17.【side】ルークを陥れてやる
ルードは逃げ帰るようにスプリングスティーンの館へと帰ってきた。
ルークにやられた痛みは既になくなっていたが、途方もない徒労感が残る。
「ルード、戻ったか」
「ち、父上!」
父ジャークは、今ルードが最も会いたくない相手であった。
なにせ、父からは「ルークが活躍しているという噂を確かめてこい」と言われていたのだ。
その答えは、ルードにとって最悪なことに、「YES」だった。
ルークは既に強力なスキルを覚え、それだけでなく今も進行形で強くなっている。
このことを父が知れば――父はきっとルードではなく、ルークを跡取りにと考える。
なにせ、ルークを追い出したのは、彼が“外れクラス”を持っていたからなのだから。そうでないと分かれば、妾の子供であるルードを跡取りにする必要性はなくなる。
「どうだった。ルークの様子は」
「そ、それが……」
言葉に詰まるルード。
そして、少ししてから、
「噂はウソでした」
ルードは嘘をついた。
本当のことなど言えるわけがない。
戦って、負けて帰ってきました。ルークは<聖騎士>の自分より強かったです。
そんなこと、言えるはずがない。
「そうか、やはりな」
父ジャークは、特にルードの言葉を疑う様子もなく、うなずいた。
――自分の選んだ選択は正しかったのだと、誰でも正当化したくなる。
それもある意味当然の反応であった。
「ルード。お前はこのスプリングスティーン家を継ぐのだ。アイツのようになるんじゃないぞ」
父はそう言ってその場を立ち去る。
残されたルードは考える。
(このままじゃまずい)
ルークは本当に強い。このままでは父も時期ルードの活躍に気が付いてしまうだろう。
ではどうするか――――
ルードの頭に浮かんだ方法は一つしかない。
(そうだ……殺してしまえばいいじゃないか)
問題は、今のルークは強すぎてルードには手に負えないということだ。
だが、それを解決する妙案を思い付く。
(パーティを組んで……隙をついて殺す)
それならなんとかなる気がした。
(……これしかない!)




