのころ、武島町では。

弦は町中に放たれたミストをすべて倒し、二人と合流しようとしていた。

「えっと、アイツらが行った場所は廃工場か。俺も早く向かわなきゃなぁ…。」

「あれ、100体ものミストがもう倒されたんですね」

「誰だ!?」

弦の視線の先には、長身で細身の女性が立っていた。

「お、お前は…」

「一応自己紹介しておきますか、忘れているかもしれませんし。

 リドー様の助手、やいば ひかと申します。お久しぶりですね、裏切り者」




次回予告!

壮真とほまれは、残り二体のミストを倒し、chemitryの本拠地へ向かう。

一方、弦はchemitryの元同僚、光莉と対峙する。

Arts Labとchemitryの戦いはどんどん激化していく!

次回 ARTS第八話「因縁と突入」お楽しみに!

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