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最終話 まだまだBランクは続く

完結です!



「残念ながら、期間内にクエストを達成できなかったようですね。昇格試験失敗につき、【白銀の旋風】のAランク昇格は見送らせて頂きます。……これでもう3度目です。アーサーさん、もう少し、個々の実力を高めてから挑戦してみては?」



「……はい」



「残念だったな、アーサー(棒)」



「勇者様、次こそ頑張りましょうね(棒)」



「あはは……そう気を落とさないでね。貴方が弱いわけじゃないわ」



……だろうな。

勇者として魔物とのタイマンには負けるつもりはないが、俺と同格の人間……それも、3人が相手となると話は別だ。


あの日、俺たちが実力を隠すのをやめた日、俺はこのパーティーに潜入していた真意を皆に話した。

そして、もはや俺がここに居る必要は無い、とも。

3人は俺に隠れて何かを話し合った後、ファクスがこんな提案をしてきた。



『……名残惜しいけどよ。お前がそう言うなら、【白銀の旋風】は解散しよう。最後に、今の俺たちで当初の目標だったAランク昇格試験を受けないか?』



この後に及んでAランクに拘る必要はないのだが、元々は、Aランク昇格をもってこのことを告げる手筈だった。

自分の中でけじめをつける意味でも、ファクスの提案を受け入れてやろう。

そう思って、軽率に試験を受けた。

……まんまと嵌められた。

ファクスには進路を塞がれ、ユノには魔法を意図的に誤爆され、ミューエには数知れないデバフを何重にもかけられ。

妨害を受ける心当たりは全く無かったが、そんなこんなで俺は人生で初めてクエストを失敗した。



『Aランクに昇格したら、お前はいなくなるんだろう? ……で、お前はこれでも昇格できるのか?』



『悪いわね、アーサー。あの日の後、皆で話し合って決めたのよ』



『どこにもいかせません。ずっと、ずっと一緒です』



『……はは、そういうことかよ。だが、3人で俺を止められると思っているなら、勇者を舐めすぎだ。次は一切加減しないぞ』



……などと威勢の良い口を叩いてから数日後の今日、俺は通算三度目となる敗北を記録した。

個々の力は確かに驚異的だが、連携はまだまだ甘い……と思っていたのだが、あれほど連携の取れていなかった3人が、ここに来て最高のチームワークを見せつけてきている。

なんとも複雑な気分だ。

俺の今までの指導は、一体何だったんだ。




……全く、やってくれる。

それこそ魔王でも出てこない限り、戦いにおいて俺が苦戦することなどないと思っていたのだがな。



「……なぁ、お前らはどうしてそんなに俺を引き止めたがるんだ?」




「そりゃお前、最強のBランクパーティーに所属するっていうのも案外悪くねぇと……いや、なんでもねぇ。勿論、このパーティーの居心地が良いからに決まってんだろ」



「私もファクスに同意かなぁ」



「……ミューエは?」




「わ、私は……勇者様のことが……あの……」




「俺がどうかしたか?」




「……アーサー、お前は今すぐに爆発してしまえ。クソ鈍感系主人公は俺が一番嫌いなキャラクターのタイプなんだよ」




「主人公のくだりはよく分からないけど、私もファクスに同意」




「なんでだよ。全く話が読めないんだが?」




「あ"あ"あ"死ねよゴミカス勇者くぁwせdrftgyふじこlp」




「ファクス、落ち着いて……」




「二人とも、ありがとうございます。でも、大丈夫です。いつか必ず、私の口から伝えますから」




「そう。……じゃあ、なおさらアーサーを逃がすわけにはいかなくなったわね」




「クソ鈍感勇者が、次のクエストでうっかり盾を滑らせて脳天かち割ってやる!!! 覚悟しやがれ!」




「それはうっかりとは言わねぇよ。まぁいいさ、元々俺はAランク昇格まで最低数ヶ月はかかると踏んでいたんだ。時間に余裕はあるし、しばらくは留まってやるよ」




……お前らが俺を留められるなら、な。


お前らの挑戦状は確かに受け取った。

どれだけ時間がかかろうとも、俺はこのパーティーを絶対に「Aランク」に昇格させてみせる!






〜end〜




当初はユノの魔法で記憶を消してお互いを「Bランク」だと誤解したままの状態に戻すとか、もっと時間を飛ばしてアーサーとミューエが結ばれるエンドとかを考えていたのですが、主人公アーサーはともかく他の3人のうちの誰かに視点を偏らせる結末は如何なものかと考えた結果、こんな結末になりました。


これにて終幕です。

ここまで読んでくださってありがとうございました!

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