【白銀の旋風】、めちゃくちゃ馬鹿にされる
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載せてください(他力本願)
ダンジョン。
それは、どこからともなく発生した建造物である。
ダンジョンの内部には魔物が自然発生し、冒険者によって倒された魔物は一定期間で補充されるという、人間にとってあまりに都合の良い存在。
そう、あまりに都合が良すぎるのだ。
……その実、ダンジョンが魔王によって運営されている「監視施設」であることは、魔王直属の数名の部下以外には口外されていない。
ダンジョンでの戦闘記録は魔王軍参謀・ヴァルガの元に共有され、ヴァルガはその情報を踏まえて人間界に侵攻する策を練っているのだ。
ーーアリア王国ダンジョン深層部。
ここでは、2人の魔族がダンジョンを管理していた。
「しっかし、よくこんなもの思いつくよな。確かにこれなら人間もこぞってダンジョンに入るし、ここの魔物と視界を共有すれば、戦闘力の高い危険な人間を炙り出せるってわけだ」
「ほとんどは俺たちの足元にも及ばないが、Aランク以上ともなると流石に一対一では部が悪いからな。予め研究しておけばその心配もない。ヴァルガ殿には頭が下がる」
「……ん? お前、その映像はAランクパーティーのものか? こいつら、やけに弱いが」
「いや、これはBランクだ。ヴァルガ殿より、将来的に脅威となりうると判断した冒険者は、遠隔操作で魔物を強化し、早めに芽を積むようにと申し付けられている」
「なになに……【白銀の旋風】、か。いかにも厨二病がつけてそうな名前だな。多分この盾役だろ」
「そんなことはどうでもいい。戦闘を見ろ。この先の曲がり角でブラックベアと遭遇するぞ」
『……! ブラックベアだ!』
『まずい、今のお前らじゃ厳しい相手だぞ!』
『他人事じゃないでしょ!? アンタ、詠唱終わるまでしっかり止めてなさいよね!』
『わかってるっつぅの!……っておい、なんでこっちに撃つんだ!』
『ごめん!』
『ミューエ、ファクスを回復しろ!』
『……【回復】』
『なんでリーダーに回復かけてんだよ!』
『でも、ファクスさんはまだ元気そうなので』
『鬼か!……まぁいいさ、俺に回復なんて要らねぇ!』
『お前らなぁ……!』
「……久々に酷いパーティーがきたな」
「はは、仲間割れまで始まったぞ。いいぞもっとやれ!……あ、なんだよ終わりかよ」
「……これだけ協調性が無くともブラックベアを倒しているところを見るに、一人一人の地力はあるようだな」
「だが、色々ひでぇぜ。この剣士は自分の剣の性質を理解してない。戦闘スタイルが合ってねぇんだよ。この剣を生かすなら……そうだな、今代の勇者でも参考にすればいいんじゃね? 噂では、短剣モデルの聖剣で戦うらしいし」
「ふむ、やはりお前は良い目を持っているな。では、他の3人には何とアドバイスする?」
「盾役は挑発使いすぎ、回復役は魔力配分だな。魔導士の女には……何とも言いようがないが、とにかく精度を高めろとアドバイスするか。って、敵の改善点の話はもういいだろ」
「確かに、不毛な会話だな。……次の魔物だ。それも、複数だな」
『前方からレッドスパイダーが3体です!』
『毒蜘蛛か……やっかいだな。ミューエ、一応【状態異常回復】を準備しておいてくれ。俺が1体やる。ファクス、2体止められるか?』
『誰に言ってんだ? やれるに決まってんだろ』
『よし、いくぞ!』
『……【状態異常回復】【状態異常回復】【状態異常回復】【状態異常回復】【状態異常回復】……あぁもう、面倒です。【永続状態異常回復】』
「……今この回復役、なんか言ってたか?」
「いや、聞き取れなかったな」
「……そうか」
『一体やった! ファクス、踏ん張れ! 俺も今援護に……しまった、剣に糸が張り付いて取れねぇ! クソ、この剣の強度じゃ無理矢理引き抜いたら折れるな。これがエ…ス……バーだったらな……』
『魔法完成しました! 皆さん、離れて下さい!』
『やっとか……しまった、盾に糸が!? すまん、退避できねぇ! ユノ、一度魔法を待……』
『【火球】!』
『うわぁぁぁぁぁ!?!?!?』
「ギャハハ、こいつら面白すぎるだろ! もっと見てようぜ!」
「そうもいかん。どうやらまた新しい冒険者が来たようだ。そっちに映像を切り替えるぞ。やはりお前の言う通り、このパーティーは放っておいても問題無さそうだな」
「テメェ、相変わらずクソ真面目だなぁ。なら、最後に次遭遇する魔物にバフかけとこうぜ」
「お前は相変わらず良い性格をしている」
「お褒めにあずかり恐縮です。ほらよっと……あ? なんだ、バフがかからねぇぞ? なんだこれ、相殺されてる?」
「……む?」
「どうした? そっちも何かあったか?」
「いや、確かに魔物が角に潜んでいたはずだが……いつの間にか消えているな」
「視界共有の調子が悪いんじゃね?」
「そうかもな。一度魔力線を切断して再起動してみよう。お前は【白銀の旋風】についての報告書を書いておいてくれ」
「はいよ。危険度1……と」
……これは、人知れずダンジョンの裏側で交わされていた会話の一部である。
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