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恋する聖女様(メンヘラ気味)



「ミューエ、魔力配分を考えろ。過剰に回復魔法をかけすぎだ。別にそこまで深い傷じゃない」



「す、すみません」



……なーんて、わざとそうしているのですけれどね。

勇者様が怪我をしたのですから、そのくらい万全を期すのは当然ではありませんか。


勇者アーサー様。

私、貴方の変装なんてとっくに見破っているんですよ。


あぁ、魔王が行方不明になるなんてことが起きなければ、私は今頃「聖女」として、勇者様のお側で世界中を旅して周っていたはずなのに……

とはいえ、引退した勇者様が冒険者の育成に回ってくれたのは幸運でした。

お陰でこうして「少し難点はあるが優秀なヒーラー」として、勇者様のパーティーに取り入ることができたのですから。


あの日、私は国王に召集され、「聖女」として勇者様の旅のお供をするように命じられました。

それで喜んだのも束の間、勇者とその仲間が顔合わせを済ませる前に魔王が失踪したものですから、勇者様は本来結成されるはずだった「勇者パーティー」の存在と、そのメンバーを認知していないのです。

それが幸いして、勇者様は私を聖女だと気づかぬまま「Bランク冒険者」としてスカウトしてくださいました。

自然なBランク冒険者の実力に見えるように力を抑え、その上で勇者様の目に止まる才能の鱗片を見せなければならなかったのですから、すごく大変だったんですよ……?



「よし、この辺りは魔物が少ない。一度休憩を入れよう」



「そうだな」



「異論ないわ」




まぁ、お優しい……

貴方は疲労の「ひ」の字も感じていないはずなのに、私たちのために休憩を取るのですね。

流石は、勇者様です。



「しかし、妙だな。この辺りの魔物はもう少し強かった気がするんだが……」



「俺たちが強くなったってことじゃねぇか?」



「そんなはず……いや、そうだな。そうかもしれん」




ふふ、本音が漏れそうになる勇者様も可愛らしいです。

でも、心配しなくて大丈夫ですよ。

辺り一帯の魔物にデバフをかけたのは私ですから。


今の勇者様は正体を隠しているため、時々わざと魔物の攻撃を喰らいます。

Bランク冒険者を演じる上では必要なことなのでしょう。

私は勇者様のお怪我を最小限に留めるため、魔物に攻撃力ダウンのデバフをかけておいたのです。


回復役がデバフを扱うなんて、誰も思わないでしょうね。

だからこそ、私には好都合です。

……とはいえ流石に勘付かれたようですし、心苦しいですが次からは少しだけデバフを弱めましょう。



あぁ、勇者様。

どうして貴方は私たちの成長のために、そんなに献身的な戦いをするのですか?


あぁ、わからない。

わからないのです。

勇者様の考えることはいつも私にはわからない。

勇者様に見限られる前に、早く理解らないと……



「……これはダメだな。捨てよう」



「嫌! 捨てないで!」



「うおっ!?」



勇者様に捨てられちゃう?

嫌です。

そんなの……嫌ですよ。


私、貴方のお役に立てていませんか?

それともやっぱりユナみたいに胸が大きい娘がタイプなの?

……どうしてですか、勇者様?


勇者様、貴方に捨てられたら、もう私……



「素材が少し傷んでるから捨てようと思ったんだけど……そんなに気に入ったの?」



「……………………………………やっぱり、捨ててください」



……恥ずかしい。

今ので勇者様、幻滅してないかな?

変な女だって、思われちゃったかな……



「もしかして、魔石が宝石にでも見えたか? わかるぜ。俺もガキの頃……」



「……貴方と一緒にしないで下さい」



「はぁ!? 庇ってやったのに!?」



「……今のもそうだけど、ミューエって普段どういうこと考えてるの? 凄く気になるわ」



「……主に勇者様のこと、かな?」



「え、俺!?」



「ミューエは勇者様って言っただろ。どう聞き間違えたら『アーサー』になるんだ? 耳腐ってんのか?」



「あ、な、な、なななぁんだ! 勇者様か!」



「ふふ、なんだか新鮮ね。アーサー、貴方はいつも冷静なイメージだったけど、案外そうでもないのかしら?」



「……ご、ごほん。すまない、少し取り乱した」



「……ふふ、可愛いです」



「ミューエ!? 気は確かか!?」



……確かですよ。

どうすれば勇者様に愛してもらえるか、ず〜っとそればっかり考えている、悪い女の子なんです。


ねぇ、勇者様。

そろそろ振り向いてくれてもいいんじゃないですか?


それとも、私なんて眼中にないんですか?

もし勇者様に愛してもらえないなら、私は……



「もう、一緒に死んでもらうしか……」




(何か今、寒気がしたような……。まさか、俺の危機感知が反応するほどの敵がいるのか!?)



その日、アーサーは極度に魔物を警戒して攻略に臨んだ。

攻略を終えた後に、ファクスは語る。

……その様子は側から見れば挙動不審で、どっちが魔物だかわからなかった、と。



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何卒。

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