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15.兄上、スキルをくれてありがとうございます。


『スキル<危機獲得>が発動しました』


 “危機的状況”で発動するスキル<危機獲得>。

 そのスキルの発動を女神が告げた。


『スキル<神聖強化>を獲得しました』


『スキル<爆裂剣>を獲得しました』


 ――ルードによって極限まで追い詰められ、命の危険に瀕した状況で、ルークはルードの使ったスキルを獲得したのだ。


「……新しいスキル!!」


 2つのスキル。

 一つは聖騎士のステータス上昇スキル。

 もう一つは汎用の上級攻撃スキル。


 一発で魔力を全て使い切ってしまう<ドラゴンブレス>に比べると、両方とも極めて使いやすいスキルだ。

 そして、そのスキルを得たことでルークは“ようやく”気が付く。


(そうか……! ルードは僕を追い詰めて、<危機獲得>を引き出すために……!)


 それは先日“置き去り”にされた時とまったく同じ勘違いをした。

 ルードはあくまでルークの力を引き出すために、ルークに攻撃をしているのだと。


 そして、実際にルークはルードの“配慮”によって、新しいスキルを獲得していた。


「……ありがとうございます、兄上」


 ルークは立ちあがって、兄に向かってそう言った。


「な、なんだと……?」


 ルードは突然のお礼にけげんな表情を浮かべる。

 自分はルークを痛めつけてやろうとしているのに、なぜルークは感謝の言葉を述べたのか。それがまったくわからなかったのだ。


 だが、ルークはそれを“照れ隠し”と取った。


 そして、一つの決意を固める。


(……このままやられっぱなしじゃ、兄上が得られるものがない)


 これは“修行”だ。であれば、自分だけが強くなっては申し訳ない。ルークはそう考えた。


(……僕もちゃんとお返ししないと!!)


 そしてルークは剣を引いて、スキルを発動する。


「<神聖強化>……!」 


 獲得したスキルによって、ステータスを大幅に高める。

 それを見て、ルードは腰を抜かしそうになった。


「な、なんで聖騎士のスキルを!?」


「……兄上のおかげです。本当にありがとうございます」


 ルークは心の底から感謝した。


「……食らえ!!」


 ルードは、焦りから再び<爆裂剣>を放つ。


 だが、


「<爆裂剣>!!」


 ルークの攻撃に、ルードは驚きの表情を隠せない。

 ――そのまま二人の<爆裂剣>が交差する。


 果たして、その結果は――――


「うわぁあああ!!!!!!!!!!」


 吹き飛ばされたのは、ルードの方だった。


 二人とも技は同じ<爆裂剣>。

 そして、<神聖強化>で強化されているのも同じ。


 だが、ルークは一度でも攻撃を受ければそれが死に直結するという極限まで追い詰められた状況だった。

 それゆえ<闘争本能>のステータスアップが極めて大きかった。

 だから、ルードは単純に競り負けたのだ。


 ルードは後方に吹き飛ばされ、地面に叩きつけられる。


「――――ッ!!!」


 結界を大幅に失った。

 それはルードが初めてまともにダメージを受けた瞬間だった。


「いいいい、痛い!!!!!!!!!!!!!!!!」


 ルードは痛みにもだえ苦しむ。


「だ、大丈夫……ですか?」


 ルークは予想外に苦しんでいるルードを見て、我に返って心配した。


 攻撃を受ければ痛い。それは例え<聖騎士>であっても同じこと。

 攻撃を受けて平然としているどころか、むしろ悦んでいるルークの方が異常なのである。

 痛みに悦んでいる自分の性癖が異常だということはさすがのルークも承知していたので、痛がるルードを見てさらに追撃をしようなどとは思わなかった。


 だが、


「ひ、ひぃ!!!!」


 剣を握ったまま近づいてきたルークを見て、ルードは悲鳴を上げながら全速力で駆け出した。


「あ、兄上……」


 その後ろ姿をルークは茫然と見守る。


「……ちゃんとお礼、言いそびれちゃった」


 ルークはポツリとそう呟いたのだった。


お読みいただきありがとうございます!


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本当に……本当に執筆の励みになります。


何卒、よろしくお願いします!

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