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駄短篇集

世紀を越えた恋

作者: xoo

「あの娘が来ない…」


若い二人は色々やらかした。まだ半人前なのだから仕事を優先しろ、と逢うのを制限されて。今夜は久々に逢えるはずだったのに。


「あめはよふけすぎに…」


あれやこれやを無視して有名なカノン進行の曲を歌いだした男。晴れのまま、夜が明ける。



男は手紙を送った。ここは異世界だからスマホもLINEもないのだった。でも返事は戻ってこない。何度も何度も手紙を送って伝書白鳥の羽がボロボロになった頃、やっと返事が来た。


「待ち合わせの場所に行ったのに、男が来なかった」

「仕事も上手く行かない、遭いたかったのに」

「嫌い、大嫌い」


その後もご機嫌取りの手紙を何通も出して、わかった真相は。


二人があまりにもバカップルなために、男は川の向こうに追いやられていた。その後、急に改暦されて太陰暦(旧暦)から太陽暦(新暦)になった時、約束の日が一ヶ月ズレた。元の場所にいた女は新暦で逢いに行ったら男が来なくてブチギレた。川向こうの男は旧暦で逢いに行ったら女が来なくてド凹んだ。


その後。


二人は新暦七月七日と旧暦七月七日(新暦では八月七日)の二回、逢うことにした。そのためにお互い、納期を間違えて残業になった、とか、柵が壊れて羊が逃げたから探しに行く、とか理由を付けて、逢っている。本人達はバレていないつもりだが。


親たちは知っている。この子たち、まだサボっている、と。なので元祖バカップルの二人は、「まだ半人前だから」と結婚を許されていない。


もう百五十年にもなるのに。

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