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ARTS  作者: 白金 薊
VSchemitry編
3/16

第三話 潜入と初任務

前回のあらすじ!

春希に戦いに身を投じるか、身を引くかの選択を迫られた壮真。

壮真はそのことに夢中で、学校生活もままならない。

そんな中、学校にミストが現れ、学校中がパニックになる。

その光景を目の当たりにした壮真は、Arts Labに入り、戦うことを決意するのだった。

 壮真がArts Labに入所してから3日が経った。

ダンゴムシのミストが暴れた後も、春希先生が釘のアーツを使って直したらしい。

なぎ倒されたはずのサッカーゴールも、きれいさっぱり新品みたいに元通りになっていた。

壮真は、理科の授業の後、春希先生に剣を振るようなジェスチャーをされた。

これは放課後にArts Labに集合という、三人で決めたシークレット・サインであった。

放課後、壮真は理科準備室の掃除用具入れの前に立った。

こんなボロい掃除用具入れが非日常への入り口だとは、にわかにも信じがたい。

壮真は周りに誰もいないことを確認し、カバンからアーツを取り出した。

アーツの存在を感知した途端、掃除用具入れの中が歪む。

かくれんぼしてる時にやったらどうなるんだろうとしょうもない妄想をしつつ、壮真はArts Labに入っていった。

「お、壮真クン早いじゃない?ほまれクンと一緒に来なかったんだ」

「ほまれさんは今日日直です。あと、校内でほまれさんと歩くとどんな噂が一人歩きするか

 わからないですしね」

「ハハ、ほまれクン大人気だもんね。彼女が来るまで宿題でもしてな。わからないとこは僕が

 教えるから」

10分くらい経っただろうか、Arts Labの入り口が光り、その中からほまれが現れた。

「ほまれクン、やっと来たね。荷物を置いたら、ミーティングルームに来てくれ」

ほまれはカバンを床に置き、壮真と一緒にミーティングルームに向かった。

「さあ、ふたりもそろったし、始めるよ…、壮真クンにとっての初任務を!」

「キターーーっ!初任務!」

初任務という響きが聞こえた途端、壮真はテンションが急上昇した。

「おい、壮真落ち着け。まだ話は終わってないぞ」

気分がハイになった壮真を、ほまれがたしなめた。

春希は話を続けた。

「…よし、これから初任務の概要を説明するよ。まず、4月に入ってから武島市で器物破損事件が

 起きてるのは知ってるかい?」

「え、知らない…そんなことあったのか?」

「私は知ってます。工具店、楽器屋が立て続けに襲われてて、警察は証拠が掴めなくて手を焼いてる…

 って状況ですよね?この事件は、1週間おき、毎週金曜日に起こってます」

「そう、まったくもってその通り。この事態に警察もお手上げで、こっちに依頼を申し込んだってワケ」

「警察に無理なら…本当に俺たちでできるのかな?」

「大丈夫だよ。こっちにはアーツがあるからね。アーツの能力を使えば、なんてことないさ」

春希はそう言うと、謎の小袋をほまれに手渡した。

「よし、明日から君たち二人は情報収集だ!なんとしてもこの犯人を捕まえよう!その小袋にはアーツと

 一緒に使うものが入っている。使い方はほまれクンに聞いてくれ。では、健闘を祈るよ」

三人は円陣を組み、士気を高めた。

ほまれは乗り気ではなかったが、壮真は初任務で内心ワクワクしていた。


 「情報収集っていっても、どこから攻めればいいんだ?こういうのは初めてだから、セオリー

  とか分かんねぇよ」

壮真は途方もない情報収集の想像をし、青ざめていた。

「何だ、弱音を吐くなんて、君らしくないな。私がついてるから安心しろ。情報収集の鉄則をとことん

 教えてやる。まず初めに鉄則その1,『自分の周りから攻めていく』だ。まずは学校で行おう」

二人は学校で10人くらいに聞き込みを行った。

が、有力な情報は得られなかった。

事態が急転したのは、11人目だった。

「最近噂になってる破壊事件について調べてまして…何か知ってることありますか?」

ほまれは学校での口調で穏やかに聞いた。

壮真はその光景を見て、この人、女優でも食っていけるよな、と思った。

「それって、工具店のガラス破壊でしょ?私、その人見たよ」

「その話、詳しく聞かせてください!」

「私が塾の帰りだった時かな。私が夜道を歩いてて、ガッシャーンって音がしたの。そのあと、ガタイ

 が良くて身長180ぐらいの男の人とすれ違った」

「なるほど…そいつは怪しいですね。ご協力、ありがとうございました」

ふたりはそう言い、その場から離れた。

「よし、学校では犯人像が浮かんだから、次は工具店と楽器店行くぞ」

二人は次に、実際に被害があった楽器店と工具店に向かった。

そこでは、防犯カメラを見せてもらい、犯人は男、凶器が斧であることが明らかとなった。


 翌日。

二人は、アジトを探るべく、町を歩きながら話していた。

「敵のアジトって…どこなんだろうな」

「これは私の推測だが…町のはずれの廃工場がアジトなのではないか?」

「廃工場?」

「あそこは数年前に廃墟になってそのまま放置してあるから設備はそのままだし、電源を持ってくれば

 稼働するらしい。また、楽器店、工具店ってどちらも金属を扱うだろ?」

「確かに…そこにヤマ貼っていくか」

二人は廃工場に向け、歩みを進めた。


 数十分後、廃工場。

廃工場で、一人の男と大勢のヤンキーがたむろしていた。

その風貌は、昭和のヤンキーを彷彿とさせる、長ランとボンタン、巨大なリーゼント。

そんな男に、下っ端らしき男が一人、男に報告した。

「旦那ァ、なんか外から足音がしますぜぃ」

「足音…?ここに足を踏み入れる奴は俺ら以外、誰もいねぇはずだがな」

「どんどん近づいてきやすよ!警察じゃないっすか⁉」

「入り口付近にミストを10体ぐらい解き放っとけ。怖気づいて帰るだろ」

男はそう言い放ち、奥へ向かっていった。


 壮真とほまれは、数十分かけて、廃工場にたどり着いた。

「ほまれさん、あれって全部ミストか…?」

「ああ。ここがアジトで間違いなさそうだ。手荒い歓迎だな…。迎え撃つぞ、壮真」

「ここまで来たら、やるしかねぇよな。この包囲網を抜けるぜ!」

「「アーツ、解放!」」

二人はアーツを持った手を掲げ、叫んだ。

キーホルダーサイズだったアーツは一般サイズの武器に変わる。

二人は、人型のミストを早急に倒そうとした。

しかし、うまくはいかなかった。

「こいつら、統率がしっかりととれている。守りにスキがない!」

「このレベルを十体も⁉たどりつけねぇぞ!」

二人は瞬く間に周りを囲まれ、絶体絶命のピンチに陥った。

「ほまれさん、どうするこの状況?」

「仕方あるまい。これを使おう、エレメントメダル!」

「?なんだそれ?」

「これはアーツに使うことで、属性の付与が可能だ。メダルスロットに、この風のメダルを入れてみろ。

 そのあとは、思いっきり振り回せ!」

壮真は言われたとおりにメダルスロットにエレメントメダルを挿入した。

すると、壮真のアーツが緑色のオーラを帯びた。

壮真はそのアーツを全力で振り回した。

すると、竜巻が発生し、周りにいたミストをはるか遠くに吹っ飛ばした。

二人は工場の中へと入り、主犯を呼んだ。

「この破壊事件の犯人がここにいることは分かっている!今すぐ出てこい!」

「はいはい、そんなでけぇ声でまくしたてなくても聞こえてらぁ。」

すると、工場の奥からけだるそうなヤンキーが顔を出した。

「Arts Labか。こりゃ、警察より質が悪ぃな」

「お前か!この事件の主犯は!」

「待てよ。少しくらい遊んでいこうぜ。俺は藤崎弦、お前らと同じアーツ使いだ」

男はそう言うと、斧の形のアーツを前に掲げた。






次回予告!

この街を脅かしていた事件の犯人藤崎弦は、まさかのアーツ使いだった!圧倒的な力の前に倒れこむ二人。果たして、町の平和を守れるか?

次回 第四話「激突とコンビネーション」お楽しみに!

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